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プロ漫画家も「これはいいなあ!」 「洗浄力30回分」の「筆洗い」、スペインの開発元に経緯を聞いた

   絵の具などを用いた後に筆の穂を洗うための道具「筆洗い」。一般的にはバケツなどの形状で親しまれている。現在ツイッター上では、1クリックで水の入れ替え可能な筆洗い「ブラシリンサー」に大きな注目が集まっている。

   開発したのは、塗料や工具などのホビー製品を手掛けるスペインの会社・グリーンスタッフワールドだ。J-CASTニュースは2022年6月13日、開発背景を取材した。

  • SNSで話題の「ブラシリンサー」
    SNSで話題の「ブラシリンサー」
  • SNSで話題の「ブラシリンサー」
  • ブラシリンサーの構造
  • 約30回の洗浄能力
  • グリーンスタッフワールドは、スペースを有効活用し、快適で便利な作業環境を作ることを目的として道具を開発

「えっトイレ?」「歯医者さんみたい」

   グリーンスタッフワールドが開発したブラシリンサーは、白い箱の左上に給水タンクが設置されたような形状をしている。箱の右上には筆を洗うウォーターポケットと、水を入れ替えるボタンがある。ボタンを押すとウォーターポケット内の汚れた水が排出され、綺麗な水に入れ替わる。

   日本では、模型やプラモデルの情報サイト「nippper.com」が特集し、大きな注目が集まった。ツイッターでは「えっトイレ?」「歯医者さんみたい」と驚く声や、「めっちゃほしい」と熱望する声が広がっている。漫画「炎の転校生」の作者である島本和彦さんも、「これはいいなあ!いや、これはいいなあ!!」とツイートしている。

   取材に対しグリーンスタッフワールドは、スペースを有効活用し、快適で便利な作業環境を作ることを目的として開発した道具の1つだと説明する。

「開発時に特にこだわったのは製品の大きさと、水を補充せずに使える回数です。スペースの効率性を追求し、コップ2杯分のスペースに仕上げました。給水タンク1本につき約30回分の洗浄能力を発揮できると思います」

   大きさは横幅が185ミリセンチメートル、高さが155ミリセンチメートル。タンクの容量は250ミリリットルで、汚れた水は500ミリリットルまで貯めることができるという。

「日本市場は道具やガジェット類が大好き」

   開発のきっかけは、顔料の課題を解決するためだった。

「ブラシリンサーは当初、スペースに限りがある造形や工作の現場を想定して開発しました。通常は、塗料用の筆とメタリック塗料用の筆のために、2つのコップを用意しています。メタリック顔料と非メタリック顔料が混ざらないようにするためです」

   メタリック塗料は、微細な金属粒子を含んでおり、作品に金属のような光沢感を持たせるために利用される。しかし筆に粒子が残ってしまうと、他の塗料を用いた時もキラキラしてしまうといった問題がある。

   グリーンスタッフワールドによると、実際に商品が出来上がると、水彩画、テンペラ、ガッシュなど他の絵画の分野にも用いることができることが分かり、「予期せず便利なものを作ってしまった」と振り返った。

   現在は世界各国で販売され、売り上げは日々伸び続けているという。日本ではM.S Models(茨城県ひたちなか市)が代理店として販売しており、値段は2970円(税込み)。グリーンスタッフワールドは、「日本市場は道具やガジェット類が大好きなので、日を追うごとに人気になっています」と述べた。

「多くの人々が実際に試すことで、実用性の高さやちょうどいいサイズ感、価格などが評価され、全ての作業テーブルに必須のツールになることを期待しています」