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クルーザーが浜辺に接近...由比ガ浜の動画物議 「サーファーに依頼された」と船長、海保は注意指導

   神奈川県鎌倉市内の由比ガ浜で、クルーザーが浜辺に接近して水遊びなどをする親子らの近くを走る動画がツイッターに投稿され、物議を醸している。

   クルーザー側にも事情があったといい、海上保安庁は、立件はせず船長らを注意指導するに留めた。

  • 浜辺に近づき、あわや…(長嶋竜弘議員投稿の動画から)
    浜辺に近づき、あわや…(長嶋竜弘議員投稿の動画から)
  • 浜辺に近づき、あわや…(長嶋竜弘議員投稿の動画から)

親子らの近くを通り過ぎ、サーファー1人に水しぶき

   白いデッキに黒っぽいボトムのクルーザーが、浜辺から見て左方向から水しぶきを上げながら、サーファーや水遊びする人たちに近づいてくる。

   デッキには、水着姿の若い女性ら数人が立って、サーファーらに手を振っている。クルーザーは、海の中に立つ親子らの近くを通り過ぎ、サーファー1人に水しぶきがかかるほど接近した。すると、「危ない!」と何度も叫んでいるような声が響き...。

   この40秒ほどの動画は、鎌倉市議会の長嶋竜弘議員(無所属)が2020年8月16日夜、ツイッターに投稿した。ツイートによると、クルーザーは、波打ち際の人がいる直ぐ横を何度も行ったり来たりしたという。動画は、もう1本あり、2本で計50万回以上も再生されて、様々な意見が寄せられている。

   「マジで危ねえ」「何を考えてるのか」「こういう人は免許を剥奪して欲しい」などと厳しい声がほとんどのようだ。

   同タイプのクルーザーは、ネットで検索すると、イタリアデザインのアメリカ製で船内にキッチンやベッドルームなどもあり、中古でも7000万円台の値を付けていた。こうしたことも話題になっていた。

   長嶋議員は18日、動画を撮ったときの状況について、J-CASTニュースの取材にこう話した。

迷惑防止条例に抵触する恐れを船長らに説明したが...

「お盆最終日の夕方、自転車に乗って海の様子を見に行くと、クルーザーが波打ち際まで迫って、危ないと思いました。また、海を旋回して浜辺に近づいてきたので、砂浜まで下りてスマホで撮影しました。4回ぐらい同じことを繰り返したのを見ましたが、その前に通報が何件もあったらしく、海保らしき船がクルーザーを止まらせて指導している様子でした」

   クルーザーが浜辺に近づいたときの状況については、こう言う。

「海の中にいる人たちに数メートルの距離まで接近していました。サーファーには、波を被るぐらい近づき、沖にもSUP(スタンドアップパドルボード)の人がいる中で、その間を抜けるように走っていましたね。サーファー以外の人も海に入っていましたので、危ないことはしてほしくないですね」

   当時の状況について、海保の横須賀海上保安部は18日、管理課の担当者が取材にこう答えた。

「連絡を受けて船舶と接触し、船長に話を聞いて、事実関係を確認しました。また、付近のサーファーなどからも話を聞いています。それによると、サーファーから『船が来ると波が起きるので、もっと波を立ててくれ』と停泊しているときに声をかけられ、数分ぐらいかけて、何回か浜辺近くを往復したということです。このことでのケガ人はいません。船に乗っていたのは、複数の友人たちの集まりで、飲酒運転の事実は確認されませんでした」

   海保では、船を立ち入り検査したうえで、「一歩間違えれば事故につながった」として、神奈川県迷惑防止条例に抵触する恐れがあることを船長らに説明した。しかし、依頼したサーファーにも問題があり、陸から見えるほど人の近くまでは接近していなかったなどとして、逮捕や書類送検はせず、船長らへの注意・指導に留めた。免許取り消しもしないという。

   海保によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海水浴場が設置されておらず、マリンスポーツとのエリア分けもされていないことから、「クルーザーや水上バイクなどが近づいてきて危険だ」という通報が何件か来ているそうだ。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)