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胃がん5000万募金断念の選手を激励 笠井アナが明かした予想外の反響「意見表明してよかった」

   胃がんのステージ4であることを公表したバレーボール男子日本代表・藤井直伸選手をめぐる募金活動について、血液がんの悪性リンパ腫を経験し、寛解したフリーアナウンサーの笠井信輔さんがインスタグラムで持論を展開している。

  • 笠井信輔アナ(写真:2021 TIFF/アフロ)
    笠井信輔アナ(写真:2021 TIFF/アフロ)
  • 笠井信輔アナ(写真:2021 TIFF/アフロ)
  • 藤井直伸選手(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

募金開始から4日で中止に

   藤井選手は、日本代表のセッターとして東京五輪にも出場したバレーボール選手だ。現在は東レアローズに所属しプレーしているが、2022年2月27日に自身のインスタグラムで胃がんのステージ4と診断を受けたことを明かし、しばらく闘病に専念するとしていた。

   3月1日には、藤井選手と同期入団の井手智選手・伏見大和選手・佐野翔選手の3人が治療費をサポートするための募金「Team藤井募金」をスタート。31日までの1か月間で、目標額5000万円の募金を始めていた。

   今後の治療方針は体調などと相談しながらであるとしつつも、保険適用外の治療も受けていく可能性があることから選択肢の幅を広げるためにスタートしたという。しかし、5000万円の目標額が具体性を伴わないなどとして批判が相次ぎ、募金は予定を大幅に繰り上げ4日に終了した。

   3人は「Team藤井」のアカウントで謝罪文を公開している。

「藤井は癌の進行が早いため、僕たちが勝手に最悪な想像を膨らましてしまい、海外での治療等全ての治療法の中から本人が望む治療法を全て叶えてあげたいという一心で、目標金額を5000万円という設定にしてしまいました」
「これから本人に行われる詳しい治療内容を聞いていないにも関わらず、僕たちが見切り発車をしてしまったことが、不信感や、不快感を作り出す大きな原因となってしまいました」

   藤井選手自身もインスタグラムで募金の終了をアナウンスし、協力への感謝と謝罪を述べた。

「治療方針も明確に定まっていないのにも関わらず、冷静な判断ができなかったことにより、私たち家族や知人、会社、チーム等の理解を得ることもなくスタートした事で、大勢の方にご迷惑や不快な思いをさせてしまったのも事実です。大変申し訳ございません」

「よりよい治療法をチームメイトが『受けさせてあげたい』と思うのは当然です」

   笠井アナは、5日に藤井選手の写真を添え「藤井選手は謝罪する必要はありません!」とインスタグラムで訴えた。

   笠井アナ自身も、2019年末に血液がんの一種「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を患っていることを公表していた。闘病生活を続け、2020年6月に主治医から完全寛解の診断を受けたことをブログで伝えている。

   同じがん経験者として、放射線治療や抗がん剤治療の苦労やがん宣告によって受けた恐怖感などに理解を示しつつ、募金をめぐる騒動に言及した。募金活動を知った当初は「やさしいお仲間だな」と感じたものの、「この金額を目にした瞬間、私は妻に『この基金はちょっと違和感があるなあ』とこぼしてしまった」という。

   その理由について、目標金額や治療方針に触れつつ説明した。

「この活動の評価の分かれ目は【目標金額5000万円】という部分だったと思います」
「保険適用外の高いお金を払えば受けられる【先進医療】や【自由診療】という方法も選択肢としてはあります」

   自身も経験した保険適用内の「標準治療」について、呼び方によって混乱が生じてしまっているのではないかとしつつ、募金を立ち上げた仲間の行動についても理解を示した。

「名前が悪いですよね『標準』って。電車だって、グリーン席があり、飛行機だってファーストクラスがあるんです よりよい治療法をチームメイトが『受けさせてあげたい』と思うのは当然です」

   当事者の立場から、藤井さんが謝罪する必要はないと強調しつつ、大きな混乱の中で正しい判断をする難しさがあることを訴えた。

「繰り返しますが、がんを告知されて一番混乱し絶望しているところから立ち上がろうとしているときに正しい判断ができないこともあるということを知ってほしい」

「皆さんのメッセージが、藤井さんの力づけになれば良いと強く感じています」

   笠井アナは翌6日のインスタグラムで、藤井選手について綴った前日の投稿に「予想以上に大きな反響」が寄せられたと明かした。投稿するべきか「少々悩んだ」としつつ、

「たくさんの藤井選手への応援コメントをいただき、意見表明して良かったと安堵しました」

とした。

   がん経験者やその家族からのコメントが多く寄せられたとした。

「皆さん、がん告知をされた後の混乱、動揺を伝えて下さいました そしてもう一つ、金銭的なプレッシャーといったものがどれほどつらいのかと言うことを明かして下さいました」
「そうした数々のコメントを読んで、何かほっとしたような、自分だけじゃないんだと言うような気持ちに、私はなりました」

   こうした回復を願う多くの温かなメッセージが、藤井選手の勇気につながってほしいと結んだ。

「皆さんから寄せられたメッセージ 藤井さんに届くといいな こんなにもたくさん応援している方がいらっしゃると言うこと 皆さんのメッセージが、藤井さんの力づけになれば良いと強く感じています」