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「BEAMS」Tシャツに「女性蔑視」批判相次ぐ 広報「意図を正確にお伝えすべきでした」

   セレクトショップ大手のビームス(東京都渋谷区)が販売するTシャツのデザインをめぐり、「女性蔑視」などと批判が集まっていた一件で、同社は取材に「ご購入のお客様や関係者の方々、世間の皆様にご迷惑をお掛けし、誠に申し訳なく思っております」と謝罪した。

   Tシャツには、売春・買春を連想させるような絵柄などがプリントされていた。

  • 「Just call me Tee」「LOVERAT IS OVER」(ビームス公式ツイッターより)
    「Just call me Tee」「LOVERAT IS OVER」(ビームス公式ツイッターより)
  • 「Just call me Tee」「LOVERAT IS OVER」(ビームス公式ツイッターより)
  • 「Just call me Tee」のアップ図

「DVと買春のどこが可愛いんだ」

   批判が集まっているのは、ビームスのTシャツ専門レーベル「BEAMS(ビームス) T」で展開する商品だ。アパレルブランド「LABRAT(ラブラット)」とイラストレーターのFACE氏が手がけたTシャツで、2020年4月から販売していた。

   デザインは「Just call me Tee」「LOVERAT IS OVER」の2種類あり、前者はテレホンクラブ(テレクラ)などの、いわゆる「ピンクチラシ」を参考にしたとみられる。

   下着が見える格好をした、制服姿の女性とみられる人物がプリントされており、「おまたせ~エ」「ギャル募集中」との文言や、電話番号が添えられている。

   後者は、「YOU WILL NEVER LIE TO YOURSELF」との文言とともに、長髪の人物が短髪の人物に口を塞がれ拳銃を突き付けられている絵柄があしらわれている。

   商品ページでは、それぞれ「バックプリントには魅力的な女性が描かれており、氏のイラストならではな1品です」「可愛さと毒々しさが入り混じる印象的なアイテムです」と短く紹介されており、デザインの詳しい意図は不明だ。

   商品は8月30日に突如、ツイッターで拡散された。ビームスの公式アカウントが同商品を紹介した投稿には2000件以上のコメントが寄せられ、

「DV(ドメスティック・バイオレンス)と買春のどこが可愛いんだ」
「女性が性的に売買されることを表象化したイラストが『可愛さと毒々しさ』?何かの風刺には見えなかった」
「ファッションが社会に与える影響をもっと自覚してほしい」

などと厳しい批判を浴びた。同日に「BEAMS」がトレンド入りするほど言及数が多かった。

   一方で、「『LOVERAT(浮気男)は終わり。もうあなたは自分に嘘をつかなくていいんだよ』っていう浮気男との決別を表したって解釈も十分出来るわけだよな」「学生の顔が逆さになっていたり、男に塞がれた口が悲しげな形になっていたりとfaceはDVや売春を肯定的に描いているわけではない」と解釈し、デザインに理解を示す向きもあった。

ビームス広報「アンチテーゼが込められているという解釈」

   ビームス広報部は31日、J-CASTニュースの取材に、販売の経緯を「LABRATの取り扱いに関しては、今回のFACEさんとの商品を始め、アーティスト起用商品やストリートカルチャーに特化したグラフィック商材を多数取り扱いしており、BEAMS Tのテーマと親和性のあるブランドのためBEAMS Tでの展開を始めました」と話す。

   同社は「イラストのモチーフとされた事象へのアンチテーゼがデザインに込められているという解釈のもと、仕入れ販売しておりました」と釈明し、「本来であれば、販売過程の商品説明において、バイイングの意図を正確にお伝えすべきでしたが徹底しておりませんでした。ご購入のお客様や関係者の方々、世間の皆様にご迷惑をお掛けし、誠に申し訳なく思っております」と不手際を謝罪した。

   商品の1つは騒動前に販売を終了しており、もう1つは騒動を受けて販売中止したという。