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井上尚弥と戦うには「いくつかの壁がある」 亀田和毅が王座視野で注目も...所属ジム会長は冷静見解

   プロボクシングの世界2階級制覇・亀田和毅(TMK、31)が2023年2月25日、大阪ATCホールでWBA世界スーパーバンタム級13位ルイス・カスティージョ(メキシコ、27)と対戦し5回TKO勝利を収めた。WBA世界スーパーバンタム級王座の次期挑戦権を保持し、世界前哨戦と銘打った一戦で快勝した亀田。4月に行われるWBA同級タイトル戦の勝者がターゲットになる。

  • 亀田和毅選手(写真:山口裕朗/アフロ)
    亀田和毅選手(写真:山口裕朗/アフロ)
  • 亀田和毅選手(写真:山口裕朗/アフロ)

「ジムは彼の双肩に全てかかっている」

   元世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、29)の参戦で注目されるスーパーバンタム級。J-CASTニュース編集部は亀田が所属するTMKジムの金平桂一郎会長(57)に世界前哨戦、今後の展開について語ってもらった。

   カスティージョ戦をリング下で見守った金平会長は「出だしは硬さがありました」と切り出し、次のように振り返った。

「TMKジムを作るまでの間にいろいろありましたし、ジムは彼の双肩に全てかかっている。スポンサーの方々に応援していただいておりますし、ジムの第1回目の自主興行ということもあり結果を出さなければいけない。そういうこともあってプレッシャーがかかる試合でした。2ラウンド目くらいからはだんだん目が慣れパンチのタイミングも合うようになり5回にストップとなりました。私としてはもう少しやらせたかったです。お客様ももう少し見たかったと思いますし、あと少しやればきれいに終わらせることができたと思います」

   今回はスーパーバンタム級リミットよりも約700グラム重い56キロの契約体重で行われた。バンタム級時代から亀田を見てきている金平会長は「久しぶりの試合でスピードを残しつつ力感があった」とし、「以前は、スピードはあるがパンチが軽いというイメージがありましたが目に見えてパンチに力強さが出てきました。練習中から意識してやってきたことが、上手く出たと思います」と評価した。

   亀田は21年12月に行われたWBA世界スーパーバンタム級次期挑戦者決定戦に勝利し、同王座の挑戦権を得た。同王座はIBF同級王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、28)が保持している。2団体王者アフマダリエフは4月8日に米テキサス州でIBF同級1位マーロン・タパレス(フィリピン、30)との指名試合を控えている。亀田は現地で試合を観戦する予定で勝者に対戦をアピールする。

「次戦は9月もしくは10月に日本開催を」

   金平会長は「次戦はあくまでもWBAの指令に則ってやりたい。今年の9月もしくは10月に日本開催を考えています」と意向を明かし、アフマダリエフ対タパレス戦については「タパレス選手は非常に良い選手だと思いますがアフマダリエフにはちょっと届かないかなと思います」との見解を示した。

   アフマダリエフは16年リオデジャネイロ五輪の銅メダリストで、プロでは11勝(8KO)無敗を誇る。20年1月にWBA・IBF王者ダニエル・ローマン(米国、32)を破り王座を獲得。以降、これまで3度の防衛を果たしている。

   金平会長はアフマダリエフの実力について次のように語った。

「アフマダリエフ選手を評価していないわけではないが、そんなにやりづらい選手ではないと思います。攻撃力があり基礎はできているが、難攻不落かというとそこまでではない。ボクシングが真っ正直なので引き出しが多いタイプではない。付け入るスキがないというボクシングではない。付け入るスキはある」

   「モンスター」の参戦で世界的に注目を集めるスーパーバンタム級。井上の次戦はWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(米国、28)とのタイトル戦の可能性が高く、米スポーツ専門局「ESPN」(WEB版)は、井上、フルトン両陣営が対戦に合意し5月の日本開催を目指していると報じている。

WBCはネリが指名挑戦権保持

   亀田、井上がスーパーバンタム級で王座を獲得すれば将来的に王座統一戦として対戦する可能性が出てくるが、金平会長は「乗り越えなければならない壁がいくつかある」と慎重な構えを見せる。

   金平会長は「WBCはネリ選手(メキシコ)が指名挑戦権を持っています。仮定の話ですが、井上選手がフルトン選手と対戦した場合、勝者はネリ選手との指名試合を義務付けられます。これをWBCがどう考えるか。WBCが王座統一戦を優先させるのか。ネリ選手の主張を受け入れるのか。それはまだ分からない」と語り、次のように持論を展開した。

   「一番分かりやすいのは、WBCの新王者がネリと対戦することです」とし、「WBAは4月のタイトル戦の勝者が亀田和毅と対戦する。双方勝ち残った選手が来年あたりに対戦するのが自然な流れだと思います。当然、こちら側は亀田和毅が勝ち残ると思っています。あちら側は井上選手が勝ち残ると思います」との見解を示した。