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映画のネタバレ「歓迎派」の心理とは 先に結末知れば「安心してコンテンツを楽しめる」

   ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第53回をお送りします。今回のテーマは「SNSでのネタバレ」です。

   映画や漫画、新作ゲームなどが公開されて大きな反響を呼ぶと、必ずと言っていいほどTwitter上で盛り上がるのが「ネタバレ」に関する話題です。

Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>

  • 映画のネタバレ、許せますか?(画像はイメージ)
    映画のネタバレ、許せますか?(画像はイメージ)
  • 映画のネタバレ、許せますか?(画像はイメージ)

ネタバレOKな人、NGな人それぞれの持論

   2022年5月13日に公開された、映画『シン・ウルトラマン』が記録的な大ヒットになっています。子どもを連れて鑑賞した人たちのツイートも多く、Togetterでも、公開直後から同作に関連するまとめがたくさん作られました。

<『シン・ウルトラマン』を観た子供たち - Togetter>

   映画は感想ツイート数が多いほど、映画を観ていない人にとっても目につきやすくなり「ネタバレ」につながりやすくなります。作品の感想を気軽に発信できるTwitterとネタバレは、切っても切り離せない関係と言っても過言ではありません。

   ネタバレに関する話題の中でも「ネタバレOK派かNG派か」は、特に熱い議論が交わされやすい一大トピックです。

   2022年4月26日、日本テレビ系の情報番組『スッキリ』が、「ネタバレ視聴」について取り上げていました。「ネタバレ視聴」とは、あらかじめ作品のストーリーやオチなどの情報を知った上で作品を鑑賞することで、特に最近の若者の間で広がっているそうです。

   番組の反応を集めたまとめでは「ネタバレ視聴OK」派の意見として「安心してコンテンツを楽しめる」「好きなキャラがいきなり死んだという経験からネタバレ視聴OKになった」といった声が。「ネタバレ視聴NG派」からは「作り込まれた演出や初見の感動を味わいたい」「2回目の視聴は知った上で楽しみたいのでネタバレが嫌い」などといった意見が集まっていました。また、OK派・NG派それぞれの意見に理解を示した上で、互いに配慮しあう必要性を訴える反応もピックアップされています。

<「知っていた方が楽しめる」「ネタバレなしは1度しか経験できない」若者に広がるネタバレ視聴について様々な声 ーTogetter>

   また、ネタバレOK派による「結末をバラされるのがたまらなく好き」という持論が注目されたこともありました。

   投稿者にとっては「結末を知った上でそこに至るまでの過程を知っていく楽しみ方が格段に上」だとのこと。また、自分から積極的にネタバレ投稿を見に行くという人、2回目の視聴を楽しみたいという人など、それぞれの主張が展開されています。

<「ネタバレ、特に結末をバラされるのがたまらなく好き」という人々の主張「そこに至るまでの過程を知っていくワクワク感が好き」 - Togetter>

   このように両者の意見を見ると、ネタバレについての考え方は十人十色であることがよくわかります。

配慮しているつもりでも「匂わせ」たらネタバレに

   続いて、ネタバレNG派によるエピソードです。他人にネタバレされて初めて気づくこともあるようです。

   漫画家のタカノンノさんがTwitterに投稿した、「気になるアニメの視聴を開始したら早々にネタバレ喰らった女の話」という漫画が注目を集めたことがありました。 漫画の内容はこうです。主人公の女性がアニメの感想をTwitterに投稿したところ、最後まで視聴したことがある人から「親友が死ぬ終盤の展開では...」「ここのセリフ覚えておいてね......」といったネタバレを含む返信を受け、憤ります。

   しかし、思い返すと主人公もかつて、他人に同じようなネタバレ行為をしていたことに気づいたのでした。

<ネタバレをされてしまい怒ったが、よくよく考えたら自分も他人に同じことをしてしまっていた...「これやって怒られた、気をつける」 - Togetter>

   もうひとつ、「2種類のネタバレ」についてのイラストも反響を呼んでいます。

   「2種類のネタバレ」とは、「犯人は◯◯」というように直接的な表現でのネタバレと、「お、するどい」「ここからが本番だから」など、間接的な言葉でその後の展開や結末を匂わせるネタバレのこと。後者は、相手に配慮しているつもりであってもネタバレである、との意見が多数集まりました。

<直接ネタバレする人より「ここ伏線」「この台詞覚えといて」みたいにやたらと匂わせてくる奴の方がバラしてる、という意見に同意の声多数 - Togetter>

   このように、人によって許容できるラインに複雑な幅があることも、ネタバレ議論に火がつきやすい一因なのかもしれません。

ネタバレは映画館の敷地内でも起きている

   過去には、映画館のスタッフと名乗るTwitterユーザーが「作品鑑賞後のネタバレを含む会話は映画館の敷地を出てからお願い致します」と呼びかけたツイートが拡散されたこともありました。

<エヴァ公開にあたって映画館スタッフが伝えたいこと「鑑賞後のネタバレは"映画館の敷地を出てから"」に賛同の声-Togetter>

   このツイートに対し「映画館のマナーで一番大事だと思う」「こればっかりは本当に配慮して欲しい」「無意識にしゃべらないように気をつけないと」など、他人の会話でネタバレを受けた人の苦い体験談が続々と集まりました。ネタバレへの配慮はSNSだけでなく、日常生活の中でも気をつける必要がありそうです。

   ネタバレに関する話題がTwitterで拡散されやすい理由は、次の3つの要素にあると考えられます。

・話題作の反響に比例して拡散される性質があること
・どんな作品にも発生しうること
・ネタバレに関する考え方の違いが多種多様であること

   今回紹介した例以外にも「過去の話題作についてのネタバレの線引き」「同じ作品を週刊誌で見ている人、単行本人で追っている人の間に生じるネタバレのタイムラグ」「作品の重要なシーンがネタ的に拡散された結果起こるネタバレ」などなど、ネタバレに関する話題は枚挙に暇がありません。これらをたどってみると、SNS上のネタバレ投稿との適切な付き合い方を考え直すヒントが見つかるかもしれません。

   以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。

Togetter編集部