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空港丸ごと使った「進化系オンライン演劇」 15台の固定カメラ設置、1夜限りの生配信

   コロナ禍でオンライン演劇の取り組みが広がるなか、空港で展開されるコメディ劇「夢路空港」を生配信する試みが2022年4月16日深夜(17日未明)行われた。

   オンライン演劇を手がける「ノーミーツ」が吉本興業と共同で企画し、日本航空(JAL)の協力を得て深夜の小松空港(石川県小松市)を貸し切った。お笑いコンビ「ジャルジャル」の2人が主演し、前田敦子さん(30)がヒロインを演じた。オンライン演劇のノウハウを活用した取り組みだが、オンライン演劇でもドラマでも舞台でもない、新しい取り組みだ。

  • 「夢路空港」は「ジャルジャル」の2人が主演し、前田敦子さんがヒロインを演じる(「夢路空港」提供)
    「夢路空港」は「ジャルジャル」の2人が主演し、前田敦子さんがヒロインを演じる(「夢路空港」提供)
  • 「夢路空港」は「ジャルジャル」の2人が主演し、前田敦子さんがヒロインを演じる(「夢路空港」提供)
  • ストーリーは福徳秀介さん演じる商社マンを軸に展開される(「夢路空港」提供)
  • 15台のカメラがストーリーを追う。アングルは固定だ(「夢路空港」提供)
  • カメラは展望デッキにも設置された(「夢路空港」提供)

カメラ15台は固定、アングルは動かずズームアップもしない

   「夢路空港」には7人が出演。福徳秀介さん(38)演じる商社マンが、預けた荷物が出てこないことをパイロットの制服を着た後藤淳平さん(38)に訴える場面からストーリーが始まる。テーマは「人生のトランジット」。乃木坂46の清宮レイさん(18)演じる整備士など、空港で偶然に出会った人々が会話を交わす中で、現実や夢への考え方が変化していく様子を描く。

   制作に携わった「ノーミーツ」は、20年の発足時は「稽古から上演まで一度も会わずに活動するフルリモート劇団」を名乗り、オンライン演劇の長編作品「門外不出モラトリアム」(20年2月)の上演や、HKT48によるオンライン演劇「HKT48、劇団はじめます。」(21年2月)の支援で知名度を上げた。現時点では「まだ出会ったことのない、新しい物語を生み出すストーリーレーベル」をうたっている。

   「夢路空港」は、出演者がPCと向き合って演技するオンライン演劇とは異なり、空港内で展開されるストーリーをロビーや展望デッキなど15か所に設置されたカメラで追う。ただ、カメラは固定され、アングルが動いたりズームアップしたりもしない。ここはドラマや映画との大きな違いだ。

前田敦子「すごく新しいもの、新しい舞台っていう感じ」

   事前に発表されていた上演時間は70分だったが、アドリブが盛り上がるなどした結果、結果的に100分近くに延長。ストーリーのあらゆる場面に貼りめぐられた伏線が終盤で一気に回収され、配信画面の横に設けられたコメント欄やツイッターでは驚嘆の声が相次いだ。

   前田さんは終演後に公開された動画で、

「すごく新しいもの、新しい舞台っていう感じなのかな、って思って...。これは見なきゃ損だと思います。面白いです!」

などと新しい取り組みをアピールしていた。

   生配信の視聴者数は非公表。「ノーミーツ」がプロデュースするオンライン劇場「ZA」で5月1日までアーカイブ配信も行われる。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)