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自力V消滅の阪神、気になる矢野監督の「重い空気」 得点入らず「落胆の表情」...チームに伝染も

   本塁が遠い。阪神が2022年5月31日の西武戦(甲子園)に0-2で敗れ、今季初めて自力優勝の可能性が消滅した。

   荒れ球の相手左腕・佐藤隼輔に工夫もなく凡打の山を重ねた。5回まではわずか1安打。6回に2死一、三塁と好機を作ったが、糸井嘉男が2番手の水上由伸に投ゴロに仕留められた。8回2死一、二塁の好機も糸井が平良海馬に二ゴロに倒れるなど最後まで決定打が出なかった。今季13度目の零封負け。本拠地・甲子園で25イニング連続無得点と貧打が深刻だ。

  • 矢野燿大監督(写真:アフロスポーツ)
    矢野燿大監督(写真:アフロスポーツ)
  • 矢野燿大監督(写真:アフロスポーツ)

「能力の高い選手がそろっているのにもったいない」

「工夫がないままにスコアボードにゼロが並んでいる。技術もそうですが、精神面で選手たちにも焦りがあるように感じられます。チャンスの場面も選手がピンチのように追い込まれてボール球に手を出している。気になるのは矢野監督です。得点が入らないと落胆の表情を浮かべる。指揮官の重い空気がチーム全体にも伝染してしまっている」(スポーツ紙デスク)

   就任4年目の矢野燿大監督は、今年2月の春季キャンプ前日に今年限りでの退任を明言。今季にかける思いが強かっただけに、思うようにいかない戦いぶりに苦悩は深い。開幕9連敗を喫するなど4月中旬に3勝19敗1分の借金16に。その後は6連勝を飾るなど持ち直したかのように見られたが、波に乗り切れない。5月の月間成績も11勝13敗と負け越した。

   チーム防御率2.76はリーグトップに対し、155得点はリーグワーストと課題は明確だ。マルテ、ロハスと外国人野手が機能していないため打線全体が迫力に欠ける。ベンチワークでヒットエンドランを多用するなど相手を揺さぶる嫌らしさもないため、得点パターンが少ない。

「阪神の選手はきれいに安打を打とうという意識が強すぎると思います。ノーヒットでも得点は取れる。進塁打や犠飛もチーム打撃として重要です。連打なんて簡単に出るものじゃないですから。能力の高い選手がそろっているのにもったいないですよ」(スポーツ紙デスク)

   自力優勝の可能性は消えたが、あくまで数字上のマジックだ。残り89試合で勝ち続ければ再び自力優勝のチャンスは巡ってくる。気になるのは矢野監督だ。チームを束ねる指揮官がベンチで意気消沈の表情を見せると、選手も敏感に感じ取ってしまう。5月31日の西武戦は平日にもかかわらず、3万86人の観衆が甲子園に詰めかけた。最下位に低迷している状況でも応援してくれる阪神ファンのために、ファイティングポーズを前面に出して戦い続けてほしい。(中町顕吾)