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あのシベリア鉄道が「遅く」しかし「より快適」に? 7月ダイヤ改正、全線走破経験者が読み解く

   2020年6月に入り、ロシア鉄道はシベリア鉄道のシンボル的列車である「ロシア号」のダイヤ改正と車両更新について発表した。

   シベリア鉄道はどのように変わろうとしているのか。今回は7月ダイヤ改正の内容を簡潔に説明したい。

  • シベリア鉄道の起点駅ウラジオストク駅の待合室
    シベリア鉄道の起点駅ウラジオストク駅の待合室
  • シベリア鉄道の起点駅ウラジオストク駅の待合室
  • ウラジオストク駅から出発するハバロフスク行き「アケアン号」

全車両にシャワー室が付いた新型車両に

   シベリア鉄道を運営するロシア鉄道は7月に同線のダイヤ改正の内容を発表した。目玉はロシアを代表する名称列車「ロシア号」の停車駅倍増と車両更新である。「ロシア号」は極東ロシアのウラジオストクとモスクワを結び、シベリア鉄道全線走破ができることから外国人観光客から人気を集めている列車である。「ロシア号」の変更ポイントは以下のとおりだ。

・週3本の運行→毎日運行
・約60駅に停車→約140駅に停車
・全車両にシャワー室が付いた新型車両に更新

   停車駅が倍増することによりウラジオストクからモスクワまでの所要時間は15時間以上延びることになる。参考までに改正前のウラジオストク6月22日発のモスクワまでの所要時間は6日1時間48分、改正後のウラジオストク7月28日発は6日17時間40分となっている。

   また車両も更新される。新型車両の投入により、各車両にシャワー室が設置されることになった。従来は1等車しかシャワー室がなく、あくまでも補助的な位置づけだった。

   このように「遅く」「快適に」なる「ロシア号」だが、停車駅が少ないウラジオストク~モスクワ直通61・62列車も設定される。ウラジオストクからモスクワまでの61列車の所要時間は6日1時間48分(8月10日発)となり、ダイヤ改正前の「ロシア号」と同じ所要時間だ。ただし61・62列車は毎日運行ではなく、「ロシア号」に投入される新型車両は用いない模様だ。

中間客利用重視の表れか

   筆者は2018年末にシベリア鉄道全線走破を達成した。車内でロシア人乗客に聞くと、空港がない町へ行く際にシベリア鉄道を利用し、飛行機で行けるところは飛行機で行くというスタンスだった。毎日運行になり、新型車両に置き換えた上で停車駅を倍増する「ロシア号」の方針を見ると、明らかに中間客利用を重視しているように思える。

   ところでシベリア鉄道全線走破をした方なら、同乗客から食料をもらったことはないだろうか。筆者が乗車した時は短距離利用(1泊2日)が多く、ロシア人乗客であっても食料を十分に持ち合わせていないことがあった。これからシベリア鉄道全線走破する方は乗車前にスーパーマーケットで十分に食料を確保することをおすすめする。

(フリーライター 新田浩之)