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「銚子電鉄の本気が凄すぎた」 全面ピンクのド派手車両に反響...常務に聞いた「奇抜企画の真意」

   「銚子電鉄の本気が凄すぎた」――過去に「ぬれ煎餅」や「まずい棒」などのヒット商品で話題を呼んだ銚子電気鉄道(千葉県銚子市)の列車が「かわいい」と話題になっている。

   車内全体がピンクの風船やぬいぐるみで装飾されているのだ。

  • 紺乃 霄/shuto(@_shuto_filmsss)さんが撮影した電車内の写真
    紺乃 霄/shuto(@_shuto_filmsss)さんが撮影した電車内の写真
  • 紺乃 霄/shuto(@_shuto_filmsss)さんが撮影した電車内の写真
  • 銚子電鉄が公開したピンクニュージンジャー号の写真
  • 岩下の新生姜の公式キャラクター「岩下の新生姜アルパカ」
  • 天井にもぬいぐるみが
  • 岩下食品の岩下和了代表取締役社長はピンクが大好き
  • 銚子電鉄は「日本一のエンタメ鉄道」を目指す

「他の電車では中々見られない唯一無二な電車だと思う」

   注目を集めたきっかけは、ツイッターユーザーの紺乃 霄/shuto(@_shuto_filmsss)さんが撮影した列車内の写真だ。紺乃さんは取材に対し、「地元の素敵な銚子電鉄を1人でも多くの方に見てもらいたい」と感じ、ツイッターに投稿したとする。

「とてもカラフルで珍しいと感じ他の電車では中々見られない唯一無二な電車だと思うのでそれが魅力を感じました」

   撮影したのは2022年2月13日の14時。車両の天井には多数のピンクの風船が取り付けられ、座席シートもピンクで統一されている。座席の上などにもシカやアルパカのようなぬいぐるみがたくさん飾られており、可愛らしい雰囲気となっている。

   紺乃さんの撮影した写真は16日16時現在までの間に、7000件以上のリツイートや4万2000件超の「いいね」を集め、「乗ってみたい!!」「ピンク好きにはたまらないですね」などと反響を呼んでいる。中には「あの銚電がこんなにゴージャス可愛くなるとは」と驚く声もあった。

「お客様が楽しく『かわいい』と思っていただける車両を目指しました」

   今回話題となった列車は、銚子電鉄と岩下食品(栃木市)がコラボした「ピンクニュージンジャー号」。21年3月27日から走っている。22年1月25日から2月2日までの間は故障により一時走行不能となってしまっていたが、鉄道関連の他社の協力を得て、運転を再開した。

   装飾は銚子市在住のバルーンアーティスト・吉井小也香さんが手がけており、250個の風船を用いたという。車内に飾られているぬいぐるみは「岩下の新生姜」の公式キャラクターである、「イワシカ」と「岩下の新生姜アルパカ」だ。

   取材に応じた銚子電鉄の柏木亮常務取締役によれば、今回のコラボは岩下食品の岩下和了代表取締役社長と銚子電鉄の竹本勝紀代表取締役が同じ大学出身で、意気投合したことから決まったそうだ。二人ともエンタメなどで地元を盛り上げたいという気持ちが強いという。

   電車のテーマや工夫した点についてはこう述べる。

「岩下の新生姜をモチーフにした『ピンクニュージンジャー号』は、岩下さんが大好きなピンクを大事にしながら、お客様が楽しく『かわいい』と思っていただける車両を目指しました」

住民の「足」となり、存続し続けるために

   銚子電鉄は、常に経営が厳しい鉄道会社として知られている。18年には経営状況の「まずさ」をかけたお菓子「まずい棒」を発売し話題になった。コロナ禍の現在は、「売れるものは何でも売ってお金に変える」と、オンラインショップで「線路の石」などを販売している。

   柏木氏によれば、銚子電鉄の乗客の75パーセントは観光客で、外出自粛の影響で非常に厳しい状況となっている。しかしピンクジンジャー号によって、乗客数は少し増えているという。

「これまでと違ったお客様が来るようになりました。電車が『移動の手段』ではなく、『来る目的』となっていますね」

   今回、経営の危うさや食品ではなく、電車が注目を浴びたことに対してはこう語る。

「基本的に鉄道会社なので電車が目立たなければいけません。
楽しい電車を運行することで、地元の方の足としての鉄道の存続を目指します」

   銚子鉄道は、銚子駅~外川駅の6.4キロメートルを結ぶローカル線・銚子電鉄線を抱える。このまま同社が倒れてしまえば地元住民の「足」もなくなる。また人を運ぶ電車がなくなれば、周辺地域の観光も危うくなる。

   銚子電鉄は地元のために「日本一のエンタメ鉄道」を目指して走り続ける。