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ワリエワ出場で「解説ボイコット」相次ぐ 演技中に抗議の沈黙...米韓テレビで異例中継

   韓国放送局の解説委員がドーピング騒動の渦中にあるフィギュアスケートのカミラ・ワリエワ(ROC、15)に対して「沈黙解説」で抗議の意を表したと、複数の韓国メディアが伝えた。

  • ワリエワ選手(写真:L’EQUIPE/アフロ)
    ワリエワ選手(写真:L’EQUIPE/アフロ)
  • ワリエワ選手(写真:L’EQUIPE/アフロ)
  • リピンスキーさん(写真:Shutterstock/アフロ)

沈黙を守ることで抗議の意を表した

   フィギアスケート女子シングルスのショートプログラム(SP)が2022年2月15日に行われ、ワリエワが82.16をマークし首位に立った。ワリエワはドーピング違反が発覚したもののスポーツ仲裁裁判所(CAS)から今大会の出場が認められ、選手、関係者から批判的な声が上がった。

   同日の韓国メディアによると、韓国放送局のKBS、SBS、MBCがそれぞれ女子シングルスSPの中継を行ったが、KBSとSBSの解説委員はワリエワのプログラムを通じて沈黙を貫いた。MBCの解説委員は技術の簡単な説明だけを行い、ワリエワの出場が公正ではないと指摘した。

   「国民日報」(WEB版)は、「『ドーピング』ワリエワ演技...『沈黙』中継ボイコット地上波」とのタイトルで記事を公開し、地上波3社がドーピング論議に包まれたワリエワの女子シングル競技を中継しながら沈黙を守ることで抗議の意を表したと伝えた。

   「中央日報」(WEB版)はSBSとKBSの中継で解説を務めたそれぞれの解説委員のコメントを紹介している。

韓国解説者「特に話したいことがこれと言ってなかった」

   SBSのイ・ホジョン解説委員は「ドーピングをしても五輪に出場した選手の競技に解説をすることはできなかった。幼いころから一生懸命に練習して五輪出場権を獲得した正々堂々と戦った選手たちの努力は何になるのか」と話した。

   KBSのクァク・ミンジョン解説委員は「特に話したいことがこれと言ってなかった。中継したくなかった。出場するかどうかについては私が決める事ではないが、その部分に対して優しい眼差しで見ることができないのは当然だ。その部分が私の意見が反映されなかったようだ」と語った。

   また、米メディア「ニューヨークポスト」は、米国でも女子シングルスSPのテレビ中継において、解説者がワリエワの競技中にほとんど沈黙したと伝えた。

   同メディアによると、米放送局「NBC」が女子シングルスSPの中継を行い、98年長野五輪女子シングルス金メダリストのタラ・リピンスキー氏と10年バンクーバー五輪米国代表のジョニー・ウィアー氏が解説を務めた。

五輪金メダリストキム・ヨナ氏も裁定に批判

   リピンスキー氏とウィアー氏はワリエワの競技中、放送の中でほとんど沈黙し、いくつかのコメントを発しただけだったという。記事ではワリエワの出場に抗議をしているようだったと伝えている。

   ワリエワのドーピング騒動を巡り、世界中のフィギュアスケート関係者から様々な声が上がっており、韓国では10年バンクーバー五輪金メダリストの金妍児(キム・ヨナ)氏が14日にインスタグラムに「ドーピング違反をした競技者は試合に出場することが出来ない」などと投稿し、国内では多数のフィギュア選手が同調している。