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「花垣×東リベ」コラボサイト話題「古のオタクは古傷が痛む」 なぜガラケー風?担当向き合った「黒歴史」

   日本酒「花垣」と人気漫画「東京卍リベンジャーズ」がコラボした特設サイトをめぐり、ツイッター上で「古のオタクは古傷が痛むかもしれない」など大きな注目を集めている。サイトトップにアクセス数を紹介するカウンターが設けられるなど、2000年代のガラケーサイトを模した作りになっている。

   特設サイトは、「花垣」の醸造元である南部酒造場(福井県大野市)の担当者が自身の「黒歴史」と向き合いながら制作した。J-CASTニュースは2022年6月21日、担当者にコラボの背景やサイトへのこだわりを取材した。

  • 日本酒「花垣」と人気漫画「東京卍リベンジャーズ」がコラボ
    日本酒「花垣」と人気漫画「東京卍リベンジャーズ」がコラボ
  • 日本酒「花垣」と人気漫画「東京卍リベンジャーズ」がコラボ
  •  現代の花垣武道の手をクリックすると・・・(特設サイトより)
  • 過去の花垣武道が現れ、2000年代風のサイトに(特設サイトより)
  • 南部酒造場
  • 「東京卍リベンジャーズコラボ TIME LEAP 2005 花垣 純米大吟醸」と「東京卍リベンジャーズコラボ 花垣 純米大吟醸」

コラボのきっかけは「花垣」つながり

   南部酒造場は19日、大人気漫画「東京卍リベンジャーズ」とコラボした商品を発売した。商品は「東京卍リベンジャーズコラボ 花垣 純米大吟醸」と「東京卍リベンジャーズコラボ TIME LEAP 2005花垣 純米大吟醸」の2種。

   前者は、軽快でキレのある日本酒で、主人公の好物・ポテトチップスとのペアリングもおすすめだという。今回のコラボのために醸造した。後者は2005年に醸造された熟成酒。ほろ苦く、奥深い味わいだという。作中で主人公が2005年にタイムリープするシーンがあることから、特別に蔵出しした。

   コラボのきっかけは、同作の主人公「花垣武道」と偶然にも名前が一致したことだった。南部酒造常務の南部拓也さんは取材に対し、以前から同作のファンだったと明かす。

「私が初めて東京卍リベンジャーズを知ったのは3年前に弊社の女性社員が原作漫画について教えてくれた事がきっかけでした。主人公の名前が『花垣武道』で私どもの銘柄『花垣』と同じ名前で、そんな同じ名前の主人公がタイムリープする物語と教えてもらいました。
その当時は笑い話として同じ名前『花垣』として『コラボレーション出来ればなぁ』と話していたことを今でも覚えています」

   南部酒造場が酒造りを開始したのは1901年。初めて出来た酒は、ふくよかで華やかな味わいが満開の桜に例えられた。密集して咲き誇る様子は花の垣根のようだと言われたことから、「花垣」と命名されたと言われている。

「ガラケー」のホームページに近づけるため、ドットで「文字」を制作

   コラボを担当した南部さんには、1ファンとして多くのファンが楽しめる体験を提供したいという思いがあった。そこで「東京卍リベンジャーズといえばタイムリープ」だと考え、時を巻き返すようなウェブページを制作した。

「『東京卍リベンジャーズ』の主人公、花垣武道は1991年6月25日生まれで2022年時点では31歳です。もし、主人公の花垣武道が2005年にウェブサイトを作っていたら?と想像を膨らませ制作しました」

   特設サイト「卍花垣のホムペ卍」は、作中通り主人公・花垣武道の手を取ることで過去に戻る仕掛けとなっている。現代の花垣武道の手をクリックすると、過去の花垣武道が現れ、2000年代の携帯サイトを想起させるページが映し出される。

   黒をベースとした背景には宝石やキラキラしたエフェクトがちりばめられ、文字はガラケー時代のような古めかしいフォントになっている。サイト上部に設けられたアクセス数カウンターでは、キリの良いアクセス数「キリ番」に立ち会うと、「オメデト!!キリ番GET!!!」という文字が浮かぶ特別な演出が用意されている。

   さらに「ホムペ作成」「編集」といった実際のブログのような編集メニューが用意されているが、これらをクリックすると「残念!タケミっち以外は編集できません!」というポップアップが表示される。

   南部さんは、装飾や色合いなどをできる限りガラケーのホームページに近づけることに力を入れたという。1番のこだわりは文字で、当時のフォントがなかったため、1文字ずつドットで制作したとのことだ。

秘密のページも用意

   なぜこれほどの熱意でコラボに取り組んだのか。南部さんは、「東京卍リベンジャーズ」の魅力をこう述べる。

「タイムリープしても未来があまり変わらなかったり、未来が変わったとして悪い方向に変わってしまったり、『花垣武道』とヒナの恋人としての何とも言えない甘酸っぱさと気恥ずかしさを感じたり、謎解き要素もあるので一度読み始めるとバトルシーンとしての抗争中の場面や、各キャラクターの掘り下げも含めて夢中になって最新話まで一気に読んでしまうほど好きになりました。
今後も『花垣武道』がどう過去を変えていくのか、未来は最終的にどうなってしまうのか気になるばかりです」

   特設サイトは好評で21日14時までに9万5548件のアクセスがあった。ツイッターでは「心の古傷が疼くよ」「ド世代すぎてわらってしまった...」「心が完全にタイムリープしました~」と驚く声が広がっている。

   こうした反響を受けて、南部さんは「私自身も、当時の自分の黒歴史を発掘しながらウェブ制作を行いましたので、強く、強く共感いたします」と述べる。さらに南部さんは特設サイト上に鍵付きページを隠してあるとして、「是非ともハッカーになった気持ちで、挑戦していただければと思います」と呼びかけた。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)