J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

五輪フェンシング、競技会場で流れた「秘蔵映像」 「世界中の人に見て欲しかった」その中身は

   北京五輪フェンシング銀メダリストで、国際フェンシング連盟副会長の太田雄貴さんが2021年8月17日、東京五輪の会場で流れていたという、競技のリプレイ映像をツイッターに投稿した。

   フェンシング競技中の剣の動きをわかりやすく示すための新技術が使われた映像だ。まるで映画の世界のような出来栄えが、ツイッターユーザーの間で話題になっている。

  • 東京五輪 フェンシング団体男子フルーレ決勝のワンシーン(写真:AP/アフロ)
    東京五輪 フェンシング団体男子フルーレ決勝のワンシーン(写真:AP/アフロ)
  • 東京五輪 フェンシング団体男子フルーレ決勝のワンシーン(写真:AP/アフロ)

「フェンシング選手は魔法使いだったのか」

   太田さんは8月17日のツイッターで、「試合映像のリプレイは世界中にこうやって、流れるはずでした」として、1本の動画を公開した。

   映像はフェンシングのプレーに、剣の先端の動きに色をつけて可視化させたもの。向かって右側の選手の剣先は緑、左側の選手の剣先は赤く光っている。またストップモーションで勝敗を決めたポイントをクローズアップして見ることができる。

   この映像について太田さんは、

「残念ながら、交渉も含めて難航し、なんとか会場内に流せたら、無観客」
「東京オリンピックの競技×イノベーションの代表として世界中の人に見て欲しかった」

と説明している。

 

   剣の動きを   

   映像を見たツイッターユーザーからは「フェンシング選手は魔法使いだったのか」「ライトセーバーのようだ」といった感想が投稿された。

   この映像はFencing Visualizedプロジェクトで生まれたもの。AIとARを活用してフェンシングの試合中の剣の動きをトレースし、短時間で試合の映像に合成できること目指し、フェンシングの魅力を伝えるプロジェクトで、太田さんと電通、クリエイター集団のライゾマティクスが共同で取り組んできた。

   公式サイトやウェブメディア「知財図鑑」の記述によれば、一瞬の動きが勝敗を決めるフェンシングで、目にも止まらぬ速さの剣の動きをファンでなくとも理解できるよう可視化するものだ。試合を多方面から撮影するカメラ映像から剣先をトラッキングし、その動きをAR技術により選手の動きに合成する。

   剣先にマーカーを付ける必要がないことが特徴で、東京五輪に向け約5年をかけて実用化に成功、プレ大会と位置づけられた2019年12月の高円宮杯フェンシングW杯でも導入されていた。