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人気プロゲーマー謝罪、過去の「不正代行」発覚で 所属先は厳重処分「コミュニティ全体の信頼を損なわせかねない」

   お金を稼ごうと過去に第三者のアカウントのランク上げを代行していたとして、人気プロeスポーツチーム「PULVEREX(パルブレックス)」は2022年11月2日、所属選手の処分を公式サイトなどで発表した。

   処分されたのは、バトルロイヤルシューティングゲーム「Apex Legends」の部門に9月15日に加入したShunMi選手(21)だ。

  • ShunMi選手のツイッター
    ShunMi選手のツイッター
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知人から、「APEXでお金を稼ぐことができる」と勧誘を受け

   発表によると、ShunMi選手は、プロになる前の20年4月ごろ、ゲーム内で知り合った知人から、「APEXでお金を稼ぐことができる」と勧誘を受けた。当時、大学に通いながら生活費を稼ぐためにアルバイトをしており、ゲームのプレイでお金が稼げるのであればありがたいと思い、同年7月ごろまで、ランク上げ代行の募集や斡旋を行う知人から、依頼者のアカウント情報を受け取り、度々代行を行うようになった。

   その後、競技シーンに近いコミュニティに所属して、代行行為が規約違反に当たると知ったため、それを最後に、依頼を受けることを止めたという。

   発覚のきっかけは、ShunMi選手の加入発表後の10月15日に、公式サイトの問い合わせフォームに、「ShunMiが過去に代行を行っていた」といった匿名の通報があったことだとした。

   パルブレックスでは、通報内容を精査し、本人への聞き取り調査などを行い、知人2人にもヒアリングした。その結果、ShunMi選手は、過去の代行行為を認めて謝罪した。理由について、当時はプロ選手という存在を知らず、自身がプロになるとも想定していなかったことや、規約の内容やその違反に対する認識も甘かったと説明したという。

   ShunMi選手の過去の代行行為について、パルブレックスでは、次のような見方をした。

基本報酬を3か月間20%カットし、出場大会の獲得賞金を全額カット

「APEX内で実力を示す『ランク』システムを不正にゆがめるものであり、容易に許容できるものではありません。しかしながら、当該代行行為は、ShunMi選手がプロ選手として活動する以前の事案であり、第三者を含むヒアリング及び調査の結果、関与していた期間が限定的であり、また、代行行為の仲介を行う知人からの紹介を受けて行われたものであることから、今後同種の規約違反行為が再発する具体的なおそれはなく、選手契約の解除事由には該当しないと判断しました」

こうした判断から、チームが出場予定の「ALGS split1」については、大会運営チームとも協議した結果、ShunMi選手を含めた3選手の登録枠で出場することにしたとしながらも、次のような処分を明らかにした。

「当チームに所属するにあたり、過去の規約違反行為を明らかにせず、選手契約の締結に至ったこと、これによって当チームのみならずShunMi選手が所属するAPEXコミュニティ全体の信頼を損なわせかねないものであること、ShunMi選手がAPEXの競技シーンを牽引し模範を示すべき存在であることを踏まえて、当チーム所属前の行為とはいえ厳重に対処すべきと判断し、当チームからの厳重注意、及び、処分として、3か月の間基本報酬を20%カットするとともに、ALGS split1については、ShunMi選手が受け取るべき獲得賞金の全額をカットすることといたしました」

一方で、パルブレックスでは、チームとしても大変責任を感じているとしており、次のように謝罪の意を示した。

ShunMi選手「時間が経つにつれて言いづらくなっていき今に」

「過去の行為であるとはいえ、代行行為によってランクマッチに参加していた他のAPEXのプレイヤーに対して、ゲーム体験を損なわせてしまったことについても、当チームとしても改めてお詫び申し上げます。当該選手が競技シーンにおいて実績のある選手であったことから、加入前の多角的な調査が不足していたと猛省しております。今後は加入予定者に対するバックグラウンドチェックを強化し、再発防止に努めてまいります。また、ゲーム内の規約に対する理解をチーム内で深めるためのリテラシー向上施策を検討・実施して参ります」

   今回のことについて、ShunMi選手も11月2日、ツイッターで「この度はご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありませんでした。皆様の信頼を取り戻せるようこれから活動して参ります」と謝罪した。

   代行行為をした理由については、「稼げるからという誘いに軽い気持ちで乗ってしまいました」と明かし、経緯についてこう説明した。

「公表して謝罪しようと考えた時期がありましたが、時間が経つにつれて言いづらくなっていき今に至りました。後ろめたい気持ちのまま競技を行うことで、メンタルが不安定になることもありました。今回の件で迷惑をかけたにも関わらず、チーム関係者やメンバーから後押ししてもらい、全て公表して謝罪する機会をいただきました。ALGS Year3への出場は認められましたが、これを当たり前と思わず、一緒に活動してくれるメンバー、そして動いてくださったチーム関係者に恩返しできればと思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)