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「おむすび」くわえる「遅刻少女」で米をアピール 話題の動画に疑問の声も...新潟県に聞く企画背景

   女子高生が学校に遅刻すると叫んで、「おむすび」を口にくわえて走り出し...。お米をPRしようと、新潟県がこんなニューヒロインを動画に登場させるプロジェクトを始め、話題になっている。

   この「遅刻するおむすび少女」は、アニメで表現されたほか、国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞した俳優の井頭愛海さん(20)も起用された。

  • プロジェクトの公式サイト
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  • おむすびをくわえて懸命に走る井頭愛海さん(画像は、ユーチューブ動画から)

アニメなどで形成された「遅刻する食パン少女」に対抗

   「もう遅刻じゃん!」。井頭さんは、海苔巻きのおにぎりを口にくわえながら、学校を目指して懸命に走る。「おむすびは走らず食べましょう」との注意書きも出た。

   続いて、「おむすび」に引っかけたゲン担ぎで、「志望校とご縁を結びたい」などとナレーションが流れ、「はじめよう、モーニングおむすび」と呼びかけて動画が終わる。

   50秒ほどの動画は、2022年1月24日に新潟米PRのユーチューブ公式チャンネルに投稿された。

   新潟県では、「遅刻するおむすび少女プロジェクト」と題して配信を始め、この動画「遅刻する女子高生篇」は、その第1弾だ。

   このプロジェクトを行う理由について、県の食品・流通課は25日、J-CASTニュースの取材に次のように説明した。

「日本人の米離れが進んで、1人当たりの消費量も年々減少しています。また、コロナ禍で外食での需要も低調になっており、何とかしたいと危機感を持ちました。テレビCMも重要ですが、若い世代を中心にSNSから情報を得る人が増えてきています。夕食はまだ8割がお米を食べていますが、朝食は5割に留まっています。伸びしろを考えて、『モーニングおむすび』で新しいカルチャーを作り、消費につなげようと思いました」

   アイデアのきっかけは、ウィキペディアにも項目がある「遅刻する食パン少女」の存在だ。アニメやドラマなどで、遅刻しそうなヒロインが食パンをくわえて走り出し、時には曲がり角で恋に落ちるシーンが登場する。それが積み重ねられて、「朝は食パン」のイメージが形成され、米離れにもつながったと仮説を立てたという。

「この手の萌え絵でPRしても」と疑問視する向きもあったが...

   そこで、新潟県が打ち出したのが、「遅刻するおむすび少女」というニューヒロインだ。

   県が行った企画コンペで、ウィキペディアの項目に着目した大手広告会社のアイデアが採用され、プロジェクトの公式サイトも作られた。動画は、「バレンタインデーの朝に運命の出会いが!?」などのタイトルで第4弾まで予定されており、2月14日まで毎週月曜日に配信される。

   第1弾の動画などについては、ネット上では、賛否を含めて様々な意見が書き込まれている。

   「なんか、おもしろい!」「やっぱ朝は米でしょ」などと好意的な声も見られた。一方で、「この手の萌え絵でPRしてももう誰も釣られんやろ」「誰が握るんだよ その時間がないからパンなんだよ」「米粉パンじゃあかんの?」などと内容を疑問視する声も出ていた。

   ジェンダーなどの観点から「萌え絵」に一部で疑問も出ていることについて、県の食品・流通課は、こう説明した。

「ウィキペディアに『遅刻する食パン少女』の項目があったことを考えまして、今回の名前にしました。第2弾以降の動画には、男性が登場することを含めて様々な企画を考えています」

   また、おにぎり作りは大変だとする指摘については、次のように説明した。

「忙しい朝にお米を炊いたりするのは面倒だというのも分かります。パンの便利さはありますが、例えば、塩むすびなら難しくありません。メリットとしては、お腹にしっかり食べた感があり、腹持ちがいいということもあります。県としては、米粉も推進しており、それは別の取り組みとして行っています」

   新潟でも「おにぎり」との呼び方が一般的だというが、1月17日の「おむすびの日」にプロジェクト紹介動画を配信したことから、「おむすび」との言い方にしたそうだ。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)