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安倍氏追悼の横浜市記帳所、「直ちに中止」要求も予定通り継続 日本共産党市議団が抗議でSNS紛糾

   日本共産党横浜市議団は2022年7月12日、横浜市が市庁舎に安倍晋三元首相を追悼する記帳所を設置し市職員を配置した件について中止を訴える声明を発表した。

   一方、市役所側は予定通り18日まで続けると明らかにした。

  • 安倍晋三元首相
    安倍晋三元首相
  • 安倍晋三元首相
  • 日本共産党横浜市議団による声明(公式サイトより)

「県民の皆様の記帳したいというお気持ちにお応えしていく」

   市議団の荒木由美子団長名義で出された「記帳所設置と市職員配置は直ちに中止を」などと題した声明文によれば、「元首相が銃撃でご逝去されたことに心より哀悼の意を表します。テロ・暴力は絶対に許せません」と前置きしつつ、横浜市の記帳所設置の報道に対し「市民から『評価の分かれる政治家への哀悼に公の市がかかわるのはおかしい』などと抗議が寄せられています」と明かした。

   市の対応について「設置理由はあいまいであり、万人が納得できるものではありません。公平公正であるべき地方自治体のあり方に反するものと言わざるを得ません」と批判し、「中止を求めます」と主張している。

   この発表に対し、ツイッターでは是非を巡り議論となり、自民党の三原じゅん子氏は「設置理由があいまいと言うなら、その抗議理由こそあいまいだ!何より市民の民意を大切にすべき」と反発した。

   市の藤原健二総務課長は13日、J-CASTニュースの取材に対し「記帳所は予定通り18日月曜日まで継続して開設する予定です」と答えた。継続理由は、事件の特殊性を考慮し、神奈川県庁による記帳所の設置に足並みを揃えて、「市民の皆様の弔意をお受けする決定をしております」と説明している。

   日本共産党神奈川県議会議員団も同日、神奈川県庁に設置された記帳台について黒岩祐治県知事宛てに申し入れを行なった。発表では「基準も規定もなく個人情報の扱いも不明なまま、県が行政機関として記帳台を設置することは、公正性も透明性も確保されておらず、今後の恣意的な扱いに通じることも懸念され、行うべきではないと考えています」と異議を唱える。

   神奈川県庁は「予定通りそのまま記帳所を設置する予定です」と取材に答える。「今でも非常に多くの方がいらっしゃっておりまして、県民の皆様の記帳したいというお気持ちにお応えしていくというところです」と理解を求めた。

「公費を使ってやるべきではないという考えの人もいます」

   日本共産党横浜市会議員の荒木氏に言い分を問うと、「安倍元首相が亡くなったことについて哀悼の意を表しています」としつつ、「地方自治体として公共の場を使って記帳台を設置するというのは、元首相という立場だけで置くべきなのか、ということに私たちは一番疑問を感じています」と主張した。

   続けて、「記帳台を設置していいと考える人もいれば、公費を使ってやるべきではないという考えの人もいます。公平性を考えると、市にある自民党の事務所に設置するのが適切であり、公共の場で記帳台を設置するのは違うのではないかと思います」と見解を示した。

   発表に対する批判については、「そのような考え方もあるけれど、私たちの考えについて賛同して頂いている意見もあります」と答え、「市民の意見にも賛否があり、また全部の自治体が神奈川県庁に倣っているわけではありません。弔意を示すことと記帳台を設置することは意味が違うので、そこを履き違えてはいけないと思っています」と述べている。