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元JAXA「プラネテス騒動」はなぜ起きた? 専門家ツッコミに見る創作の難しさ/面白さ

   ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第37回です。今回は「フィクション作品の描写や設定の話が盛り上がる理由」を探ります。

Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>

  • 「プラネテス」アニメ公式サイトより
    「プラネテス」アニメ公式サイトより
  • 「プラネテス」アニメ公式サイトより

SFアニメ「プラネテス」めぐり議論に

   あなたはマンガや映画などを楽しむ時、作中の設定や描写が気になる...とモヤモヤしたことはありますか?先日、元JAXA職員が、再放送されていたSFアニメ「プラネテス」の作中描写に異論を唱えたことをきっかけに、Twitter上で議論が巻き起こりました。

<科学ライター・大貫剛氏、『プラネテス』デブリの間違いを解説。「こういう解説は読んでて楽しい」の声 - Togetter>

   ほかにも「フィクションの中のリアリティ描写」に関するツイートが、立て続けに注目されています。

   地理の教諭だというTwitterユーザーは、テレビアニメ「鬼滅の刃 遊郭編」のオープニングに登場する村の構造が気になってしまったそう。村の中心を線路が通っていることから、発展の中心となった駅があるはずなのにそれが見当たらないことに違和感がある、と訴えました。

<『鬼滅の刃 』の「村の中心に線路が通る違和感」に「フィクションだし」「制作上の都合だから」「リアルだから生まれた不気味の谷」など - Togetter>

   では、なぜ作品の描写や設定が気にかかることがあるのでしょうか。

細部が気になるのは専門知識のせい?

   「プラネテス」は元JAXA職員、「鬼滅の刃」は地理の先生と、作中の細部に言及したのは何かしらの専門家。専門的な知識がある故に、その分野に関する描写や設定の細かい部分が気になってしまうようです。

   あの名作「フランダースの犬」でも、ベルギーのフランダース地方(フランデレン地域)出身の人々が本国との違いを容赦なくレビューする「誰がネロとパトラッシュを殺すのか」という本が出ています。

   フィクションとはいえ、詳しい人が現実との違いを突っ込みたくなる心理は世界共通のようですね。

<『フランダースの犬』を現地人が風景や衣装、気候が現実と全く違うことを容赦なく突っ込んだ本がある→そもそもフランダースって土地の名前だったんだ - Togetter>

作り込まれた世界観を読み解く楽しさも

   一方で、細かな部分に目がいくからこその楽しみ方もあります。靴下メーカーのTabio(@Tabio_JP)公式アカウントは、専門家の立場からみて繊維やタイツ・靴下など、舞台設定のつじつま合わせが天才的な作品としてマンガ「ファイブスター物語」を挙げています。

   物語とは直接関係のない部分にまで歴史的背景や設定を踏まえたリアルな作り込みがされている作品では、それを見つけて考察する楽しさがあるんですね。

<【追記あり】靴下屋さん「繊維やタイツ・靴下などの舞台設定のつじつま合わせが天才的なのは『ファイブスター物語』」と突然の布教 - Togetter>

   カルト的な人気を博した映画「ミッドサマー」も、民俗学や文化人類学に詳しい人の目線からみると「フィールドワークでやってはいけないダメなポイント」をことごとく踏んでいて、それが物語のラストに繋がっていることが理解できるそう。

   何も知らなくても楽しめる作品を専門的な目で見ると、また別の視点が生まれます。このように専門家の知識や意見に気軽に触れられることも、Twitterで話題になる要因ではないでしょうか。

<ミッドサマーを民俗学かじってる視点から見ると『フィールドワークでやっちゃダメな地雷』全部を見事に踏み抜いてる - Togetter>

描写や設定が気になってしまうのは誰にでもありえる

   自分の関わっている職業や出身地など、身近なものが題材となっている作品はどうしても細部が気になってしまうもの。

   ゲーム開発がテーマのマンガ「リスタート!~34歳ゲームディレクターのつよくてニューゲーム~」のフィクション部分や矛盾が気になってしまったというTwitterユーザーは、それを逆手にとって「おもしろかった点」や「許容できなかった点」をみんなで語り合う楽しみ方を提案しています。

   誰にでも起こりうることなので、自分にあった対処ができるといいですね。

<あるジャンルに詳しい人がそれを題材にした作品を楽しめないのは、身近すぎて嘘や間違いなどを許容しにくいからでは?という話 - Togetter>

   「フィクション作品の描写や設定の話」がTwitterで話題になりやすい理由は次の3つです。

・フィクション作品の描写や設定が気になる人は多く、シェアされやすい
・Twitterでは専門家の知識や意見に触れやすく、発見がある
・詳しい分野だからこその楽しみ方もあり、共感による拡散も起こりやすい

   以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。

Togetter編集部