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成田空港「顔パス」で搭乗できる 何度もパスポート出さなくてOK、会話も不要で感染リスク減

   顔認証を利用して「顔パス」で国際線に搭乗できるシステムの一般乗客向けの運用が2021年7月19日、羽田空港と成田空港で始まった。荷物を預けたりする際に顔写真を登録すれば、その後の保安検査場や搭乗ゲートで、係員に搭乗券とパスポートを見せずに通過できる。

   待ち時間の短縮が期待できるほか、乗客と係員が接触する機会が減る分、新型コロナウイルス感染のリスクを下げることにもつながる。ただ、多くの国際線のフライトでは、搭乗手続きの際に有人カウンターで宣誓書やPCR検査の陰性証明書を見せる必要があり、こうしたプロセスの自動化も課題だ。

  • 「フェイスエクスプレス」に登録すれば、保安検査場に「顔パス」で入ることができる
    「フェイスエクスプレス」に登録すれば、保安検査場に「顔パス」で入ることができる
  • 「フェイスエクスプレス」に登録すれば、保安検査場に「顔パス」で入ることができる

ANAは有人の書類確認不要なメキシコシティ便で導入

   空港でパスポートや搭乗券を確認されるチェックポイントは多い。自動チェックイン機を使う場合、実際に飛行機に乗るまでに(1)チェックイン(2)荷物の預け入れ(3)保安検査場(4)出国審査(5)搭乗ゲート、の少なくとも5回が必要だ。

   運用が始まったのは、「Face Express」(フェイスエクスプレス)と呼ばれるシステム。4月から行われた実証実験を経て、日本航空(JAL)と全日空(ANA)が運用を始めた。保安検査場や搭乗ゲートで「顔パス」ができるようになる仕組みだ。出国審査でも顔認証は取り入れられているが、フェイスエクスプレスとは連動していない。

   ANAは当分の間、成田発メキシコシティ行きのNH180便のみでフェイスエクスプレスを導入する。有人カウンターで書類を確認する必要がない数少ない路線で、空港到着から飛行機に乗るまで、係員と話したり接触したりせずに完結するため、システムを最も有効活用できると判断した。ANAでは「今後の各国の渡航条件の緩和が見えてきたら、路線の拡大を検討していきたい」としている。

成田から乗った人の過半数が利用

   具体的な手続きはこうだ。ANAの場合、まず自動チェックイン機にチケットとパスポートの情報を読み込ませて搭乗券を発行する。フェイスエクスプレスへの登録手続きは、その次の荷物を預ける時に一緒に行われる。自分の顔を撮影し、パスポートのICチップに記録されている顔写真データと突き合わせて本人を確認。さらに搭乗券を読み取らせて、航空会社のデータベースと照合する。登録しようとしている人がパスポートの持ち主で、その日の便の予約を持っているか確認し、その上で荷物を引き受ける仕組みだ。この手続きが終わると、保安検査場と搭乗ゲートを「顔パス」で通過できる。これまで搭乗ゲートでは、係員が列に並ぶ乗客のパスポートをチェックし、ゲートの機械で搭乗券を読み取るという二重の手間がかかっていた。ここが省力化することで列に並ぶ時間も短縮されそうだ。

   出張でメキシコに向かうという、会社員の西村志遠(しおん)さん(21)は、

「画面にしたがうだけで簡単に通れたのですごく楽でした」
「人と話すよりは、感染リスクを抑えられると思った」

などと話していた。

   この日のNH180便の搭乗客は49人で、そのうち、乗り継ぎではなく成田から利用した乗客は25人だった。この25人のうちフェイスエクスプレスを利用したのは14人。物珍しさも手伝って過半数が利用した。

   JALでは、成田発シカゴ行きのJL8010便などがフェイスエクスプレスに対応。JL8010便では、27人いた搭乗客のうち7人が利用した。成田便では毎日1~2便程度が対応予定で、羽田便では当面の間、台北(松山)行きのJL97便のみ対応する。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)