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保留中の会話、実は相手に筒抜けだった? コールセンターめぐる噂に注目...NTTの見解を聞いた

   コールセンターのスタッフには、保留中も相手の音声が聞こえているらしい――。こんな噂が、インターネット上で注目を集めている。

   保留中は音楽が流れるなどして、お互いの声は聞こえないはずだが...。NTT東日本など関係者に取材した。

  • 保留中も客の声が筒抜けはありうる?(写真はイメージ)
    保留中も客の声が筒抜けはありうる?(写真はイメージ)
  • 保留中も客の声が筒抜けはありうる?(写真はイメージ)

「保留中も通話は成立しているので、端末側の仕様でありえる」

   オペレーターがいったん調べると電話を保留にしたため、客を待たせるのかと思わず愚痴を漏らす。その間に、子供に小言を言ったり、恥ずかしい音を立てたり――そんな声や音が、オペレーターには筒抜けになっていた。

   こんな内容を伝えた投稿が、2022年5月25日にあり、3万件以上もリツイートされた。投稿者はコールセンターの元スタッフで、その際の実体験だという。

   投稿については、「知らなかった」「なんのために??」「今後気をつけます」などと驚きの声が上がった。一方、オペレーター経験者という人からは、自分のところでもあったとの声が出ると同時に、何社か在籍したがそのようなことはなかったとの報告も出ていた。

   今回投稿されたような情報は、過去にも話題になっている。3年前も、電話の保留中に客の独り言や鼻歌が聞かれているという別のツイッター投稿が拡散して、まとめサイトなども取り上げていた。

   そうしたことがありうるかについて、NTT東日本の広報室は27日、J-CASTニュースの取材に対し、メールでこう回答した。

「保留制御の仕組みは端末側の話と想定されるので当社として回答できる立場にありませんが、当社で回答できる範囲としては保留中も通話は成立しているので、端末側の仕様によっては相手の声が聞こえる可能性はありえるのではと思います」

「技術的には可能かもしれないが、聞いたことはない」

   ただ、NTT東日本では、メーカーに委託して自社ブランドとして出しているビジネスフォンについては、お互いの音声が聞こえないようしっかり保留にする仕様になっているため、自社端末では起こりえないと強調した。他社ブランドの端末については、お答えする立場にはないとした。

   あるビジネスフォンの大手メーカーも5月27日、保留中に客の声が聞こえるのは仕組み的にありうると広報担当者が取材に明かした。

「客側が保留にした場合は聞こえませんが、コールセンター側が保留にする場合は、客の声を聞くことはできます。NTTの回線を使っていても、端末によっては可能でしょう。保留中は、マイクにフタをするように自分たちの声は止め、代わりにオルゴールのように音楽を流す方法もあると思います。このように、理屈上はありえますが、こちらではそのような要望をいただいたことはありません」

   さらに、NTTなどの電話回線を使わなくても、客の声が聞こえるようにすることは可能だと広報担当者は指摘した。

「LINE電話のように、インターネットサービスを利用すればできると思います。コールセンターがソフトフォンを導入する場合ですね。色々なタイプの接続方法があり、ソフトを使って客の声を取り込むようにすればいいわけです」

   では、実際に、電話の端末やソフトフォンを使って、客の声が聞こえるようにしているコールセンターはあるのだろうか。

   関連業種も含め224社が加入する「日本コールセンター協会」では27日、取材に次のように説明した。

「保留中に客の声が聞こえるというのは、やろうと思えば、技術的にはできるのかもしれません。しかし、一般的には考えられず、運用上で敢えてやったというところは聞いたことがありませんね。オペレーターは、保留中に調べたり上司に聞いたりしており、客の声を聞いていることはないと思います。そもそも、意図的に聞こえるようにするという理由が分かりません」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)