J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

二択の米・パン、両方取ろうとした自衛隊員が停職→「厳しすぎ」の声 広報「処分は適正」その理由

   埼玉県狭山市内の航空自衛隊入間基地で、ご飯かパンしか選べないのに両方を取ろうとした隊員が停職3日の懲戒処分になったと地元紙に報じられ、ネット上では、厳しすぎるのではないかとの声が相次いでいる。

   その職は激務なのに、なぜ両方とも食べてお腹いっぱいにしたらダメなのかとの意見も多い。入間基地の広報班に取材して話を聞いた。

  • 航空自衛隊入間基地
    航空自衛隊入間基地
  • 航空自衛隊入間基地

「注意すれば済むことではないか」などの声

   隊員の処分は、埼玉新聞が2022年6月21日、「懲戒処分...朝食でパンか米の二択なのに、両方選んだ1等空尉 入間基地、停職に」との見出しでウェブ版でも報じた。

   記事によると、50代の男性1等空尉は4月26日、基地幹部食堂で朝食を食べるとき、ご飯のほか1食分のパン2個を不正に取ろうとした。配膳係から指摘を受け、空尉は2個を食べることなく、その場で返した。空尉は、このことを自ら基地に申し出たという。

   空尉は、「米を減らしたため、パンを取っても問題ないと思った。認識不足だった」と話し、これに対し、基地では6月20日、空尉を停職3日の懲戒処分にした。

   この記事が出ると、ヤフーニュースのコメント欄やツイッター上などでは、「こんなことで...」「処分が厳しすぎる」「注意すれば済むことではないか」といった書き込みが相次いだ。「激務なんだから食べたいだけ食べて」「飯くらい自由な量を与えるべき」などと、食べ方を縛るべきではないとの意見も多い。

   一方で、「規則があるなら守るべきだ」「沢山取ったことにより、食べられない人が出る」との指摘もあった。

   入間基地の広報班は21日、J-CASTニュースの取材に対し、懲戒処分はマスコミを通じて公表しており、今回も地元の記者クラブにFAXを送ったとしたうえで、空尉が不正をした状況について説明した。

「基準の範囲内で厳正に処分しており、適正だと考えている」

   それによると、空尉は、不正をした当日、朝寝坊をしてしまったため、食事の時間を十分に取れず、時間を短縮するために、自分からご飯の量を減らした。そして、食事の後に食堂の外に持ち出して食べようと、1食分のパン2個を不正に取って、配膳係に見つかった。

「これは、乾物の不法領得になります。空尉は、そのことへの認識が不足していました。ご飯を減らしたら、パン1個ならいいというわけでもありません。空尉がしたことは、服務規律の維持に反する行為です。他の隊員がパンを食べられなくなりますし、食事には税金が使われています」

   航空自衛隊では、量やカロリーを計算したうえで、ご飯なら1杯と一律に決まっているという。お代わりなどができないのは、予算がないからということではないとした。

   空尉の行為は、自衛隊法の第46条1項1号に規定された「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」に当たり、懲戒処分の対象になると広報班の担当者は説明した。そのうえで、「処分は、基準の範囲内で厳正に行っており、こちらでは適正だと考えています」と述べた。

   厳しすぎるといったネット上の声については、「お答えは差し控えさせていただきます」と話した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)