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「好きなゲームを教えてほしい」 任天堂株主総会でまさかの質問、重役たちの答えは...

   好きなゲームを教えて――。

   2021年6月29日に行われた、任天堂(京都市)の株主総会。「想定為替レート」や社の将来像に関する質問が飛び交った質疑応答で、ある株主が、こんな問いを投げかけた。

   まさかの質問に、任天堂の重役たちが出した答えは...

  • 「好きなゲームを教えて」任天堂経営陣の答えは?(画像はイメージ)
    「好きなゲームを教えて」任天堂経営陣の答えは?(画像はイメージ)
  • 「好きなゲームを教えて」任天堂経営陣の答えは?(画像はイメージ)

「各取締役候補者の人となりを知るためにも...」

   6月29日10時から任天堂本社で開かれた第81期定時株主総会。同会をもって任期満了となる5人の取締役と、増員する社外取締役1人の計6人について、取締役就任を決めるための会議が行われた。

   総会の質疑応答(以下、任天堂資料より)では「業績予想における為替レートの前提」や、新たな社外取締役候補者、クリス・メレダンドリ氏(米映画会社「イルミネーション」創業者)を迎えることで「任天堂の将来にどのような影響があるか」などの質問が飛んだ。

   そうした中、ある株主は「任天堂の要職に就く方はゲーム制作の技術がなかったとしても、せめてゲーム好きであってほしい」「各取締役候補者の人となりを知るため」との理由から、こう質問した。

「好きなゲームを教えてほしい」

   それまでとは打って変わった質問。古川俊太郎代表取締役社長は「私は中学生のころ『スーパーマリオブラザーズ』(1985)が発売された、まさにど真ん中のファミコン世代です。今でもプライベートでは、自社他社問わずさまざまなゲームを遊んでいます」と答え、「本件については、各候補者からできる範囲で回答させていただきます」。

   ここから、取締役候補者たちのゲーム愛がさく裂する。

「ディスクシステム」作品が2つ登場

   「ファミコンやスーパーファミコンとともに育ってきました」と語ったのは、取締役上席執行役員の塩田興氏。「今もハードウェアを担当していますが、当時からハードウェアをいじるなど、モノの仕組みに興味がありました」と振り返り、

「最近の当社商品ですと『マリオカートライブ ホームサーキット』(Nintendo Switch、2020)のようなゲームが自分に合っていまして、子どもと一緒に遊んでいます」

   と語った。

   取締役専務執行役員の高橋伸也氏は「すべての自社ソフトの責任者ですので『これが好き』と選ぶのは、立場上難しい」としつつ、入社して最初に携わったソフトとして「ふぁみこんむかし話 遊遊記」(ファミリーコンピュータ ディスクシステム、1989)をあげた。「あまり著名ではないアドベンチャーゲームですけれど、最初に携わったソフトとして、印象に残っています」。

   少し違う角度から答えたのは、代表取締役フェローの宮本茂氏。77年の入社後「マリオシリーズ」や「ゼルダの伝説シリーズ」などを手がけ、19年には文化功労者に選ばれている。

   その宮本氏は「ゲーム開発という仕事を始めて、影響を受けた最初のソフトは『パックマン』(ナムコ、1980)で、デザインとしてすばらしいと思うのは『TETRIS』(アレクセイ・パジトノフ氏考案、日本では88年にセガがアーケード版を発売)です」と、他社製のゲームをあげた。そして、こんなエピソードも披露した。

「今は『Pokémon GO』(ナイアンティック、2016)にはまっていまして、妻と一緒に遊んでいるのですが、『家族みんなでゲームを遊びたい』という夢がこのゲームで実現しまして、ここ2年ほど、妻や近所のお友達と一緒に、『Pokémon GO』を楽しんでいます。ひょっとしたら日本の『Pokémon GO』の平均年齢は60歳ぐらいかもしれませんね(笑)」

   「アドベンチャーゲームが好きで、つい最近もNintendo Switch『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者/うしろに立つ少女』(2021)をクリアした」と語ったのは、取締役上席執行役員の柴田聡氏。「昔で言うと、ファミリーコンピュータ ディスクシステム『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』(1987)も本当に好きでした」と、高橋氏と同じディスクシステムの作品を挙げた。

   最後に答えたのは古川社長。「自社タイトルはだいたいプレイしている」としつつ、「最近は『世界のアソビ大全 51』(2020)の花札をよく遊んでいます」とした。

「経営陣がガチ勢で草」「株主総会行きたくなりました」

   ツイッターでは7月に入り、この質疑応答の内容が話題に。ツイッターユーザーからは「素晴らしい質疑」「経営陣がガチ勢で草」「他の企業には絶対みられない」「任天堂の株主総会行きたくなりました」など称賛する声が相次いだ。

   特に、古川社長が「花札をよく遊んでいます」と言及したことについては「花札をちゃんと答えるあたり、オシャレだわ」「さすが任天堂の社長は花札を大事にされてる」といった反響が寄せられた。ゲームメーカーとして確固たる地位を築いた任天堂だが、そのルーツである山内房治郎商店(1889年創業)は、花札を主要商材としていたからだ。

   総会では、質疑に答えた候補者5人とメレダンドリ氏の計6人の取締役就任が、賛成多数により決議された。