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「英単語ターゲット」表紙の犬が「ドヤ顔」に 改訂版の表情が話題、出版社が明かす「目力」の魅力

   旺文社(東京都新宿区)が発行する大学受験用の英単語帳「英単語ターゲット」シリーズをめぐり、リニューアルされた表紙が今、SNSで大きな注目を集めている。「ターゲット」といえば表紙の犬。その犬の表情が以前よりどこか凛々しくなり、まるで「どや顔」しているようだという。

   同シリーズは2020年に8年ぶりの改訂がなされていた。J-CASTニュースは2021年10月11日、旺文社に表紙の犬へのこだわりを取材した。

  • 犬の表紙でお馴染み、以前の「英単語ターゲット」(5訂版)
    犬の表紙でお馴染み、以前の「英単語ターゲット」(5訂版)
  • 犬の表紙でお馴染み、以前の「英単語ターゲット」(5訂版)
  • 6訂版の表紙の犬が「ドヤ顔」に
  • 4訂版
  • 3訂版から犬が登場した
  • 改訂版では犬が登場せず
  • 初版のターゲット

犬の起用に「3つの説」

   「英単語ターゲット」シリーズは1984年に初版が刊行されて以来、累計発行部数1900万部を超えるベストセラーだ。

   旺文社は2020年1月、「大学入学共通テスト」が導入されたことなどを受け、最新の「英単語ターゲット1900 6訂版」を発行した。今回の改訂は8年ぶりで、「話す・書く」能力の養成ができるよう、すべての例文がよく用いられる他の語との組み合わせ(コロケーション)を含む文になるよう書き換えるなどの変更を行った。英語4技能(読む・聞く・話す・書く)の評価を含む大学入試改革・新学習指導要領の方向性に合わせる狙いがある。

   ツイッター上では2021年10月5日、「『表紙の犬がドヤ顔になる』という英単語ターゲットの中でも最も謎の改定」という投稿で今回の改定に大きな注目が集まった。

   このツイートには、1万リツイート、8万「いいね」を超える大きな反響が寄せられている。さらには、元愛用者とみられるユーザーからも「俺は好きだよターゲット犬」「うわなつかし、これ。犬が成長しているの草」といった声が寄せられている。

   旺文社によると、表紙に犬を起用し始めたのは約20年前に3訂版を発行したときのこと。当時の担当者が退職してしまったため、なぜ犬を起用したのかは明確に分からないものの、当時を知る人によれば3つほど説があるという。

旺文社の犬へのこだわり

   旺文社では、ターゲットシリーズの表紙に犬を起用した理由について下記の3つの説が浮上でしている。

・犬には「標的」(=「ターゲット」)を忠実に追いかけるイメージがあるから
・好きな動物として、犬の人気が高かったから
・ペーパークラフトに向いているから

   「ターゲット」には「標的、的」という意味があり、大学入試で狙われる可能性の高い単語に「的を絞った」というのが書名の由来の一つとされている。そんなターゲットを忠実に追いかけるイメージにぴったりだったことから、犬を起用したとする説があるという。

   また「ターゲット」の装丁に犬を採用した当時は、動物の中でも特に犬の人気が高かったため、受験生に親しんでもらえるのではないかと考えた可能性もあるそうだ。

   さらに犬はほかの動物に比べて、種類や色、表現方法にバリエーションがあり、ペーパークラフトのモチーフとして扱いやすいというのも理由の一つとして考えられている。

   旺文社によれば、今回の改訂の企画段階では、他の動物を起用する案も出ていたという。しかし、ペーパークラフトで犬を表現し続けることを選んだ。

「犬をペーパークラフトで表現しようと考えたそもそもの理由は定かではありませんが、『英単語ターゲット』シリーズはその書名や社名よりも、『ペーパークラフトで作られた犬』が表紙にある本、ということで高校生や先生方に広く認知されているため、改訂版でも踏襲しております」

   表紙に起用する犬種は、これまで使用していないものの中から、書籍レベルに応じて大型犬、中型犬、小型犬の3種を、バランスを見ながら選んでいるという。選考基準は、ペーパークラフトで表現しやすいもので、色が黒一色やあまりにも個性的な顔や表情の犬は避けているそうだ。

「ちなみに『英単語ターゲット1400 5訂版』の犬種はシェットランドシープドッグです。これは営業部の担当者が森博嗣さんの小説のファンで、小説内に登場する犬種かつ上記の選定基準も満たしていたので強く推した、とのことです」

「やっぱり犬の単語集だよね」とお勧めされたい

   ターゲットの表紙の犬は、ペーパークラフトで表現されている。制作しているのはペーパークラフト作家のAJINさんだ。今回のデザインのこだわりについて、旺文社はこう述べる。

「今回に限りませんが、店頭で読者と視線が合うように、AJINさんの作品の特長・魅力でもある『眼力』(メヂカラ)をこれまでどおりに大切にしました」

   ツイッター上で表紙の犬が「どや顔」をしていると話題になったことについては当初、編集部や営業部では知らなかったそうだが、嬉しく受け止めているという。

「AJINさんのペーパークラフトの特長・魅力は目力にあります。『どや顔』に感じるかどうかは個人差があるかと思いますが、読者の皆さんに向けられた強い目力を感じ取ってくださったのであれば、AJINさんの作品の魅力が十分に伝わったということだと思いますので、大変嬉しく思います」

   そのうえで旺文社の営業部は、これからも「犬の単語帳」として親しまれていきたいという。

「今、『英単語ターゲット』を使っている生徒さんが、将来、後輩に・生徒に、あるいはお子さんにも『やっぱり犬の単語集だよね』とオススメし続けていただけるよう、良い参考書を作り続けていければと思います」

   旺文社のターゲット編集部も、「なるべく学習が楽しく、また単語が覚えやすくなるように作られた単語集」であるとして、「ぜひこの1冊をとことん使い倒して、希望する大学の合格をつかんでいただければと思います」と述べた。

   画像に対するキャプションの内容を一部修正しました。「英単語ターゲット1900 6訂版」の画像を追加しました。