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農水省の力作「郷土料理データベース」がSNSで脚光 「見てるだけで楽しい」「想像以上に深い」...企画の経緯を聞いた

   「見てたらあっという間に時間が過ぎてしまった」――。

   日本の郷土料理をデータベース化した農林水産省の特設サイト「うちの郷土料理~次世代につたえたい大切な味~」が、ツイッターで「想像以上に深くて面白かった」などと話題になっている。取り組みについて話を聞いた。

  • 「うちの郷土料理」公式サイトより
    「うちの郷土料理」公式サイトより
  • 「うちの郷土料理」公式サイトより
  • 各地の郷土料理(「うちの郷土料理」公式サイトより)
  • 東京都の郷土料理(「うちの郷土料理」公式サイトより)
  • 沖縄県の郷土料理(「うちの郷土料理」公式サイトより)

「食文化を地域ぐるみで次世代に継承していく」

   話題のきっかけになったのは、あるツイッターユーザーによる2022年10月24日の投稿だ。冒頭のような文章と併せて「うちの郷土料理」を写真で紹介した。

   サイトには都道府県ごとの郷土料理が写真付きで掲載されている。例えば京都府は「黒豆煮」、「たけのこの木の芽和え」、「万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん」など30種。料理の個別ページに遷移すると、主な伝承地域、主な使用食材、歴史・由来・関連行事、食習の機会や時季、飲食方法、保存・継承の取組、といった詳しい情報に加え、レシピを閲覧できる。

   個別の料理の情報にとどまらず、地域の風土や食文化といった、郷土料理が生まれた背景を学べるページも公開されている。

   企画の経緯について同サイトは、農水省がユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」の文化を継承するため様々な活動をしているとし、その一環として、「全国各地で受け継がれてきた地域固有の多様な食文化を地域ぐるみで次世代に継承していく」という目的で19年に開設したと伝えている。

   発端となった投稿は1万3000件以上リツイートされるなど注目を集め、「想像以上に深くて面白かったです」「見てるだけで楽しい~」「ほんと時間飛ぶように過ぎてくわ」と絶賛されているほか、「地元の名物料理、半分も知らなかった」「自分が慣れ親しんで食べてたものが実は郷土料理だったことを知って驚いた」といった反応もでている。

   反響について農水省食文化室の担当者は26日、「もう大変嬉しく思います」とJ-CASTニュースの取材に喜びを表した。

47都道府県、全1365種で「ほぼ終わり」

   担当者によると、「うちの郷土料理」の取り組みは国の委託事業として始まった。

   初年度は10県、翌年は17県、そして20県と順次構築し、22年3月に47都道府県のページが揃った。掲載している料理は1365種にのぼり、担当者は「これ以外にも当然、郷土料理はあると思います」としながら、取り組みとしては「ほぼ終わり」だと答えた。

   掲載する郷土料理は基準を設けて、各地域の研究機関や民間団体、料理人といった分野の有識者からなる「地域検討委員会」が選定したという。サイト上でも公開されている基準のうち、必須項目は下記の3点だ。

1.地元で入手できる食材を利用する
2.歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある
3.家庭・地域で作られ、継承されている

   食材については、流通網の発展などにより他の地域から入手した物を用いた郷土料理も含むとしている。

   ほかに、必須項目には当てはまらないが「歴史的に残すべきと考えられる」といった基準や、「地域において人気・愛着がある」、「伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである」といった推奨項目もある。

二次利用可の写真も掲載「活用してもらうというのが大事」

   担当者は、サイト作成にあたって一番の苦労を、著作権の確認なども含めて情報の収集や整理が「大変だったのかなと感じています」と振り返る一方、施された工夫としては、掲載している写真の二次利用が可能な点を挙げる。

「単なる『作り上げて終わり』ではなく、やはり皆さんに利用してもらう、活用してもらうというのが大事なんじゃないかなという考えです」

と意図を伝えた。ただ、必ずしも全ての写真が対象ではないとも補足する。

   データベースの利用についてサイト上では、「ご家庭での調理や外食企業でのメニュー化、食品製造企業での商品化、郷土料理の調査などに是非、ご活用ください」とある。

   実際にマスコミだけでなく一般からも使用許諾に関する問い合わせは多い、と担当者は取材に明かした。

「地域の活性化にもつながるのかなと思います」

   「うちの郷土料理」に関しては、農水省の公式YouTubeチャンネル「BUZZMAFF ばずまふ」でも取り上げており、担当者は「ぜひご覧ください」とプッシュした。

   今後の意気込みは「引き続きSNSとかで情報発信していきたいと思っています」としながら、次のようにデータベースの利用を呼びかけた。

「国民の方々にはぜひこれを見ていただいて、知っていただくとか、料理をするとか、食べるとか、現地を訪問するとか、そういうことをしていただくと大変いいなと思っております。それが地域の活性化にもつながるのかなと思います」