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中国旅客機、1分12秒で6.6km急降下の謎 墜落直前に一体何が?フライトレーダーに残る記録

   中国南部の広西チワン族自治区梧州市で2022年3月21日、乗客と乗員132人が乗った中国東方航空のボーイング737-800型機が墜落した。墜落したのは、雲南省昆明発、広東省広州行きのMU5735便。

   航空機の位置を表示するウェブサイト「フライトレーダー24」には、事故機が高度を急激に落とす様子が記録されており、現地のSNSでは、機首からほぼ垂直に落下していくように見える動画も広く拡散されている。世界中で広く利用されている737型機に何が起きたのか。

  • 墜落現場では捜索活動が続いている(写真:新華社/アフロ)
    墜落現場では捜索活動が続いている(写真:新華社/アフロ)
  • 墜落現場では捜索活動が続いている(写真:新華社/アフロ)

1秒あたり301フィート(91.7メートル)の急降下

   事故機は現地時間13時10分に昆明を出発し、15時05分に広州に到着する予定だった。フライトレーダー24には、離陸直後の8400フィートまで上昇した13時16分から記録が残っている。11分後の13時27分には巡航高度の約2万9000フィートに達している。異変が起きたのは14時20分。14時20分43秒には2万9100フィートを飛んでいた機体が、同21分55秒には7425フィートまで高度を下げた。わずか1分12秒で2万1675フィート(約6600メートル)、1秒あたり301フィート(91.7メートル)の急降下だ。その後、22分5秒には8600フィートまで上昇するが、再び下降。3225フィートまで下降した22分35秒で記録は途切れている。

   国営新華社通信によると、墜落したのは14時38分。「丘の向こう側で飛行機の轟音が聞こえた。直後に爆発があった」という作業員の証言や、「飛行機が急降下しているときは、ひとつの固まりのように見えた。直後に墜落した」という、農作業をしていた村人の証言を伝えている。

   それ以外にも、墜落現場から1キロ離れた場所にある工場の監視カメラのものだとされる映像もSNSで拡散。映像では、機種が下を向き、ほぼ垂直に落下しているように見える。映像や村人の証言からすると、空中分解した可能性は低いとみられる。

   国営メディアは捜索活動の様子を大々的に報じているが、3月22日夕方時点で生存者は報じられていない。

「巡航高度で出力を失い、パイロットが操縦不能に陥った」??

   中国共産党系の「環球時報」は、中国の航空専門誌「航空知識」の王亜男編集長の話として、次のような見立てを報じている。

「機体のデータから判断して、パイロットが地上に連絡を取ったという情報はない。巡航高度で出力を失い、パイロットが操縦不能に陥った可能性が極めて高い。これは急降下が避けられない、非常に重大な技術的故障があったということだ」

   なお、王氏は「ブラックボックスが回収されないと正確な事故原因は分からない」とも断っている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)