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パックで混ぜてフライパンへ!10分完成ひき肉レシピにSNS騒然 閲覧50倍に...味の素に聞く誕生秘話

   味の素(東京都中央区)が公開するレシピの1つ「豚ひき肉かたまり焼き」に、ツイッター上で大きな注目が集まっている。ひき肉をパックの上で調理し、そのまま焼くというシンプルさに、「そのままやんけ」「コラ画像かと思った」と驚く声が広がっている。

   J-CASTニュース記者は、実際に豚ひき肉かたまり焼きを調理。2022年5月20日には、味の素の担当者にどういう経緯で考案したレシピなのか取材した。

  • 味の素が公開するレシピの1つ「豚ひき肉かたまり焼き
    味の素が公開するレシピの1つ「豚ひき肉かたまり焼き
  • 味の素が公開するレシピの1つ「豚ひき肉かたまり焼き
  • ひき肉をパックに入れたまま、片栗粉とマヨネーズを加えてよく混ぜる
  • ハンバーグのようによく混ぜあわせると、ネギトロのようなピンク色に
  • パックの上で平らに広げる
  • 中火で4~5分焼く
  • じっくり蒸すと完成
  • 豚ひき肉かたまり焼きは、分厚くジューシー

SNSで話題の「豚ひき肉かたまり焼き」、その味は?

   豚ひき肉かたまり焼きは、味の素のレシピサイト「AJINOMOTO PARK」で紹介されている。ひき肉のシンプルなレシピを検索していたツイッターユーザーが22年5月17日、あまりのシンプルさに「感動した」と拡散したことで大きな注目を集めた。発端となったツイートは20日18時現在までに2万3000件超のリツイート、10万9000件超の「いいね」が寄せられている。

   材料は、豚ひき肉と片栗粉、味の素の「ピュアセレクト マヨネーズ」の3点のみ。調理時間は10分と記されている。そのシンプルさからツイッターでは「これ作ろう」「これなら私でもできる!たぶん!!」などと意欲を燃やすユーザーも少なくない。記者も実際に作ってみた。

   まずは、ひき肉をパックに入れたまま、片栗粉とマヨネーズを加えてよく混ぜる。肉があふれそうになるので、今後このレシピに挑戦する人には、パックのサイズがひき肉よりやや大きめのものをお勧めする。

   ハンバーグのようによく混ぜあわせると、ネギトロのようなピンク色になった。このひき肉をパックの上で平らに広げる。ふちは少し盛り上がらせるのだという。このひき肉をパックからフライパンに落とし、中火で4~5分焼く。油は不要だ。表面を焼き終えたら裏返し、フライパンに蓋をしてじっくり蒸すと完成だ。

   完成した豚ひき肉かたまり焼きは、分厚くジューシー。味はハンバーグに近いが、野菜などが入っていないためかより「肉を食べている」感覚がある。記者は分量に沿って300グラムのひき肉を用意したが、おそらく2人前の大きさになった。300グラムを超えると、フライパンに収まらないサイズになりそうだった。

「簡単に作れる作り置きの1品として開発しました」

   取材に応じた味の素の調味料事業部の担当者によると、豚ひき肉かたまり焼きは2010年12月1日に公開した料理だという。開発経緯については次のように説明する。

   2010年ごろは、簡単な料理や作り置き料理を検索する人が多かった。しかし当時は当てはまるレシピが少なかったため、働きながら料理を作っている人の声を実際にヒアリングし、内容を考えた。ヒアリングの結果、20~30分でできる料理や、何も考えなくてもメインの一品で野菜と肉がある程度バランスがとれるもの、いつも家にあるような食材で作れるものへの需要が高かったという。そこで「料理をされる方の気持ちに寄り添った、簡単に作れる作り置きの1品」として、豚ひき肉かたまり焼きを生み出した。

   調理のコツは「ひっくり返す以外はあまり触らずに焼くこと」。ポロポロにならずにお肉のジューシーさを味わうことができるという。完成した豚ひき肉かたまり焼きを用いて、角煮丼や回鍋肉(ホイコーロー)、すき煮風に調理することもおすすめだとした。

   公開から約12年、なぜ今このレシピが注目されたのか。担当者は反響を次のように受け止める。

「当該レシピの一日平均PVと比べると、拡散された5月17日はPV(ページビュー)数が50倍以上に跳ね上がりました。このレシピの潔さ、すがすがしさが話題につながったと考えており、簡単・シンプル、だけどおいしい!というレシピをもっと積極的にお届けしたいと思いました。
特に、今回はご紹介いただいた方のユーモアも相まって話題になったと認識しているので、当社のアカウントからの情報発信も、ユーモアと共に伝えられたらいいなと思っております」

   担当者によれば、簡便・時短レシピのニーズは引き続き高い傾向にあるという。一方でコロナ禍に伴う変化もあったと説明した。

「最近ではコロナ禍以降の在宅時間に伴う調理頻度の増加により、新しいメニューや調味料を取り入れようとするなど、人々が『自宅における食を楽しもう』とする傾向があることが確認できています。
『テレビや雑誌、SNSで取り上げられた食べ物は食べたくなる、作ってみたい』という食意識が高まっており、トレンドの食をおうちで簡単に再現できるレシピが求められていると感じています」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)