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自民・麻生派パーティーに批判続出 コロナ禍でも強行した理由とは

   新型コロナウイルスの感染が再拡大する中で行われた自民党・麻生派の政治資金パーティーに対し、ネット上で疑問や批判が噴出している。

   感染防止対策は取っているものの、1000人規模の集会への反発は、当然予想されたはずだ。それでも強行した背景には、政界の動きが絡んでいるのだろうか。

  • 麻生太郎氏(2007年撮影)
    麻生太郎氏(2007年撮影)
  • 麻生太郎氏(2007年撮影)

麻生太郎氏は、安倍首相と早めに解散・総選挙を乗り切りたい?

「都民にはGo To トラベルキャンペーンを自粛させて、自身の政治資金パーティーは良いのか」
「今すべきは感染症の法改定などであって、選挙資金を集めることではない」
「関心事は国民より、自分の影響力の維持って事ですかね」

   麻生派のパーティーが2020年7月16日、東京都千代田区内のホテルニューオータニで開かれたとニュースサイトなどで報じられると、コメント欄やツイッター上では、こんな厳しい意見が相次いだ。「ガイドライン通りにやってるんだが、麻生派のパーティーなんで叩いてんの?」と理解を示す向きも一部にあったが、1つ席を開けながらも会場にギッシリ集まった支援者らの写真や映像に嘆く声の方が多かった。

   各マスコミの報道によると、石破派など他のパーティーは、主に9、10月に予定されているが、麻生派のパーティーが先陣を切った。3密を防ぐため、ホテル内で3会場に分散させ、オンライン中継も行った。従来の立食を止めて着席に変更し、飲食物も出さなかった。

   派閥を率いる麻生太郎副総理兼財務相は、「政権のど真ん中で引き続き精進し、政権をしっかり支えてまいりたい」とあいさつし、安倍晋三首相との関係をアピールした。コロナ禍を意識してか、憲法に緊急事態条項を盛り込むべきと明かし、安倍首相から「任期中に憲法改正を成し遂げたい」とのビデオメッセージも流された。政界では、解散・総選挙が関心事になっており、この条項を争点に選挙に挑みたいということなのかもしれない。

「石破茂元幹事長には、次期首相をやらせたくない」との見方も

   麻生氏が先陣を切ってパーティーを開いた背景には、20年秋に解散・総選挙を安倍首相に進言しているためだとも報じられている。その真相や狙いについて、政治評論家の有馬晴海さんは、J-CASTニュースの取材にこう話した。

「毎年、通常国会が終わったこの時期に、各派閥のパーティーが開かれています。麻生さんが延期せずにやったのは、解散を促していて、早めにしないとお金を集め損なうと考えたことがあると思います。派閥で集めたお金は、選挙資金などに充てるため、子分に配られることになりますね。これから、派閥のパーティーが続き、Go To キャンペーンもありますので、緊急事態宣言は出さないでしょう」

   解散の時期については、東京五輪を中止するかどうか決める前の9月を想定しているようだというが、決めた後の可能性がある10月もありうるとした。ただ、連立を組む公明党が、コロナで集会がしにくいため秋の解散に難色を示しているといい、年末や年明けの解散の可能性もあると有馬さんはみている。

   安倍首相に近い麻生氏が早めの解散を唱えているとされるのは、次期首相を巡る自民党内の事情もありそうだ。

「安倍さんは、コロナ対応などでかなり疲れており、4選はやるつもりがないでしょう。自らの力があれば、政調会長の岸田文雄さんを後継者にしたいのだと思います。しかし、安倍さんの人気が落ちており、その後継者の岸田さんに譲られても、岸田さんでは選挙を戦えない、といった声が党内から相次いでいます。代わりに、元幹事長の石破茂さんなら選挙をやりやすいとの声が強くなっており、院政を敷きたい安倍さんにとっては、やらせたくない相手だと思いますね」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)