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ニッチすぎる!謎の大会「マイクケーブル8の字巻きグランプリ」じわり浸透 「ネットのおかげです」主催者感慨

   東京ビックサイトで2022年7月1日に開催された大会「マイクケーブル8の字巻きグランプリ2022」が、ツイッターで注目されている。

   競技の内容に「この大会は一体...」「めちゃニッチ」といった声が寄せられている。大会を主催する一般社団法人日本音響家協会に実施の経緯を聞いた。

  • 「マイクケーブル8の字巻きグランプリ2022」(ツイッターユーザー@Awed_Urshyさんの投稿より)
    「マイクケーブル8の字巻きグランプリ2022」(ツイッターユーザー@Awed_Urshyさんの投稿より)
  • 「マイクケーブル8の字巻きグランプリ2022」(ツイッターユーザー@Awed_Urshyさんの投稿より)
  • 「8の字巻き」の見本(写真提供:一般社団法人日本音響家協会)
  • 大会の観客席(写真提供:一般社団法人日本音響家協会)
  • 大会の決勝戦、写真左が優勝者(写真提供:一般社団法人日本音響家協会)

「シャイな音響技術者の祭りをやろうとした」

   話題のきっかけとなったのは、ツイッターユーザー・あうぇっど(@Awed_Urshy)さんが思わぬ大会の存在に驚きを伝えた2022年7月1日の投稿だ。添付写真には、「マイクケーブル8の字巻きグランプリ2022」という大会名が掲げられた会場で、マイクケーブルを手にする出場者が映っている。

   公式サイトによると、具体的な競技の内容は、全長10メートル、太さ6ミリメートルのマイクケーブルを巻き、ゴムバンドで結んで床に置くまでの時間を競うもの。採点基準には「速さ・確実さ・美しさ」があるという。

   見本市主催会社であるRX Japan(東京都新宿区、旧「リードエグジビションジャパン」)が催す展示会「ライブ・エンターテイメントEXPO」 の特設会場で行われた。

   投稿は5900件以上のリツイートや2万8000件超の「いいね!」を集め、「この大会は一体...」「こんなイベントあるんだね~www」「めちゃニッチ」といった反応が寄せられた。一部のユーザーからは「8の字巻きって便利なんだよ!?」と大会の意義深さを訴える声も出ている。

   同協会の会長・八板賢二郎氏は4日、J-CASTニュースの取材に対し、大会を始めた理由を、

「海外では、さまざまな仕事で、技を競う祭りがあります。そこで、シャイな音響技術者の祭りをやろうとしたわけです」

と明かす。種目がケーブル巻きに決まるまでには、「重たいスピーカーを担ぐ時代で、スピーカーを担いで走ろうなどと様々な案がありました」。また「ケーブルをこれほど大事に扱うのは、日本人の丁寧な性格によるもので、おもてなしのようなものです」と私見を述べた。

   マイクケーブルを「8の字巻き」にする利点については、

「巻き癖がなくなり、ケーブルを埋設するとき楽です」「また、ケーブルの中の細い線が傷まないためにもよろしいという考えもあります」

と説明した。八板会長によると、8の字巻きは、歌手の動きに応じて舞台袖でケーブルの長さを調整するための技術が元になっているという。

優勝者には賞金10万円

   第1回の大会は、同協会の各支部から協賛金を集めて2008年に開催。しかしその後は、「支部の協力が得られず止めていました」という。

   7年の空白期間を経て、RX Japan社から声がかかり、特別協力のもと第2回が15年に実現した。以降、21年を除き毎年開催してきた。

   予選の参加人数は毎年16人ほどで、見物客からも数人募集する。決勝大会には上位2人が進出するほか、協会の支部などから選抜された選手4人も加わる。優勝賞金は10万円で、準優勝にはイヤホンや小型スピーカーなどが贈呈されるという。

   第8回となる22年大会では、20年の準優勝者でもある藤木理成さんが優勝した。

   八板会長は決勝でのパフォーマンスを、「速くて、キレイに巻かれていました」「落ち着いていて余裕を感じました」と評し、「意外とリベンジは予選落ちで失敗するのですが、藤木さんは成功しました」と驚いていた。

   なお開催の前々日から、会場に設置している看板が大勢の来場者によって撮影されていたとし、認知度の向上を「ここまで浸透したかと感じています。ネットのおかげです」と、噛み締めていた。

   今後の展望については、「コロナ感染や戦争などの危険なことがなければ、継続したいです」と意向を示し、「(RX Japan社の)特別協力があってこそ開催できますが」と添える。

   「祭りなので、楽しみに来ていただけますか。展示会も凄いです」と呼びかけた。