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「100人乗っても大丈夫」イナバ物置CMなぜ誕生? 広報明かす意外な歴史「初めは東北向けでした」

   「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」というテレビCMでお馴染みの「イナバ物置」。その丈夫さを積雪時に実感した、といった報告ツイートが話題になっている。

   大量の雪が上に積もってもビクともしない物置の写真に、ネット上では「CMは本当だったんですね」などと驚く声が広がっている。メーカーの稲葉製作所(東京都大田区)に受け止めを聞いた。

  • 「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」(写真提供:稲葉製作所)
    「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」(写真提供:稲葉製作所)
  • 「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」(写真提供:稲葉製作所)
  • ツイッターユーザー・ヤマト(@photo_by_Yamato)さんの投稿より

「イナバはビクともしとらん」

   仙台市のツイッターユーザー・ヤマト(@photo_by_Yamato)さんが2022年2月22日、屋外に並べて設置しているイナバの物置と他社の物置を撮影した写真を投稿した。降り続く雪に物置は埋もれ、屋根には物置の高さ半分ほどの厚みをもった大量の雪が積もっているといった状況だ。

   写真には、2台を比較するように「本来の屋根の高さ」とする赤い線が加筆されている。

   この線を基準にしてみると、他社の物置は少なくとも10センチほど屋根がへこんでいるように見える。一方で、ヤマトさんが「ビクともしとらん」というように、イナバの物置に高さの変化は見られない。

   24日にJ-CASTニュースの取材に答えたヤマトさんによると、イナバ物置は祖父から譲り受けた「年代物」だという。この投稿は3万2000件以上リツイートされ、10万5000件超の「いいね」を集めている。

   イナバ物置といえば、同社の社長と法被を着た関係者らが製品の屋根のうえに集合し、「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」と訴えるテレビCMで広く知られている。

   そのため、話題になったツイートには「CMは本当だったんですね」「なんで100人乗る必要あるんやろ~って思ってたけど、こういう時のためやったんか!」「さすが!!100人乗っても大丈夫なだけはある」などの反応が多く寄せられている。

「なぜ人が屋根の上に乗るんだ!」CM当初はクレームも

   稲葉製作所の広報は25日、投稿が話題となっていることを「存じておりました」とJ-CASTニュースに答えた。

   そもそも、100人乗っても~のテレビCMは当初、積雪に耐えられることをアピールする目的があった。

   同社は物置のほか倉庫や自転車置場などの製品で、積雪強度が異なる「一般型」「多雪地型」「豪雪地型」という設定を展開している。CMで使用しているのは豪雪地型のガレージだ。

   広報担当者によれば、「(CMの)第1回目は、雪の多い東北地方向けに放送しました」。インパクトのある演出への反響が大きく、その後全国放送になった。1986年に放送開始されてからコロナ禍に入るまで毎年撮影・放送してきたという。

   しかし、当初は「雪が降らない地域のお客様から、『なぜ人が屋根の上に乗るんだ!』というご批判の言葉も頂いたこともあります」。

   今回の反響を受けて「今では当社の理念でもある『丈夫で長持ち』が多くの方にご理解頂けたのではないかと思っております」と喜びを表す。

   テレビCMの今後については「コロナ禍が収束した暁には、再開したいと考えております」とした。

「安心・安全に対するニーズに応えたい」

   一方、ヤマトさんの投稿した写真には、イナバ物置とはいえ「雪下ろし」が必要ではないかと心配する声も寄せられた。

   屋根に影響する積雪の荷重は建築基準法に定められているため、同社広報は、降雪量に合わせて「設置するエリアに合ったタイプ」を選ぶように伝えている。なおイナバ物置の豪雪地型であれば、高さの目安の一例として150cm以下の積雪まで耐えうる、とされる。

   そのうえで同社は雪下ろしについて「早めに」、そして「物置の周りの雪」も取り除くよう案内しているという。広報は、

「ただし、安全が最優先ですので、除雪のタイミングや頻度については、周囲の状況や天候状態を踏まえて判断していただければと思います」

とも伝えた。物置の設置場所については「母屋の屋根から直接まとまった雪や雨が落ちてくる場所への設置は避けてください」した。

   今回の投稿が反響を呼んだことを受け、広報は次のように伝えた。

「近年は大雪に限らず、台風、大雨などの異常気象が続いているほか、地震などの災害にも備えなければなりません。当社がこれまで培ってきた『丈夫で使いやすい』製品づくりを通して、これからもお客様の『安心・安全』に対するニーズに応えてまいりたいと考えております」