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フランダースの犬「1話と最終話だけ」配信 JOYSOUNDの「50話分カット」が話題、運営会社に理由を聞いた

「(パチンコ)CRフランダースの犬以来の衝撃」

   あるツイッターユーザーは、情報を目にした際の驚きをこう表現した。カラオケ機器「JOYSOUND」などを手がけるエクシング(名古屋市)は、カラオケルームでテレビアニメシリーズ「世界名作劇場」の作品を観られるサービスを2021年1月20日に開始。その第1弾として『フランダースの犬』を配信しているが、見られるのは「第1話」「最終話」の2話分だけなのだ。

   一体なぜ「大幅省略」になってしまったのか。エクシングの広報担当者に話を聞いた。

  • 「疲れるのが早すぎるフランダースの犬」が話題に(画像はエクシングのニュースリリースより)
    「疲れるのが早すぎるフランダースの犬」が話題に(画像はエクシングのニュースリリースより)
  • 「疲れるのが早すぎるフランダースの犬」が話題に(画像はエクシングのニュースリリースより)

途中の50話分は「総スルー」

   『フランダースの犬』はイギリスの作家・ウィーダによる児童文学作品。ベルギーのフランダース地方を舞台に、絵を描くことが好きな少年・ネロと老犬・パトラッシュの暮らしを描いたストーリーだ。日本では1975年に放送された「世界名作劇場」(フジテレビ系)のテレビアニメで知られ、最終話でネロが天に召される場面は、アニメ史に残る名シーンとも言われる。

   放送から40年以上が経った今。DVDや動画配信サービスでの視聴も容易になっている中、この名作を一風変わった手段で視聴できるサービスがある。エクシング(名古屋市)のカラオケ機器「JOYSOUND」を通じて、カラオケルームにいながら作品を無料で見られるというものだ。音楽ライブやお笑いライブを視聴できるJOYSOUNDのサービス「みるハコ」では、1月20日から4月19日にかけて「世界名作劇場」のアニメ作品を無料配信。その第1弾として、「フランダースの犬」の配信がはじまった。

   しかし、視聴可能なのはネロとパトラッシュが出会う「1話」と、ネロが亡くなる「最終話」のみ。アニメ全52話のうち、途中の50話分は「総スルー」されてしまったのだ。

   このことは1月下旬、ツイッターユーザーの間で大きな話題に。「鬼かっ!」「健気な男の子だな〜と思ってたら次の無料公開話で天に召されてるの急展開すぎる」「疲れるのが早すぎるフランダースの犬」「タイトルも『フラ犬』に変えよう」と反響が続出した。中には「忙しい人のためのフランダースの犬」「フランダースの犬RTA(リアルタイムアタック)」と表現する人もいた。

他のメディアで「全てのストーリーを満喫頂ければ...」

   一体なぜ、「大幅省略」になってしまったのか。2月3日、J-CASTニュースがエクシングの広報担当者に話を聞くと、次のように説明した。

「2~3時間程度のルーム利用時間の中で楽しんで頂ける形として企画しました。本来であれば、作品は全話通してご覧いただけるのが一番良いのですが、カラオケは時間制限のある中でお楽しみいただくレジャーです。この中で『フランダースの犬』をご覧いただくために有効な対応だと考えました」

   動画配信サービスにおける『フランダースの犬』の全52話の配信時間は、合計で約23時間30分にのぼる。緊急事態宣言が出されている地域ではカラオケ店が「時短営業」となっている中、これだけの長さを「一気見」するのは現実的ではなさそうだ。

   しかし、ツイッター上では「間のストーリーあってこそ」「物語は積み重ねも大事」といったように、作品を配信するのならば全話流してほしい、という声も聞かれている。広報担当者はこうした声を「認識しております」としつつ、次のように語った。

「『みるハコ』での配信をきっかけに『フランダースの犬』を思い出していただいたり、知っていただいたりすることが出来ればと考えております。ネロとパトラッシュの衝撃的な出会いが描かれた第1話から、何度観ても涙が止まらない感動の最終話へと繋がる中間のストーリーへも興味を持っていただき、興味をもたれた方が、他の媒体にて全てのストーリーを満喫頂ければ幸いです」