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職場のコロナ対策が不安... どこに相談したらいいでしょうか?

   新型コロナウイルス感染を防ぐために避けるべき「3密」の改善を職場で求めても、聞き届けてもらえない――そんな不安を抱えながら社会を維持する最前線で働く人たちからのSOSがツイッターなどで相次ぎ、J-CASTニュースにも寄せられている。

   上記のような不安を抱えて会社や職場に対応を求めたい場合、行政サイドならどこに相談すればよいのか。複数の省庁や地方自治体にJ-CASTニュースが話を聞いたところ、「仮に相談を受けても行政が対応できることは少ない」との反応も少なくなかったが、中には一定の取り組みを行っている機関もあった。

  • 厚労省サイトでは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「3つのお願い」ロゴも紹介している。
    厚労省サイトでは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「3つのお願い」ロゴも紹介している。
  • 厚労省サイトでは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「3つのお願い」ロゴも紹介している。

「(職場が)『3密』に当たって怖い」

   J-CASTニュースではこれまで、コールセンターやDVD・ビデオレンタルショップ、家具店、飲食業界などで働く人たちから寄せられた「(職場が)『3密』に当たって怖い」といった不安の声を伝え、会社側見解なども交えながら報じてきた。最近では「感染の恐怖に『接客中に声が震えてしまう』 飲食業界、店員がネットで明かす本音 危機感ない客、営業強行する上層部...」(2020年4月25日)などの記事を配信している。

   別記事では、こうした相談に応じる労働組合の話も紹介したが、行政サイドで相談するとすれば、どの窓口に話をするとよいのか。

   新型コロナ関係の行政相談窓口は多岐にわたっており、健康不安や事業資金、雇用問題などに応じて様々な窓口が開設されている。特別に対象を絞らない、新型コロナ関係の一般的な相談窓口もあり、厚生労働省や各都道府県が設置している。ただ、こうした窓口は地区によっては電話が集中してつながりにくい状況にある。

   首相官邸サイトをみると、「困りごとや不安」に応じて具体的な相談窓口を紹介するページもあるが、J-CASTニュース編集部が4月27~28日に確認した範囲では、「新型コロナ感染防止策を十分にとってくれない職場に関する相談は、どこにすればいいか」といった趣旨の「困りごと」項目は見当たらなかった。

「職場の感染防止策に不安」の相談、実際にある

   J-CASTニュース編集部が27~28日、複数の省庁や都道府県に「『新型コロナ感染防止策を十分にとってくれない職場』の改善に関する相談は、どこに行うとよいのか」と質問したところ、「それは都道府県の担当でしょう。休業要請は知事が行っている」(国の某省庁担当者)、「そうした相談は(国の)●●省でしょう」(某都道府県の担当者)といった反応もあった。

   ある都道府県の担当者は、上記のような不安の声がある程度届いてはいるが、「法律の枠組みの問題などもあり、相談してもらっても行政ができることは少ない」と相談者に理解を求める対応を取っている、と答えた。そもそも、いわゆるコロナ特措法による休業要請自体に強制力がないと指摘した。

   さらに、施設面積によっては法によらない都道府県独自の協力依頼もあり、営業を続ける際に求める対策も、たとえば東京都サイトの例でみると「適切な感染防止対策の徹底を依頼」とあるように、行政としてはあくまで、依頼や協力要請にとどまる点を強調した。

   同様の論点から「相談して頂くのはよいが、相談を受けても基本的には個別対応は難しい」という反応は、厚労省の地方機関である各都道府県労働局が開いている「新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口」の一部担当者からも聞かれた。一方で、「法的に強制力のある対応はできないが、ケースによっては何か出来ることがあるかもしれないので、ともかく相談してほしい」と話す担当者もいた。

「職場の感染拡大防止チェックリスト」を積極的に周知

   大阪労働局では「直接的にできる事には限界があるが、少しでも不安解消に役立てば」と、「職場でのコロナ防止策への不安」といった相談の場合は、「特別相談窓口」のひとつである「同局労働基準部監督課」や府内13労働基準監督署で話を聞いている。同課によると、相談数は集計していないものの、実際にそうした不安の声は寄せられているそうだ。

   また、別の取り組みも行っており、府内の様々な会社や事業所に対し、任意に電話で経営支援などに関する相談はないかと聴き取ったり、併せて、厚労省がひな形を作った「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(「3密」となる社内行事を避けるなど)の周知やその実行の啓発も行ったりしている。こうした具体的な周知・啓発が、職場での感染防止対策向上につながることを期待している。

   他にも、東京労働局の「局総合労働相談コーナー」でも、「強制力ある対応はできない」とことわった上で、「ケースバイケースではあるが、状況によっては職場の『紛争』と捉えて『助言』などにつなげていく事が可能な事もあるかもしれないので、相談があれば内容を聴き取りたい」としている。

   各都道府県労働局の「新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口」の連絡先は、厚労省サイトで一覧が確認できる。

   今回は行政サイドの相談窓口を探ったが、J-CASTニュースの過去記事(「『100人近くが喋り続ける職場に恐怖』 コールセンター従業員が訴え(略)」、4月16日配信)では、こうした相談に対して非正規社員も含めて相談にのっている労組も紹介している。他の大規模労組でも、サイト上で新型コロナ関連の労働相談を受け付ける旨を掲載している。ある自治体の担当者の中には「行政は動くのが難しい分野の相談ですので、労働組合に相談するのも一つの手かもしれません」ともらした人もいた。

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