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へずまりゅうの「弟子」が逮捕されるまで 好青年はなぜ「迷惑系YouTuber」と化したか

   墓地で卒塔婆(そとば)を振り回すなどしたとして、山口県警防府署は2020年12月3日日、ユーチューバーの川西康司(こうじ)容疑者(28)を礼拝所不敬容疑で逮捕した。容疑を認めているという。各メディアが報じた。

   川西氏は、先日、逮捕・起訴された迷惑系ユーチューバー「へずまりゅう」の弟子を名乗り、過激な動画をたびたび投稿していた。「NHKから国民を守る党(21年1月から『ゴルフ党』に変更予定)」の公認を受け、政治活動も行っていた。

  • ネットに転載された動画
    ネットに転載された動画
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「余罪」続々

   問題の行為は、川西氏が11月30日にユーチューブに投稿した動画に収められている(現在は削除)。

   タイトルの「墓場あらしてやった!」の通り、川西氏とみられる男性が墓碑に乗り、卒塔婆を振り回す。「死んで当然じゃお前ら!」「生き返りてえか、おい〇○」「不謹慎ユーチューバーナンバーワン」などと終始、奇声を上げている。

   そのほかの動画でも、川西氏の常軌を逸した言動が確認できる。

・「アフガニスタンのクソガキ、見てるか」と叫びながら菓子パンとおにぎりを踏み潰す
・戦国武将毛利元就の像の台座にのぼり、像を殴打
・神社の鈴縄にぶら下がり、「コロナで全員死にますように」と祈願
・野良猫にエサのようなものを投げつける
・釣った魚を車で轢き潰す
・メダルゲーム中の客から、メダルを窃盗
・タヌキの死骸とともに「轢き殺した」と主張

「生、立花さんにも会えました」

   川西氏は、一体何者なのか。

   川西氏のツイッターのプロフィールによれば、へずまりゅうのマネージャーを務めており、尊敬する人物にN国の立花孝志氏を挙げている。

   ユーチューブの最初の投稿は、19年8月の「NHKから国民を守る党公認希望 川西こうじ 自己紹介」という動画だ。

最初の投稿
最初の投稿

   N国からの公認を受けるために動画投稿を始めるとし、「立花孝志さんの力になりたい」と真剣な眼差しで語る。現在とは様相が異なり、誠実で朴訥(ぼくとつ)な印象を受ける。その後の投稿も、政治関連の真面目なトークが中心だ。

   これまで無職だったというが、10月には選挙資金を貯めるためにアルバイトを始めた。翌月には居住する高知県から神奈川県に出向いて立花氏と対面を果たした。その日の動画では「コミュ障の僕でも温かく迎えられてよかった。生、立花さんにも会えました。またボランティア行きたい」と興奮気味につづっていた。

   ツイッター・ユーチューブでのPRやポスター張りなどのボランティアで熱意が伝わったのか、20年4月に「立花党首から、松山、高松の公認を頂くことができました。応援してくれ、助けてくれた、色んな方のお陰です。本当にありがとうございます」とツイッターで報告し、「これからだと思うので、頑張ります」と誓っていた。N国の公式サイトにも、その名前が掲載された(12月4日時点では削除されている)。

炎上商法をちょっとしてみたかった

   過激化し始めたのは、今年11月に入ってからだ。人が変わったかのように、前述のような動画を連投した。

   11月16日の動画では、その意図を「有名になりたい、ユーチューブの再生数を伸ばしたいから」「炎上商法をちょっとしてみたかった」と説明。N国の大橋昌信副党首からは「約束破ってるよね」などと叱責されたとも明かした。

   川西氏は公認を得た後、大橋氏に「アルバイトをしながらN国の政治活動をして、松山市で知名度を上げて選挙に出ようと思ってます」と伝えていたという。

   思うように知名度が上がらず焦りがあったのか。川西氏は「N国に公認をもらっているからこそ、炎上できるんじゃないかとの思いがあった」とも語っていた。過激動画の影響力やノウハウは、マネージャーとして活動を共にしたへずまりゅうから十分学んだはずだ。

(左から)立花氏、川西氏、へずまりゅう
(左から)立花氏、川西氏、へずまりゅう

   26日には大橋氏がツイッターで「先程、川西こうじ君から連絡があり『YouTuberとして頑張る!』との連絡をもらいました。これにより松山市、高松市の公認は辞退となりました」と報告。それから1週間後、川西氏は動画が原因で逮捕された。