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名所の砂浜に車侵入→満潮になり海中へ... ネット驚きの水没事案、いったい何が?現地に詳細を聞いた

   福岡県宗像市内の名所「さつき松原」で、砂浜の先の海に白いSUV車がポッカリ浮いている写真がツイッターに投稿され、大きな話題になっている。

   通常は、車が入り込まない場所のはずだが、なぜ水没したのだろうか。関係機関に取材して話を聞いた。

  • 車の水没があった「さつき松原」前の浜辺
    車の水没があった「さつき松原」前の浜辺
  • 車の水没があった「さつき松原」前の浜辺

水上バイクを引き揚げるため砂浜に入り、満潮になって海にはまる

   車は、砂浜からかなり沖に浮かび、ルーフだけが出ている。まるで、海の中を走っているかのようだ。

   写真は、2点が2022年8月29日にツイッターに投稿された。

   投稿者は、動画も載せており、それを見ると、プカプカと浮いている車に時々波が当たって、窓から水しぶきが上がっている。さつき松原は、日本の白砂青松100選にも選ばれており、こんなところで車が浮かんでいることに、驚きの声が上がっている。

   投稿者は、車が砂浜を走ってそのまま放置され、満潮時に水没したのではないかと指摘し、きれいな海を汚さないでほしいと訴えていた。

   この車は、一体なぜ名所の海に浮かんでいたのだろうか。

   さつき松原前の海岸保全区域を管轄する福岡県北九州県土整備事務所の宗像支所は31日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。

「車は、進入禁止になっている松原のゲートから28日のうちに入ったと聞いています。水上バイクを引き揚げるためだそうで、干潮のときに砂浜に入って、満潮になって海にはまったと考えられます。この日は大潮で、海は大きな満ち引きがありました」

   現場は、宗像市上八(こうじょう)の薬師川河口付近で、そばにはテトラポットが積み上げられている。通報を受けて警察も出動し、宗像支所では、翌29日に警察から連絡を受けて、干潮となる夕方に現場に向かった。このときは、次第に潮が満ちて来て車はルーフしか出ていない状態に戻ったといい、鉄のロープを車にかけて、重機で1時間ぐらいかけて引き揚げたとしている。

宗像市「車の進入は禁止なので、こういうことがあると困る」

   車が水没した現場は、宗像市が管轄する漁港区域とのちょうど境にあり、市の職員も現場に駆け付けた。

   車が入り込んだことについて、市の水産振興課は8月31日、取材にこう話した。

「境は、明確にはなっていませんが、漁港区域なら、車は進入できません。地元の方ではなく、他県ナンバーでした。引き揚げられた後は、レッカー車で引っ張られて行きました。そもそも、さつき松原は、車の進入は禁止されていますので、こういうことがあると困ります。海への油漏れはなかったようですが、もしそうなれば環境を破壊することにもなります」

   さつき松原を管轄する林野庁の福岡森林管理署は31日、車の進入について取材にこう答えた。

「車の出入りができないように、鉄パイプを使って組み立てたゲートが設置してありました。しかし、現場に行ったときは、ゲートが倒されて支柱が壊れ、組み立てられなくなっていました」

   ただ、車のドライバーは、「もともとゲートがなかったので入った」と主張したという。誰がゲートを壊したのかはっきりしないため、賠償請求や刑事告訴は考えていないとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)