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菅氏は「生い立ち」国会で明らかにすべき? 発言物議の立憲・小川淳也氏、ツイッターで「真意」説明

   無所属から立憲民主党に合流する小川淳也衆院議員(49)が、自民党の菅義偉新総裁に対し、その生い立ちを国会で明らかにする必要があるなどとBS番組で発言し、物議を醸している。

   出自の差別につながるのではとの批判がツイッター上で寄せられているが、小川氏は、差別を否定し、その真意を投稿した動画で説明した。

  • 15日、立憲民主党結党大会に登壇した小川氏。前日の発言が物議
    15日、立憲民主党結党大会に登壇した小川氏。前日の発言が物議
  • 15日、立憲民主党結党大会に登壇した小川氏。前日の発言が物議

「どういう人間かは、どういう生い立ち、どういう環境かに規定されるんですよ」

「叩き上げストーリーをもし作られているとしたら、それはちゃんと実情を見ないといけない」

   小川氏は、2020年9月14日夜放送のBS-TBS番組「報道1930」に出演し、叩き上げとも言われる菅新総裁について、こう持論を述べた。

   そして、小川氏は、菅氏が選挙区の神奈川県に地縁・血縁はないと言っているが、亡き父親が、秋田県の地元町議を4期務めたこともあり、比較的豊かな農家だったとの説もあると指摘し、こう続けた。

「そこらあたりは、逆の意味の虚像を作っているのであれば、それはきちんと国会も含めて、どういう人物なのか、というところをしっかり明らかにすることが、総理大臣としては最初の仕事であるような気がします」

   これに対し、番組に出演した元大阪市長の橋下徹氏が「僕は、あんまりそこは重要じゃないと思うんですけどね。もう仕事ができるできないの話であってね」と異論をはさんだ。

   橋下氏は、週刊誌で出自を書かれた経験がある。過去を掘り下げることに同意できないようだ。

   しかし、小川氏は、橋下氏に反論し、「どういう人間かは、どういう生い立ち、どういう環境かに規定されるんですよ」と述べた。

「虚像を貼ってるなら剥がさなきゃいけない」とも小川氏主張

   「いや、僕は、それはないと思う」。橋下氏は、腕を組んでこう言い返したが、小川氏は、なおも続ける。

「どういう人物が、どういう政策に情念を持つかを規定するんですね。だから、それはやっぱり、全部とは言いませんよ。しかし、虚像を貼ってるなら剥がさなきゃいけないし、等身大で語ってくれるならそれでいい、っていう話なんですよ」

   橋下氏は、虚像のくだりで「う~ん」とうなり、こう返した。

「でも、人間の見方として、その生い立ちうんぬんというのは、僕は違うと思うなあ。そんなこと言い出したら、生い立ちやら何やらがね、逆境で苦しく、で本当に大変な、じゃあ少年院にね入った子供たちはそういうことを全部公にするのですか?」

   この点については、小川氏は、「そんなこと言ってないでしょ」と否定し、「仕事にどういう価値観を持っているかが反映されるから、きちんとチェックしないといけないと思いますよ」と説明した。しかし、橋下氏は、政治家は仕事の部分で国会論戦すべきだとし、「国会で人の価値観とかそんなところを見通せる能力があるような国会議員なんていないですよ」と疑問を呈した。

   番組でのこのやり取りは、ツイッター上で話題になり、小川氏への疑問や批判が次々に寄せられている。

   「流石に生い立ち発言にはドン引き」「橋下の前でこれを言うか」「これこそ『差別』だと思うけど正気なのか?」といった声が相次ぎ、「ブーメランになりますよ」「まずは、ご自分所属されている党の足元から、確認いただけるといい」との指摘も出た。また、小川氏の姿を追ったドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を持ち出して、皮肉る向きもあった。

ネット上の批判には、「生い立ちを差別しようと思ったことはない」

   小川氏は、翌9月15日の立憲民主党結党大会で開会宣言を行ったが、ツイッターでは、「政権の受け皿づくりに全力を尽くします」とその紹介をするとともに、BS番組での発言についても動画などで釈明した。

   動画では、「少し真意が十分伝わらなかったことをお詫びします」と前置きして、こう述べた。

「私は、人の生い立ちを差別しようとか、区別しようとか思ったことは一度もありません。ただし、この国の内閣総理大臣、最高権力者が自分の経歴を正しく説明するかどうかは、極めて重要だと思っています。例えば、菅さんに関しては、叩き上げ伝説、庶民派伝説が随分と出来上がってますが、貧しい農家だったのか、裕福な農家だったのか、そして集団就職で来られたのか、あるいは単独で来られたのか、そして、政治家に血縁者はいないのか、それともお父さまは町議会議員であられたのか、億円単位の政治資金、それから億は下らないという横浜の高級マンションにお住まい、どっちでもいいんですよ。どっちでもいいんですが、盛ったり、ウソをついたり、あるいは伝説をことさらに作るのは間違ってると。特に、最高権力者の場合は、という趣旨で申し上げました」

   そのうえで、小川氏は、こう結んだ。

「十分真意が伝わらなかったことはお詫びしたいと思いますが、その前提で、しっかり信頼に足る政治を行っていく第1歩だという思いは変わりません」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)