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「無断転載が横行」物議の小説アプリ「テラーノベル」 運営が対応策を発表「信頼回復に努める」

   無断転載が横行していると物議を醸した小説投稿アプリ「テラーノベル」をめぐり、運営のテラーノベル社(東京都港区)は2022年8月3日、お詫びと今後の対応を発表した。

   「著作物に関する権利侵害を防止するための対応が不十分」だったと謝罪し、権利侵害情報の削除申請フローの改善などを行うとしている。

  • 小説投稿アプリ「テラーノベル」(プレスリリースより)
    小説投稿アプリ「テラーノベル」(プレスリリースより)
  • 小説投稿アプリ「テラーノベル」(プレスリリースより)

「画像が無断転載されていると多数のご指摘を頂戴いたしました」

   アプリ「テラーノベル」は、チャット形式の小説を投稿できるサービス。Z世代をターゲットに、2017年7月にサービスを開始した。公式サイトによれば、ユーザー数は約600万人で、作品数は約102万作にのぼる。17年12月には橋本環奈さんを起用したCMを放送し注目を集めた。

   ツイッターでは22年7月中旬ごろから、「悪質な無断転載が横行している」と話題になった。著名人の写真やアニメや漫画の画像、インターネット上に投稿されたイラストなど無断転載の疑いがある画像の投稿が相次いでいるという。さらに当時、アプリの対象年齢がアップルストアでは12歳以上、Googleストアでは17歳以上に指定されていたものの、成人向け表現を含む作品が氾濫していることも問題視された。

   アプリを問題視するツイートに対しテラーノベル運営は17日、リプライで謝罪。監視体制の強化やアプリの年齢制限なども検討するという見解を示した。その後、公式サイト上で8月3日、「お詫びと今後の対応について」という書面を、蜂谷宣人代表取締役の名義で公開した。

「この度、小説投稿サイトテラーノベルにおいて画像が無断転載されていると多数のご指摘を頂戴いたしました。当社としては、著作権法が守られている状態でお客様が安心してご利用いただける場をご提供すべきところ、著作物に関する権利侵害を防止するための対応が不十分であったことを深くお詫び申し上げます」

煩雑な削除請求手続きを改善

   テラーノベル社は、下記の4点を重点項目として発表した。

「(1)権利侵害情報の削除請求フローを改善
(2)権利侵害情報の削除請求を専門で対応する部門を組成
(3)24 時間 365日のサイトパトロールの実施
(4)ガイドラインの掲示、注意喚起の実施、作品素材点数の拡充」

   これまで著作権の侵害を受けたユーザーは、削除請求を行うために、テラーノベルに対し請求書や印鑑登録証明書、本人確認資料などの書類を用意し、切手を貼付した返信用封筒を送付する必要があった。これにツイッターでは、削除請求を行うための手続きが煩雑だという指摘が寄せられていた。

   今後は、権利侵害情報の削除請求に必要な情報を最小限にし、メールもしくはアプリ、ウェブサイトの通報画面から権利情報侵害の削除請求が行えるようにするという。すでに7月20日には書類を不要とし、メールで削除請求を行えるように変更した。21日にはウェブサイトに通報ボタンを設けている。

レーティング設定機能を追加

   テラーノベル社は、権利侵害を専門で対応する部門を組成し、速やかに権利侵害情報の削除請求対応を行えるようにしたという。8月上旬からは専門部門による24時間365日のサイトパトロールを開始し、ガイドラインに違反するコンテンツに対する取り締まりを強化する。

   そのうえでガイドラインの掲示や注意喚起を実施し、著作権法関連の啓蒙活動を強化するという。そのうえで作品の表紙やアイコン用の素材を拡充することで、著作権法の観点から適正な創作活動を支援する。

   また現在アプリ「テラーノベル」の対象年齢は、アップルストアとGoogleストア双方で17歳に変更された。投稿機能にコンテンツのレーティング設定を追加し、ゾーニング対応も開始した。レーティングが正しく設定されていないコンテンツについては、サイトパトロールで把握の上で対応するとした。

    「当社は著作物の権利侵害を防止するための対応の徹底、利用者の安全を守るための対応の徹底、より一層法令遵守の徹底を図り、役職員一丸となって信頼回復に努めてまいります」