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消費者庁、日本アムウェイに6か月の取引停止命令...悪質勧誘を問題視 同社は謝罪、コンプラ強化・徹底へ

   消費者庁は2022年10月14日、日用品などの販売を手がけるアムウェイの日本法人(東京都渋谷区)に対し、特定商取引法に基づき連鎖販売取引を6か月間停止するよう命じたと発表した。

   同社は非を認め、コンプライアンス(法令順守)を徹底するとしている。

  • アムウェイ公式サイトより
    アムウェイ公式サイトより
  • アムウェイ公式サイトより
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サークル勧誘かと思いきや...

   消費者庁の発表によれば、特商法に違反する下記の行為をしていたとして、10月14日から23年4月13日まで、連鎖販売取引(ネットワークビジネス、個人を販売員として勧誘し、さらにその個人に次の販売員の勧誘をさせる手法)の一部を停止するよう命じた。

「氏名等の明示義務に違反する行為」「勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りしない場所における勧誘」「迷惑勧誘」「概要書面の交付義務に違反する行為」

   具体的な事例として、アムウェイの会員による悪質な勧誘を挙げている。同会員はSNSを通じてサークルのメンバーを募集し、応募してきた人物に勧誘であることを告げずに接触したという。

   会員が使う事務所に呼び出すと、バンドや音楽など趣味の話をしていくうちに、「いろいろな楽器に触れたり、専門学校に通ったり、音楽をやり続けるには、もっとお金が必要なのではないか」などと切り出し、「そうであればアムウェイをやってみないか」と突然、日本アムウェイの話を始めた。

   続けて、ホワイトボードを使いながら「自分がアムウェイのスポンサーを紹介すれば、どんどん自分に入るスポンサー料が増えていく」「スポンサーにはランクがあって、人を集めていくとランクアップする」などと説明し、入会を迫った。いわれるがままに会員登録をし、サプリメント、空気清浄機、浄水器を購入してしまった。

   消費者庁は再発防止策とともに、コンプライアンス体制を講じるよう指示した。

   日本アムウェイに取材を申し込むと、14日にウェブサイトで「ご関係の皆さまに多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます」と行政処分を受けて謝罪し、「ビジネス活動の改善と再発防止に向けたコンプライアンスの強化・徹底を図るため、全国の会員の再教育プログラムをはじめ、勧誘活動に対する各種対策を講じます」としている。

アムウェイとは一体?

   アムウェイは1959年にアメリカで創業し、1977年に日本法人が設立された。

   アムウェイ社によれば、グローバルでの会員は100万人を超え、日本は中国、アメリカ、韓国に次いで4番目の主要市場に位置付けている。2021年12月期の売上高は89億ドル(約1兆3000万円、前年比4%増)だった。

   日本での2020年の売上高は975億2000万円。経団連や新経済連盟、日本訪問販売協会に加盟し、日本でも強い存在感を示している。

   同社のウェブサイトによれば、会員(年会費3670円)はABOと呼ばれ、アムウェイから仕入れた製品を知人らに販売する「小売り活動」と、アムウェイに興味を持った人にABO入会を勧める「スポンサー活動」に従事する。

   前者は販売価格と会員価格の差額が利益となり、後者はボーナスが得られる。つまり、売れば売るほど、入会させればさせるほどABOはもうかる仕組みだ。

   アムウェイは自社のビジネスについて、社会問題となっているマルチ商法やねずみ講ではないと説明し、ABOには「はっきりと目的を告げて勧誘すること」「相手の了承を得てから紹介すること」を指導していると明言している。

   しかし、21年11月には、目的を告げずにエステに誘い出し、会員登録を迫ったとして、特定商取引法違反の疑いでアムウェイ会員2人が逮捕されたと報じられていた。アムウェイ社は警察の捜査協力に応じたと発表し、「関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪している。

   報道を受け、若宮健嗣内閣府特命担当大臣(当時)は記者会見で、「一般論として申し上げますと、特定商取引法に違反する行為があった場合には、消費者庁といたしましても厳正に対処することになってございます。消費者被害の防止には全力で取り組んでまいりたい」と言及していた。

   国民生活センターは22年8月、マルチ取引の相談が増加しているとして、注意を呼びかけている。直近3年間で約3万件の問い合わせがあり、返金や解約に関する内容が多いという。