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「50億円超」の豪邸、米中企業のIT株... 菅内閣の閣僚たちは、資産も「実力派」だった?

   菅義偉内閣の閣僚20人のうち15人は安倍内閣からの再任や「横滑り」、「再登板」で、新鮮味こそ乏しいが、実力派ぞろいとは言える。そんな政界でキャリアを積み重ねてきた閣僚らはどのように資産形成をしてきたのか。J-CASTニュースは菅首相と閣僚21人の資産を調べてみた。

   国会議員が国政選挙の当選後に提出している資産報告書と、選挙後も毎年提出する資産補充報告書を国会で閲覧し、集計した。

  • 菅内閣でも資産額のトップはやはり・・・(2020年9月9日)
    菅内閣でも資産額のトップはやはり・・・(2020年9月9日)
  • 菅内閣でも資産額のトップはやはり・・・(2020年9月9日)
  • 菅内閣の閣僚の比較可能な資産額と主な保有資産(資産報告書などから)

あの人の豪邸、時価「50億円は超える」?

   所得では2位に甘んじた麻生太郎・副総理兼財務相だが、資産では約4億8682万円(2017年10月の衆院選時点)と、ダントツのトップだった。その大半を占めるのが、東京・渋谷の自宅地にある豪邸のほか、地元・福岡県飯塚市などに広大な不動産だ。

   ただ、資産報告書で報告される数字は、土地や建物の固定資産税の評価額で、実際の資産価格からは大きく乖離する。そこで、高級物件の売買を手がける複数の不動産業者に取材してみた。すると、渋谷の一等地にある自宅は「土地だけでも50億円は超えるでしょう。建物も価値が高そうな洋館なので、こちらも億単位でしょうね」と教えてくれた。

   また、麻生氏は、ブリヂストンや九州電力など上場6銘柄を保有しており、株数と2020年9月29日の終値で単純計算すると、その価値は約8731万円に上った(株式分割や併合などは考慮していない)。

麻生氏の自宅(東京都渋谷区)
麻生氏の自宅(東京都渋谷区)

   保有資産額の2位は平井卓也・デジタル担当相で、約2億1754万円(17年10月の衆院選時点)。その大半が、東京・広尾にある約300平方メートルの宅地(家族2人と共有)や地元・高松市に所有する土地・建物など不動産だ。広尾の物件についても先出の不動産業者に聞いてみたが、「実際の市場価値は数十億円になりそう」だという。

   平井氏もやはり株を多く持つ。しかも米フェイスブックや中国の「百度」(バイドゥ)の株をそれぞれ230株、170株所有するなど、世界的なIT銘柄も含む。9月30日0時のナスダック株価と米ドル為替相場で単純計算すると、2銘柄だけで845万円の価値があった(こちらも株式分割などは考慮せず)。

小泉環境相、妻・滝川クリステルさんが約3億円保有する一方で...

   3位にランクインしたのは、岸信夫・防衛相で、約2億340万円(17年10月の衆院選時点の資産報告書とその後の資産補充報告書を集計)。

   岸氏は安倍晋三・前首相の実弟だが、幼少の頃に母の兄の岸信和氏(岸信介元首相の長男)と養子縁組したため、岸姓を名乗る。その信和氏が17年に亡くなり、多額の資産を相続したため、資産額がトップクラスに躍り出た。港区高輪にあるマンションの一室(約228平方メートル)のほか、「金銭信託」約1億6055円分を相続したことが、18年分の資産補充報告書からわかる。

菅内閣の閣僚の比較可能な資産額と主な保有資産(資産報告書などから)
菅内閣の閣僚の比較可能な資産額と主な保有資産(資産報告書などから)

   ちなみに小泉進次郎・環境相は、自身の資産は「資産ゼロ」と報告しているが、19年9月の環境相就任に伴って妻・滝川クリステルさんの保有資産も公開されており、その額は約2億9000万円だった。内訳は、国債1億5000万円、公社債1399万円、証券投資信託及び貸付信託等802万円、その他が1億1800万円だ。

   小泉氏は19年11月、資産公開後の会見で「私と結婚したことで(クリステルさんが保有資産を)公開しないといけなくなった。ルールではあるが率直に申し訳ない気持ちだ」と述べている。

小泉進次郎・環境相と妻の滝川クリステルさん
小泉進次郎・環境相と妻の滝川クリステルさん

   とはいえ、小泉氏の資産が「ゼロ」というのは腑に落ちない。これには実はカラクリがあり、仮に小泉氏が多額の預金や現金を持っていても、報告する義務があるのは定期預金だけなのだ。「タンス預金」など現金や、普通預金は対象外だ。「低金利時代」にあえて定期預金を持つ人は多数派ではなさそうだが...。

   他にも、生計をともにしていない名義の資産や、資産管理会社など法人名義の資産も、報告する義務はない。公開基準が緩く、罰則規定もないのが日本の今の資産公開制度。政治家が地位を利用して不正な蓄財をしていないか有権者がチェックできる環境からはほど遠いのが実態だ。