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拡大防止策に「経済」の視点も... 専門家会議・尾身氏「何度も政府にお願いをしていた」

   新型コロナウイルスに関する政府の専門家会議は2020年5月4日、東京都内で記者会見を行い、感染拡大防止策は「社会経済活動との両立を図る」ことが重要との認識を示した。

   現状、政府の政策決定プロセスにおいては「医療」以外の視点が欠けており、経済などの専門家の提言も考慮すべきだとする。

  • 尾身茂氏と安倍晋三首相
    尾身茂氏と安倍晋三首相
  • 尾身茂氏と安倍晋三首相

専門家会議は「ほとんど医療、公衆衛生、ウイルス学等の専門家」

   専門家会議が5月4日に公表した提言資料では、「今後、対策が長期化する中で、まん延防止を第一としつつ、社会経済活動との両立を図ることが課題」だと分析し、「政府においては、長期的な対策の継続が市民生活や経済社会に与える影響という観点からの検討を行う体制整備も進めるべきである」と指摘している。

   同日の記者会見で、副座長の尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は「実はこれ、私ども専門家委員会が何度も政府にお願いをしていた」と内情を明かす。

   提言の意図については「(ここにいる)専門家はほとんど医療、公衆衛生、ウイルス学等の専門家です。我々はそういう者としてずっと提言をしている」「経済的なインパクト等についてはもちろん市民としての感覚はありますが、評価したり、どうすればいいのかと(いうのは)専門性がない」 と説明する。

   尾身氏は、新型コロナウイルスをめぐる政策決定には医療、経済の2つの視点をもとに判断して欲しいとし、政府からは5月4日に「わかった、なんとかしよう」と返事があったという。

   会議のメンバーで東京大学医科学研究所の武藤香織教授も4月29日、ラジオ番組「荻上チキSession22」(TBSラジオ系)に出演した際、 「感染症の対策は広く社会、経済、人々の心理に影響を及ぼすものなので、医学の見地だけで置かれた委員会にしては大きい名称をお預かりしている」「もしこの名前を使うなら、その下にたくさんの部会があって、経済、心理、コミュニケーションの部会がある組織じゃないと足りていないと感じる」 と話していた。