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「個性派おにぎり」コンビニ席巻、300円超え商品も 大ボリュームで食卓接近...「ものすごい革命」識者驚き

   従来のおにぎりのイメージを覆す「個性派おにぎり」がコンビニに相次いで登場し、ヒットを記録している。弁当やお子様ランチをイメージした大ボリュームのおにぎりや、海苔ではなく具材でご飯を覆ったおにぎりなど、そのコンセプトは様々だ。

   おにぎりとしてはかなり高級な300円超えの商品もあり、飲食業界に詳しい識者は「おにぎりの歴史の中でも、ものすごい革命」と驚く。

  • 300円超え商品も…個性派おにぎりがコンビニを席巻
    300円超え商品も…個性派おにぎりがコンビニを席巻
  • 300円超え商品も…個性派おにぎりがコンビニを席巻
  • 明太子が3房載ったセブンイレブンの「明太子おむすび」(セブンイレブン公式サイトより)

「お子様ランチ」「豚骨ラーメン」常識覆す具材が話題

   JR東日本の駅ナカなどに出店するコンビニ「NewDays」(ニューデイズ)が2021年6月から販売しているのが「スゴおに」シリーズだ。

   「スゴおに」は「コンビニおにぎりの常識を変えるスゴく新しい、おにスゴいおにぎり」の略。「のり弁」の具材をご飯に詰め込んだ「のり弁にぎりました」(300円、以下税込み)、海苔の代わりにベーコンと卵焼き、アスパラガスでご飯を巻いた「ベーたま(ベーコンたまごおにぎり)」(300円)など、インパクトある見た目やユニークなコンセプトが特徴のおにぎりを次々と発売した。

   ニューデイズを運営するJR東日本クロスステーションリテールカンパニーの広報担当者は22年7月22日、J-CASTニュースの取材に「コロナ禍でも毎日駅でお買い上げいただいているお客様に店頭で見つけて楽しんでいただいたり、自宅や職場に持ち帰ってNewDaysにこんなおにぎりあったよ!など話題にして盛り上がっていただくなど、少しでも楽しんでもらおうと思い発売しました」と開発経緯を語る。

   とりわけ、男性をメインターゲットにした「のり弁にぎりました」など、ボリューム感を打ち出した商品がヒット。販売開始から約1年(21年6月1日~22年7月20日)で、シリーズ累計約160万個、5億円を売り上げた。

   21年9月には「お子様ランチにぎりました」(330円)、12月には「粉もんバーガーおにぎり」(330円)、「豚骨ラーメンにぎりました」(320円)など、従来のおにぎりの常識を覆すような商品を次々と投入。SNS上では「ぶっ飛んでる」「ぼくがかんがえたさいきょうのおにぎり」などと話題を呼んだ。

   22年6月からは、女性がターゲットの「至福のスゴおに」の展開を始めた。従来のシリーズからはやや小ぶりにし、生ハムを巻いた「生ハム&チーズ」(240円)など、見た目にこだわった商品を投入した。7月26日からはたこ焼きを載せた「魅惑のタコパおにぎり」(240円)、チーズやトマトを載せた「魅惑のイタリアンおにぎり」(270円)も販売する。担当者は、朝ごはんやオフィスでのランチなど「自分へのちょっとしたご褒美」として楽しんでほしいとしている。

「おにぎりの可能性が広がる」

   セブンイレブンは6月28日から、一部地域で「明太子おむすび」(324円)、「ベーコンエッグおむすび」(270円)を販売している。商品名は普通だが、その見た目がSNS上で注目を集めた。「明太子おむすび」は、厚みのある明太子が3房、ご飯に覆いかぶさっている。「ベーコンエッグおむすび」は、目玉焼きとベーコンがおにぎりの上に載っている。いずれも具材を中に詰めるのではなく、外側に据えたことが特徴だ。

   セブン&アイ・ホールディングスの広報担当者は7月1日の取材に、コロナ禍で消費者の自宅での食事機会が増加したこと、具材感のあるおにぎりの人気が高まっていることを受け、開発したと説明。主なターゲットは若い男性で、「お客様からご好評いただいております」とした。販売状況を踏まえて、第2弾の展開を検討する。

   個性的な「高級コンビニおにぎり」のヒットを、識者はどう見ているのか。フードライターの笹木理恵さんは7月21日、J-CASTニュースの取材に「これまでの高級おにぎりは180円前後で、200円の壁を超えるのも難しかった」とし、「300円を超えるおにぎりが売れているのは、おにぎりの歴史の中でも、ものすごい革命だと思います」と驚く。

   笹木さんは「外食がコロナ以前のようには復活していない中で、自宅でごちそう感のあるものを食べたいというニーズから、高価格帯のおにぎりにも手を出しやすくなったのではないでしょうか」と消費者心理を分析する。いずれの商品もSNS上で注目を浴びたことが、ヒットの要因として大きかったとした。

   また、具を中に入れないおにぎりが売れることで、従来おにぎりの具に使われなかった素材が使われるケースが増え、「味づくりにおいて、おにぎりの可能性が広がるのでは」とも指摘する。国民食の「トランスフォーム」は、これからも続くだろうか――。