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TBS、取材のコスプレイヤーにお詫びしていた グッとラック「屋外」撮影で誤解懸念

   「グッとラック!」(TBS系)の取材を受け、VTR出演したコスプレイヤーの女性が、放送で不本意な扱いを受けた旨をツイッターに投稿した。TBSは取材に対し、女性について「ご迷惑をおかけし、お詫びいたしました」と答えた。

   新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響で各種自粛の動きが広がっている。その中で撮影が屋外で行われたことや、出演者の発言などから、女性は外出自粛できない若者だと思われただろうとショックを受けたという。

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ロンブー淳さんの「リモートコスプレ」取り上げる

   2020年4月1日放送の「グッとラック!」では「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんをゲストに招き、新型コロナウイルス拡大の中で外出しなくても楽しめる企画として、田村さんがツイッターで参加を呼び掛けている「リモートコスプレ大会」を取り上げた。

   田村さんは3月26日「みんなで集まって遊べないので...鬼滅コスしてる方の写真を集めてリモートコスプレ大会しませんか?」とツイッターに企画を投稿。人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」(集英社)のコスプレ写真・動画を4月4日までツイッター上で募集し、応募作品は編集のうえYouTubeの「ロンブーチャンネル」で映像化するとしている。

   番組では同企画に賛同し、作品を応募したコスプレイヤーの女性を直撃取材。コスプレ姿で、人通りの少ない川沿いで話を聞くVTRが放送された。女性は「家で楽しめることを教えてくれるのはすごくいいことだと思います。家でコスプレして写真撮って終わりではなく、その先もみんなで楽しめるので」と思いを述べ、小道具の角(つの)を10時間ほどかけて製作したことなどを明かした。テロップではコスプレイヤーとしての名前のほか、年齢も出た。

   スタジオトークに移ると、田村さんは「いっぱい写真が来て、全部載せられるか分からないですけど、僕が『鬼滅の刃』の(アニメ主題歌である)『紅蓮華』を自分で歌っているのに合わせて写真を(出していく)。でも1回じゃ載せきれないくらい来ているので、何回かに(分ける)」と計画を明かした。そのうえで、VTRの女性について「でもできれば、さっきの角をつけていた女の子、外に出ていたので、外に出ないでいいですよ。家でやってほしいですけどね」と冗談めかして述べた。「1人だったらまだいいのかな。濃厚接触がなければ。散歩がてらね」とも話した。

普段は外出自粛、取材で屋外に出された

   この女性は放送後にツイッターで、普段は外出を自粛しており、取材のため番組スタッフの指定で屋外に出されたと投稿。田村さんの発言場面の動画も載せた(2日までに削除)。普段は週に1度程度しか外出しないようにしていることや、基礎疾患があるため特に体調管理に気を付けていること、撮影直前までマスクをつけていたことなども明かしている。それでも上記の放送内容により「外出自粛できない奴だと思われたでしょう」と不本意さをにじませ、さらにコスプレ活動を自粛するとした。

   こうした投稿を受け、田村さんは1日のうちにツイッター上で、女性に対してこう謝罪した。

「『誤解』 あなたの事を責めたように聞こえたなら申し訳ないです。これから写真を送ってくださる方に対して、過去に撮った写真でいいですからね!今撮るなら家で撮ったものでいいですからね!という気持ちで発言しました...取材を受けて頂いたのに嫌な思いをさせてしまって本当に申し訳ない」

   田村さんは番組発言の経緯などを1400字ほどの文章でつづっている。「僕は誰にどの様な形で参加者に取材されたのかは知らない状況で生放送中に取材したVTRを見る事になっていました」としている。

   田村さんの企画は「部屋から出なくともみんなで繋がれる」ことを目的としたもの。番組ではリモートコスプレ大会の前に、田村さんの別の企画「リモート卒業式」も扱い、参加した親子も取材に応じていたが、こちらは外ではなく自宅の中だった。そこに違和感を覚え、女性について「リモート企画って言ってるのに外に出て!意味が無いじゃないか!という寛容ではない人たちから非難の声が届けられるのでは」と考え、先の「できれば外じゃなくて家でやってほしい」との発言にいたったとして、こう明かした。

「その状況を突っ込みつつフォローしつつという感じで、僕が視聴者の方のモヤモヤしてる部分に触れて発言しておけば、コスプレイヤーの彼女たちに寛容ではない人たちの荒削りで剥き出しの汚い言葉は向けられないだろうと思い発言しました」

   それでも女性に対しては「取材を受けて頂いたにも関わらず僕の配慮の足りない言葉で嫌な想いをされた」として、再度「本当に申し訳ございませんでした」と謝罪している。

TBS「お相手の方にご迷惑をおかけし、お詫びいたしました」

   女性はその後の投稿で、番組側から謝罪を受けたことを明かしている。また、田村さんのコメントにショックを受けたとする一方、「悪いのは淳さんではなく取材の経緯を説明していなかった番組スタッフ」との認識を示している。

   女性の友人コスプレイヤーの男性によると、女性は出演にあたり、番組側から屋外での撮影・取材を指定された。男性は「まるで外出自粛要請を無視して外でコスプレを楽しんでいる若者のように番組で扱われる」との認識を示している。また、女性は特定を防ぐため名前や年齢を伏せるよう依頼し、番組側からも承諾を得たというが、上記のとおり放送では年齢が出ていた。男性は、女性に番組の取材依頼があった時から相談を受けていたという。

   男性は取材に、田村さんについて「盛り下がったコスプレ界隈を盛り上げるべく、また家でもできる企画を立ち上げたのに、わざわざ外に連れ出して撮影するなど本来の趣旨と違う内容の報道のされ方をして企画に泥を塗られ、むしろ被害者だと思います」とし、番組スタッフの対応を疑問視した。

   TBS広報部は2日、J-CASTニュースの取材に、今回の件について「お相手の方にご迷惑をおかけし、お詫びいたしました」と答えた。「屋外での撮影については、安全面を考慮して提案させていただきました」としている。