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立憲・福山幹事長をピリつかせた記者の質問 「今そんなことを言う必要は全くない」

   与野党で内閣不信任決議案の提出や解散総選挙をめぐる発言がエスカレートする中、立憲民主党の福山哲郎幹事長が2021年3月30日の定例会見で、記者の質問について「なぜ野党に不信任案提出を求めるような質問をするのか」と不快感を示す場面があった。

   福山氏は、解散で「政治空白なんか作ったら、国民に怒られるんじゃないですか?」とする一方で、「解散されたら受けて立つ」とも。党としての方針を確認するための質問だったが、福山氏は「今ここで、そんなことを言う必要は、まったくないと思う」と慎重姿勢。感染者数のリバウンドが警戒される局面で、野党側が不信任案で政局を仕掛けようとしていると受け止められることを強く警戒した形だ。

  • 定例会見に臨む立憲民主党の福山哲郎幹事長
    定例会見に臨む立憲民主党の福山哲郎幹事長
  • 定例会見に臨む立憲民主党の福山哲郎幹事長

不信任案は会期末提出が慣例だが「4月中でも5月中でも」

   立場上、不信任案提出に含みを残した発言を続けているのが立憲の安住淳国対委員長。その安住氏が3月23日、記者団から不信任案提出の考えについて問われ、時期について踏み込んだ発言をした。安住氏は、不信任案は慣例では国会会期末に出すものだとしながら、

「今回は、時期はそれにとらわれないと思っている。様々な要因が重なれば4月中でも5月中でも不信任案を出すことはありうると思っている。一番大きな政局のインパクトのあるときに出したいと思っている」

と発言。6月16日の会期末を待たずに不信任案を提出する可能性に言及した。不信任案提出が解散総選挙の引き金になることは多く、自民党の二階俊博幹事長は3月29日の記者会見で、不信任案が提出された際の対応について

「私は、ただちに解散で立ち向かうべきだ、という風に進言したいと思う」

と明言。

「もちろん否決しますよ、しかし、解散を望むならね、我々は受けて立つ」
「不信任案を出してくる限り、与党の方は解散に打って出る覚悟を持っている」

とも述べた。

「総辞職に値する」が「それこそ解散どころではない」状況

   この「進言」発言に安住氏も反応した。3月30日午前の野党国対委員長連絡会議後、ワクチンの接種が滞ったり、第4波が防げなかったりした際の対応について、

「総辞職に値をするのではないかという認識で一致した。そのために我々として取り得る行動は、ちゅうちょなく取っていきたいということになると思う」

と述べた。この発言からは「総辞職に値する→ちゅうちょなく不信任案提出」と読めるが、福山氏は違った受け止め方をしている。

   第4波到来の際の対応について、同日夕の会見で質問された福山氏は、

「率直に申し上げて、第4波が来て感染が急増して、病床が逼迫(ひっぱく)するような状況になったら、政治空白なんか作ったら、国民に怒られるんじゃないですか?そうやって正直申し上げると、私は第4波が来て、感染がどんどん増えるような状況が各地で見られるようになれば、それこそ解散どころではないと思いますよ?」

などと、コロナ禍で解散することの問題を指摘。一方で、仮に第4波が起きれば「菅内閣の政治的な責任は免れない」とも話した。その意図について、緊急事態宣言の延長や解除の際に理解可能な説明が行われなかったことや、国民に自粛生活を求める中で厚労省の職員23人が深夜まで会食していたことを挙げながら、

「そりゃ総辞職に値するでしょう?国民はそんな政権に任せておけると思うでしょうか?多分、そういう話だと僕は思いますよ?」

などと説明した。

「不信任案を出されて野党のせいにするような解散は、まったくする必要はない」

   その上で次のように述べ、コロナ禍で、しかもいわゆる「大義」が設定されない中での解散は不適切だとの見方を繰り返した。

「野党が不信任を出すとか出さないとか関係なく、このコロナの感染状況で、この経済状況で、五輪がどうなるかみんな不安な状況で、解散できるものなら、どうぞ、やれるものならやってください、と。『何が大義ですか』『何をもって解散して国民に問うんですか』と。私たちはいつでも解散権は総理にあるから、解散されたら受けて立つと申し上げているが、何の大義で、なんの信を問うて、このコロナの状況で解散をされるのか、と申し上げている」

   菅内閣は「総辞職に値する」が、解散で「政治空白なんか作ったら、国民に怒られる」。こういった状況で立憲はどう対応するのか。この点を質問した記者もいた。

「要するにどういう手段で総辞職を求めていくのか。不信任決議案を出すのか、それとも、出したいけど出せる状況ではないので、次期衆院選で国民の審判が下るのを待つのか、どういう方法を考えているのか」

   福山氏は「野党が内閣不信任案を出そうが出すまいが」という表現で解散の大義を改めて疑問視する一方で、不信任案提出の是非には触れなかった。

「今ここで、そんなことを言う必要は、まったくないと思う。感染が広がれば、少なくとも第4波が来れば、菅総理の責任は、私は大きいと思う。その責任は大きい、ということは、まず存在する。総辞職に値すると思う。まずはそこまでだ。そこから先の話は、まずは総辞職するかを政府が考えるべきではないか。菅総理が考えるべきではないか。加えて、本当にコロナの感染が広がり国民生活がこういう状況で、野党が内閣不信任案を出そうが出すまいが、解散できるんだったら、どうぞやってください。我々は受けて立つ、そう申し上げている」

   福山氏からは「野党に不信任案提出を求めるような質問」「不信任案を出されて野党のせいにするような解散」という表現も。不信任案をめぐって野党が批判されることを警戒しながら、改めて大義なき解散を批判した。

「なぜ野党に不信任案提出を求めるような質問をするのか、私には分からない。大義があれば解散すればいい。本当に大義があれば。不信任案を出されて野党のせいにするような解散は、まったくする必要はないと思いますよ?解散するなら、大義があれば解散すればいいけど、本当に、コロナでこれだけ感染が広がりつつあって、国民経済も不安な中で、本当に解散するなら、どうぞしてみてください、我々は解散権は総理にあるので、いつでもいかなる場合でも受けて立つ用意がある、そういうことを申し上げている」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)