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【HKT48・1万7000字インタビュー(1)】「3−2」は「シリアスに表現力で戦う」グループの新境地に

   福岡市を拠点に活動するHKT48が、新曲「3−2(さんひくに)」を2020年4月22日に発売する。新曲発売は約1年ぶりで、指原莉乃さん(27)が卒業してからHKT48が新曲を出すのは初めて。

   4月には新会社による運営も始まり、20年には専用劇場の復活が控える。今後のグループ活動の試金石ともいえる楽曲だ。センターポジションに起用された「なっぴ」こと運上弘菜(うんじょう・ひろな)さん(21)をはじめ、田島芽瑠さん(20)、田中美久さん(18)、松岡はなさん(20)、村重杏奈さん(21)、渡部愛加里さん(15)の計6人に約1時間にわたって話を聞いた。インタビューは全4回にわたって掲載。初回では新曲の魅力や、悪天候でのミュージックビデオ(MV)撮影、これまでになく難しかった振り付けの苦労について語ってもらった。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)

  • 新曲「3-2(さんひくに)」(2020年4月22日発売)の発売を前にインタビューに応じたHKT48のメンバー。左から村重杏奈さん、松岡はなさん、運上弘菜さん、田中美久さん、田島芽瑠さん、渡部愛加里さん (c)Mercury
    新曲「3-2(さんひくに)」(2020年4月22日発売)の発売を前にインタビューに応じたHKT48のメンバー。左から村重杏奈さん、松岡はなさん、運上弘菜さん、田中美久さん、田島芽瑠さん、渡部愛加里さん (c)Mercury
  • 新曲「3-2(さんひくに)」(2020年4月22日発売)の発売を前にインタビューに応じたHKT48のメンバー。左から村重杏奈さん、松岡はなさん、運上弘菜さん、田中美久さん、田島芽瑠さん、渡部愛加里さん (c)Mercury

HKT48には中々なかった、ストレートな切ないラブソング

―― 1年ぶりの新曲のタイトルは「3−2(さんひくに)」。自分、親友、親友の彼女の「3人」をめぐる心情を描いた楽曲です。曲にはスピード感、歌詞には緊迫感を感じます。特に「そして友情は崩壊して終わりだ」など、絶望感も漂います。皆さんにとってどんな印象の楽曲ですか。

運上: 歌詞が想像以上にストレートで、新鮮でした。ドキッとしました。メロディーがアップテンポになっていて、勢いがあって、力強い曲だと思いました。
松岡: 最初題名を聞いたときは、ウソなんじゃないかと思うくらいびっくりしました。今回は久しぶりだったので、明るい楽曲が来るんじゃないかと思っていましたが、かっこよくて、あまりイメージしていなかったので、ワクワクしたというか...。新鮮だなと思ったので、早くファンの皆さんに披露できたらいいと思います。
村重杏奈さんによると、今回の振り付けは「しなやかさ系」「女性らしさ系」だという (c)Mercury
村重杏奈さんによると、今回の振り付けは「しなやかさ系」「女性らしさ系」だという (c)Mercury
田島: HKT48にはなかなかなかった、ストレートな切ないラブソングです。感情移入しやすく、主人公に寄り添えるような曲になっています。私はこんな経験をしたことはありませんが、リップシーン(編注:出演者の顔がアップで映り、曲に合わせて唇を動かす(=リップシンクロさせる)シーン)は感情を込めてやるように監督さんから言われたので、みんな感情を込めて歌いました。レコーディングも力強く、自分の奥底から歌うような感じでした。HKT48にあまりない曲だと思って聴いていただきたいです。

―― これまでの楽曲よりも感情を込めるような場面が多かったわけですね。

田島: 今まではハッピーで明るくて、笑顔でみんなで歌うような感じでしたが、今回はちょっとシリアスといいますか、表現力で戦うというような感じでした。新しいHKT48をお見せできるのではないかと思います。
村重: HKT48は、今までは明るいコンサート向けの曲が多かったイメージですが、今回は、大人っぽい、とにかく表現力が大事な曲になっています。この曲をどうコンサートで披露するのかが楽しみです。

前作は「とにかくダンス!」、今回は「しなやかさ系」「女性らしさ系」

田島芽瑠さんは新曲で「新しいHKT48をお見せできるのでは」などと話した (c)Mercury
田島芽瑠さんは新曲で「新しいHKT48をお見せできるのでは」などと話した (c)Mercury

―― 前作の「意志」(19年発売)も、どちらかといえばシリアスでクールな雰囲気でした。

村重: 「意志」とは、またちょっと違う感じですね。「意志」の振り付けは「とにかくダンス!」という感じでしたが、今回の振り付けは「しなやかさ系」「女性らしさ系」。角度がすごく大事なダンスで、「意志」とは違う切ない曲になっています。

―― 「意志」よりも繊細さが前面に出る感じですか。

村重: そうですね、繊細さ。マジそれ!(笑)
渡部: 今回の「3−2」は、聴けば聴く程切なくなっていく歌詞で、歌詞をどんどん理解してそれを聴くたびに新しい発見ができるというか、深い曲だなと思います。

―― 田中さんは、3月28日のインスタグラムの投稿で「強い女性がテーマなのかな... 孤独。この曲、強くて凛々しく歌わせて頂きたいと思います」と書いていました。

田中: タイトルを最初聞いたときはよくわからなかったんですけど、後から歌詞の意味を聞いたら、「3-2=1」で孤独だからこういうタイトルにしたんだなって思って...。でも、よくよく考えたら「4-1」とか「5」とか...。その「3」以外の数字だったら1にならないので必ず...何て言えばいいんだろ。

―― 色々な人数を組み合わせた計算がある中で「1」が残ると孤独だ、と。そういった意味で歌詞が奥深い、ということですか?

田島: 多分分かってないんで(笑)。「美久ワールド」ということで...。

―― なるほど...。ところで、つい先ほど、ミュージックビデオ(MV)の仮編集版を拝見しました。非常に格好いいですね!門司港付近、平尾台、岩屋海水浴場など、北九州市内の5か所で撮影したと聞きました。どんな撮影でしたか?

村重: めちゃくちゃ寒くて...。海の近くで撮影していましたが、愛加里(渡部さん)は衣装がノースリーブで、村重もシャツ1枚でした。本当はジャケット写真も海をバックに撮る予定でしたが、雨が強すぎて、変更になっちゃったんですよ。TYPE-Aです。

―― (資料を見ながら)確かに室内で撮ってますね。

村重: すごく過酷な撮影でした。

いつもは1日の「振り入れ」に数日かかった理由

新曲の歌詞について「どんどん理解してそれを聴くたびに新しい発見ができる」などと話す渡部愛加里さん (c)Mercury
新曲の歌詞について「どんどん理解してそれを聴くたびに新しい発見ができる」などと話す渡部愛加里さん (c)Mercury

―― 新体操みたいなリボンを持ってパフォーマンスしていますね。悪天候ということは、風の影響が大変だったのではないですか。

渡部: 風に左右されて、きれいに見せるのがすごく大変でした。

―― 振り入れ(振り付けを覚える作業)は大変でしたか?

メンバー一同: 大変でした!
田島: 今までで一番難しいです。撮影前日までに数日間やったんですよ。こんなにMVのために(動きを)揃えられる時間が今までは取れていなかったので、初の試みといいますか...。(ダンスの)先生と結構話し合いをして、みんなで意志を固めながらやったので、今までとは違う一体感が生まれていると思います。

―― 「意志」は、比較的激しいダンスでした。今回は、感情や、繊細なところの意識を合わせるのが難しかったということですか。

村重: 女性らしい振り付けが多く、今までのHKT48ではそういう振りがあまりなかったので、すごく苦戦しました。
田島: 今までみたいに「覚えたらできる」というわけではなく、「覚えてからが、むしろ勝負」。形をすごくきれいにしないと良く見えないダンスだったので、そこが一番難しかったと思います。

―― 普段だと振り入れは1日程度で終わるところですが、それが数日かかったわけですね。

村重: そうですね。しかも、長時間やっていました。
田島: 普段は東京での撮影が多いですが、今回は福岡で撮影だったからこそ、できたことかもしれません。(福岡市内の拠点にある)レッスン場でできたので。

―― 確かに首都圏での撮影だと、撮影が終わるとホテルに帰るわけで、振り入れの時間を多く確保するのは大変そうです。福岡であれば自宅に帰ったりできるし、時間の余裕もありそうです。

松岡: そうです。おうちに帰れるのは不思議な感覚でした。
ミュージックビデオ(MV)終盤では、メンバーが持っていたリボンを束ねて打ち立てる場面が展開される (c)Mercury
ミュージックビデオ(MV)終盤では、メンバーが持っていたリボンを束ねて打ち立てる場面が展開される (c)Mercury

―― さて、MVの終盤には、皆さんが持っているリボンを優勝旗のようにひとつに束ねて、運上さんが地面に打ち立てる場面がありますね。どのような意味が込められているのでしょうか。

松岡: 「意志」みたいなことを監督が言っていました。

―― 「意志」では、指原さんが、「HKT48」の文字が入った旗を田中さんと松岡さんに手渡す場面がありますね。グループの世代交代の象徴だと受け止められたシーンです。今回のシーンは、メンバーの思いを一つに集めて高く掲げる、といったところでしょうか。

松岡: (うなずきながら)久しぶりのMVなので、ファンの方もすごく楽しみにしてくださっていると思います。

インタビュー第2回に続く。4月12日掲載予定です)


運上弘菜さん プロフィール
うんじょう・ひろな 1998年生まれ、北海道出身。HKT48 チームKIV所属。16年にHKT48に4期生として加入。17年に行われた「じゃんけん大会」に、3期生の荒巻美咲さんとユニット「fairy w!nk」を組んで出場し、優勝。CDメジャーデビューを果たした。「早送りカレンダー」(18年発売)から3作品連続の選抜入りで、今作品「3−2」では、4期生としては初めてセンターに起用された。18年の総選挙では84位。

田島芽瑠さん プロフィール
たしま・める 2000年生まれ、福岡県出身。HKT48 チームH所属。12年にHKT48に2期生として加入。デビューシングル「スキ!スキ!スキップ!」(13年発売)でセンターを務める。18年の総選挙では26位にランクイン。19年から情報番組「アサデス。」(KBC九州朝日放送)にリポーターとして出演している。趣味は読書で、18年から小説ポータルサイト「小説丸」(小学館)で、コラム「読メル幸せ」を連載している。

田中美久さん プロフィール
たなか・みく 2001年生まれ、熊本県出身。HKT48 チームH所属。13年にHKT48に3期生として加入。同期の矢吹奈子さん(IZ*ONE専任活動中)との「なこみく」コンビとして知られ、11枚目シングル「早送りカレンダー」(18年発売)で、矢吹さんとダブルセンター。「11月のアンクレット」(17年発売)を筆頭に、AKB48のシングル表題曲は計7作品に参加。18年の総選挙で10位にランクインし、上位16人の「選抜」入りした。18年から「熊本2〇19応援大使」を務め、20年1月に初のソロコンサートを開いた。

松岡はなさん プロフィール
まつおか・はな 2000年生まれ、千葉県出身。HKT48 チームTII所属。14年に「バイトAKB」のオーディションに合格し、15年2月まで活動。15年に第2回ドラフト会議で指名されてHKT48に加入。8枚目シングル「最高かよ」(16年発売)、10枚目シングル「キスは待つしかないのでしょうか?」(17年発売)でセンターを務める。「ハイテンション」(16年発売)でAKB48のシングル表題曲に初参加し、「ジワるDAYS」(19年発売)など計7作品に参加。18年の総選挙では66位にランクイン。

村重杏奈さん プロフィール
むらしげ・あんな  1998年生まれ、山口県出身。HKT48 チームKIV所属。11年にHKT48に1期生として加入。母親はロシア出身で、実家ではロシア語も話すバイリンガル。14年から15年にかけてNMB48と兼任。18年の総選挙は不出馬。19年から芸能事務所「TWIN PLANET」に所属。同じ事務所に所属する元AKB48の西野未姫さんと動画チャンネル「俺ら」に出演するほか、「サンデー・ジャポン」(TBS)、「人生が変わる1分間の深イイ話」(日本テレビ)などバラエティー番組にも多数出演。

渡部愛加里さん プロフィール
わたなべ・あかり 2004年生まれ、神奈川県出身。HKT48 チームH所属。18年に行われた第3回ドラフト会議では3チームが渡部さんを指名し、支配人を務めていた指原莉乃さんが抽選で交渉権を獲得してHKT48に加入。18年の総選挙では圏外だった。前作「意志」(19年発売)に続いて2作連続で選抜入り。