福岡市を拠点に活動するHKT48のコンサートツアーが2022年4月8日、神奈川県横須賀市で始まった。HKT48にとってツアーは19年以来3年ぶり。
前回ツアーのサブタイトルは19年4月に卒業した指原莉乃さん(29)を念頭に置いた「あの支配人からの、卒業。」だったが、今回は「Under the Spotlight」をうたった。グループの顔として活躍してきた創業世代の多くがグループを離れ、「スポットライト」が当たる対象も世代交代が鮮明になりつつある。
HKT48では、世代ごとにエースがペアで呼ばれることがある。例えば1期生の「さくはる」こと宮脇咲良さん(24)と兒玉遥さん(25)、2期生の「めるみお」こと田島芽瑠さん(22)と朝長美桜さん(23)、3期生の「なこみく」こと矢吹奈子さん(20)と田中美久さん(20)などだ。HKT48は11年に発足し、ファーストシングル「スキ!スキ!スキップ!」(13年)は1~2期生とAKB48から移籍してきた指原さんが参加。ここまでが実質的な「創業世代」だ。
このうち、この3年間で宮脇さん、兒玉さん、田島さん、朝長さんが卒業。3期生の田中さんは3月26日を最後にSNSの更新が途絶えており、「体調不良」を理由に4月8日の神奈川公演と4月10日の東京公演を休演している。半月にわたってエースの一角を欠く状態が続く中、獅子奮迅の活躍を見せたのが矢吹さんだ。矢吹さんは18年10月から21年4月まで日韓合同ユニットIZ*ONE(アイズワン)で活動。21年5月にHKT48に復帰した。
ツアーはグループ屈指のダンスナンバーとして知られる「Make noise」(16年)で開幕。HKT48の楽曲としては初の指原さんのセンター曲で、矢吹さんがセンターに立った。2曲目は矢吹さんのセンター曲「突然 Do love me!」(21年)。指原さんにとって最後のHKT48のセンター曲「意志」(19年)が3曲目で、やはり矢吹さんがセンターに立った。
中盤の「2018年の橋」では、とりわけシンボリックな演出が展開された。ファーストアルバム「092」(17年)に収録されている楽曲で、元々は指原さん、宮脇さん、兒玉さん、田島さん、朝長さんの5人が担当していた。18年5月に福岡市内で行われたコンサートでは、当時休養していた兒玉さん以外の4人で披露。背景の画面に兒玉さんが大きく映し出され、指原さんや宮脇さんは大粒の涙を流した。19年4月の指原さんの卒業コンサートでは指原さん、田島さん、朝長さんの3人が歌った。指原さんは、IZ*ONEの活動でHKT48を離れている宮脇さんと、休養が続く兒玉さんを思って「はるっぴと咲良に、届きますようにー!」と声を上げた。田島さんが22年4月にHKT48を卒業し、5人全員がグループを離れた。
今回のツアーでは、この楽曲を矢吹さんがソロで披露。背景のモニターには、村重杏奈さん(23)、上野遥さん(22)ら卒業生をはじめ、HKT48のメンバーが次々に映し出された。間奏では後ろを振り返ってモニターを見つめ、歌い終わると客席に向けて深々と頭を下げた。
ツアーは公演ごとにゲストを招く趣向で、4月10日に東京・渋谷で行われた公演では、AKB48が登場。メンバーの一覧が画面に映し出されると、客席からはどよめきが起きた。そのひとりが、矢吹さんと同様にIZ*ONEメンバーとして活動した本田仁美さん(20)。「ヘビーローテーション」(10年)をダブルセンターでパフォーマンスした。IZ*ONEの活動終了後に2人がステージで共演するのは初めてで、本田さんは
「2年半同じグループで一緒に活動してたけど、こうしてそれぞれのチームに戻っても、こうしてセンターで同じスタンドマイクで一緒にパフォーマンスができて本当にうれしいです」
と感慨深げに話した。矢吹さんは「不思議な感じがするね」と応じた。
4期生の運上弘菜さん(23)、ドラフト2期生の松岡はなさん(22)をはじめ、矢吹さん以外にも多くのメンバーが「創業世代」のポジションを引き継いだ。例えば、田島さんがセンターだった「SNS WORLD」(21年)は5期生の石橋颯(いぶき)さん(16)がセンターに。ドラフト3期生の渡部愛加里さん(17)は、「モーニング娘。」とコラボした指原さんのセンター曲「Get you!」(17年)などを歌った。4期生の武田智加さん(19)や5期生の竹本くるみさん(18)も、客席への「あおり」で存在感を増した。
横須賀の夜公演の終わりには、1期生で「チームH」キャプテンの松岡菜摘さん(25)以外に、4期生もあいさつした。地頭江音々(ぢとうえ・ねね)さん(21)は、「あおり」で「本当に心臓が飛び出そうなくらいに緊張した」ことを明かし、「ツアーが終わるまでに、もっともっと成長している姿を見せられたら」と意気込んだ。同期の豊永阿紀さん(22)も、
「なかなか今まで通りとはいかないかもしれないけど、こうして皆さんと思い出が重ねられることがうれしいし、HKTが10周年を迎えて、また新たに踏み出すというこのタイミングで皆さんと共有できる場ができて本当に嬉しい」
などと話し、コロナ禍でもコンサートが開催できたことに感謝した。
ツアーは現時点では5月1日に名古屋市、5月7日に熊本市、6月10日に大阪市でも公演が予定されている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)