J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

第6波猛威も...岸田首相「官邸記者会見」は2か月ぶり 情報発信めぐり「ぶら下がり60回以上」強調

   岸田文雄首相は2022年2月17日に開いた記者会見で、21道府県で2月20日に適用期限を迎える「まん延防止等重点措置」について、沖縄など5県について解除する方針を発表した。

   岸田氏が首相官邸の会見室で会見に臨むのは21年12月21日以来、約2か月ぶり。この間、新型コロナウイルスの新規陽性者数は過去最多を記録し、死者数も増加。岸田氏は重点措置適用時などに「ぶら下がり」と呼ばれる形式で取材対応してきたが、それでは情報発信が不十分だという指摘は根強い。記者会見でこの点について質された岸田氏は、ぶら下がり取材に応じる回数の多さを強調した上で「そういった意見もしっかり承りながら、適切な発信の状況については考えていきたい」と引き取った。

  • 記者会見に臨む岸田文雄首相。首相官邸の会見室で会見に臨むのは21年12月21日以来、約2か月ぶりだ
    記者会見に臨む岸田文雄首相。首相官邸の会見室で会見に臨むのは21年12月21日以来、約2か月ぶりだ
  • 記者会見に臨む岸田文雄首相。首相官邸の会見室で会見に臨むのは21年12月21日以来、約2か月ぶりだ
  • 記者会見は1時間4分52秒にわたって行われた

「重点措置」発出時は27分6秒の「ぶら下がり」対応

   菅義偉前首相は緊急事態宣言発出時には正式な記者会見を開き、「重点措置」の適用や解除の際には、ぶら下がり取材で対応してきた。岸田氏は前政権の対応を踏襲したともいえる。前回の会見から今回の会見の間に応じた「ぶら下がり」の回数は19回。首相官邸ウェブサイトに公開されている動画の長さを基準にすると、最も長かったのは1月18日の27分6秒で、1月21日から13都県に重点措置を適用することに関する内容だ。最も短かったのは1月27日の1分23秒。北朝鮮が弾道ミサイルを発射した直後の取材対応だ。1回あたりの平均は10分20秒弱だ。

   ぶら下がり取材以外に、1月4日には三重県の伊勢神宮で34分59秒にわたって記者会見を開いている。ただ、質問できたのは内閣記者会と三重県政記者クラブが2問ずつ。外国メディアやフリーランス記者を含めて10問以上の質問を受ける首相官邸での記者会見とは性質が異なる。

   2月5日には全国の新規陽性者数が10万5582人に達し、過去最多を記録。死者も増加を続けており、2月15日には過去最多の236人を記録。会見が行われた2月17日に271人の死亡が発表され、さらに記録を更新した。

「状況が悪化する局面で情報発信しなかったのは問題だったのでは」

   こういった状況を念頭に、記者会見では

「第6波は感染者数や1日の死者数で過去にない大きな流行となった。状況が悪化する局面で情報発信しなかったのは問題だったのではないか」

などと対応を非難する質問が出た。

   岸田氏は、

「私も今週に入って、昨日も一昨日もぶら下がり会見という形で発信をさせていただき、そして、長い日には30分近くにもわたって様々な質問を受けさせていただいてきた。政権が発足してから数えると、ぶら下がり会見は60回以上に及んでいると思う」

として、ぶら下がり会見の回数が多いことを強調。正式な形での記者会見を求める声には

「会見の形は違うのかもしれないが、様々な形を通じて発信を続けるということは大事であると思い、そうした努力を続けているところだ。発信の形についてはいろいろな御意見もあるようなので、そういった意見もしっかり承りながら、適切な発信の状況については考えていきたい」

と応じた。会見時間は前回が1時間10分43秒、今回が1時間4分52秒だった。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)