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「オンラインでも、リアルライブとは違う感動を」 サカナクション山口一郎、コロナ禍で「表現の発明」続ける理由

   ロックバンド・サカナクションは2021年6月1日、東京都内で行われたイベントに出席し、代表曲「新宝島」など3曲を演奏した。

   もともとはファンを招いての開催が構想されていた今回のイベント。コロナ禍で思うような音楽活動ができない中だが、ボーカル・ギターの山口一郎さんは「ピンチをチャンスに変える」と内なる思いを語った。

  • サカナクション・山口一郎さん
    サカナクション・山口一郎さん
  • サカナクション・山口一郎さん

ツアー、大型ライブが「中止」に

   山口さんは参天製薬の「サンテFX」テレビCM発表会に出席した。会場は東京・港区にある大型ライブハウス「EX THEATER ROPPONGI」で、サカナクションの5人は代表曲の「新宝島」と「忘れられないの」、疾走感あふれる新曲「プラトー」を披露。オンライン越しに視聴したファンを盛り上げた。

   5人でステージに立って演奏するのは「2年ぶり」という山口さん。「久々のライブだったので楽しかったです」と振り返った。ただ、今回のライブは、もともと観客を入れて実施する構想で進められていたという。山口さんは「こういう状況になって、実現できなくなってしまったんですけど...」と話す。

   07年のデビュー以来、日本の音楽シーンで存在感を放ってきたサカナクション。だが、今回のコロナ禍では苦境に立たされた。昨年夏には全国ツアー、今年1月には千葉・幕張メッセでの大型ライブを予定していたが、いずれも中止に追い込まれている。

   ファンの前でパフォーマンスができない――。アーティストとして危機的な状況だが、サカナクションは発想を変えることで逆境を乗り越えてきた。

   昨年8月に実施したオンラインライブでは、無観客開催を逆手に大胆なカメラワークと演出を導入。映像作品としてのクオリティを追求した。ことし5月22日、23日には山口さんの自宅リビングからオンラインライブを配信。視聴者が実際に家の中で聴いているような音響を施すなど、単なる弾き語り配信ではない、趣向を凝らしたライブを行った。

「『ピンチをチャンスに変える』じゃないですけど...」

   山口さんは5月17日に、自身のツイッターでこんな投稿をしている。

「コロナだけでなく、子育てとか病気と受験とか、ライブに行けなくなった人を音楽に繋ぎ止めておく為にも、オンラインライブ配信を成長させる事に意味があると思う。ただ普通のライブを配信するだけじゃなく、オンラインだからこそ出来るライブ生配信を考える事も、現代の音楽エンタメのアップデート」

   山口さんはこの日の会見でも「リアルライブに勝るものはないと思う」としつつ「オンラインでも、リアルライブとは違う感動を提供できるんじゃないか」と、オンラインライブの「強み」に言及。次のように思いを語った。

「ただこれ(コロナ禍)が明けるのを待つんじゃなくて、何か新しい『表現の発明』をしていく。それができれば、こういう状況が明けてからでも、それを携えて、一つコンテンツを増やした形で、元(の音楽シーン)に戻れるんじゃないかなと。『ピンチをチャンスに変える』じゃないですけど。野心、内なる思いをもって、日々過ごしています」

(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)