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「ありえない愚策」「心肺停止に近い状態」 時短要請に「応じなかった」外食大手、東京都に訴え2700字超

   「『指の先が化膿したので、腕を肩から切断』するような、ありえない愚策だと思います」 ――。

   首都圏を中心に飲食店を展開する外食大手「グローバルダイニング」(東京都港区、東証2部上場)は2021年3月12日、東京都からの時短要請を受けて作成した「弁明書」を公式サイトで公開した。

  • グローバルダイニング公式サイトより
    グローバルダイニング公式サイトより
  • グローバルダイニング公式サイトより
  • 長谷川耕造社長(プレスリリースより)

26店舗が要請に従わず

   東京都は2月26日以降、3回にわたり、営業時間の短縮要請に応じていない施設に対して、特別措置法に基づいて時短要請した。

   都総務局によれば、3月15日までに113施設に要請した。従わない場合に罰則のある「命令」はまだ出していないという。

   グローバルダイニングも3月5日、同社の飲食26店舗が時短要請に応じていないとして、都から「弁明の機会の付与について」と題した書面が届いた。

   同社は、長谷川耕造社長名義で返送した「弁明書」を12日に公式サイトで公開した。「当社の新型コロナウイルスに関しての考え方について」「新型コロナ対策についての疑問」「45 条要請及び経済対策についての疑問」の3つの章立てで、要請に応じない理由を2700字超にわたって述べている。

   主張の大部分は、都の新型コロナ対策や補償への不満だ。

「命を守る具体策を実行せずに...」

「必要なはずの、ハイリスクグループの命を守る具体策を実行せずに、感染を低減、低減と言って、 緊急事態宣言を要請・発出して経済活動に対して 2 回にわたりブレーキを踏み、さらに延長するのは、経済を心肺停止に近い状態にするのに等しいと言わざるを得ません」「これを例えれば『指の先が化膿したので、腕を肩から切断』するような、ありえない愚策だと思います」
「不要不急の外出を控えるよう言いつつ、(時間や人数が限られているとはいえ)映画やイベント、テーマパークなどの営業が認められるような緊急事態宣言に何の意味があるのでしょうか。少なくとも外食は、それを必要とする人は、どの時間帯においても少なからず居ります」
「協力金等の経済対策についても、一律 1 日6万円というのはあまりにも不合理です。 対応のスピードを理由にしているようですが、方法はいくらでもあるはずです。店舗・企業の状況に応じた経済対策を望みます(中略)効果的な対策がなされていれば、当社も要請に応じていた可能性は高いものと考えております」

   さらに、この弁明をすること自体が不自然だと主張する。「これはあくまでも『要請』であり、要請を受けた側が任意に判断できるものであると考えております」「任意に選択できるはずの要請に応じなかった事に対し『弁明』を求めることに違和感を覚えます」

   現時点で要請に従う意向はないとし、もし「命令」が出た場合は「法律上の強制力をもった当社の『義務』となるため、遺憾ではありますが、その命令には従う用意はあります」との覚悟を示している。

都の見解は...

   弁明書は「本弁明書に書ききることのできない、当社の考え、飲食業界の思いは他にもたくさんあります。 可能であれば、直接ご面談させていただき、ご説明させていただきたいと考えております。本弁明書による当社意見を真摯に受け取っていただくことを望む次第です」と結んでいる。

   長谷川社長の訴えはSNS上で大きな反響を呼び、都の対応に注目が集まっている。グローバルダイニング広報室によれば、15日現在、都から弁明書に関する連絡はないという。

   都総務局は15日、J-CASTニュースの取材に、内容は把握しているものの「コメントについては差し控えさせていただきます」と答えた。