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酒を非接触で注げる!新開発「アルコールディスペンサー」好評 コロナ禍で誕生、提案の蔵元も「まさに理想」

   手をかざすと消毒液を噴霧する「アルコールディスペンサー」のように、お酒を注ぐことができる飲料ディスペンサーに注目が集まっている。カップをかざすと、ボトルに入っているお酒がとくとくと注がれる。まさに「アルコール」のための装置だ。

   J-CASTニュースは2023年3月14日、商品を企画した新日本流通(兵庫県西宮市)と愛用する今代司酒造(新潟市)に取材した。

  •  まさに「アルコール」のためのディスペンサーが話題に
    まさに「アルコール」のためのディスペンサーが話題に
  •  まさに「アルコール」のためのディスペンサーが話題に

「実は弊社が特注で作っていただいたんですよね...!」

   飲料用ディスペンサーは、新型コロナウイルス感染症拡大を機に広まった「アルコールディスペンサー」のような形状をしている。酒のボトルに取り付けて用いることができ、カップを赤外線センターにかざすと、定量の酒が注がれる。量は約4ミリリットル、約6ミリリットル、 約10ミリリットルの3段階で調整可能だ。単三型アルカリ乾電池4本で動く。

   注目を集めたきっかけは、新潟清酒に関するイベント「にいがた酒の陣」に参加したとするツイッターユーザーの投稿だった。ある酒造がテイスティングのために設置していた飲料用ディスペンサーに注目し、「アルコールディスペンサーを正しくアルコールディスペンサーとして使ってるの無限に笑える」などと紹介。7000件を超えるリツイート、1万2000件を超える「いいね」が寄せられる大きな反響を呼んだ。

   この投稿を受けて、今代司酒造は11日、「このディスペンサー、実は弊社が特注で作っていただいたんですよね...!」とツイートした。酒の量の調節だけでなく、甘酒やにごり酒などさまざまな酒の提供が可能であるという。

   取材に対し今代司酒造は、清酒の流通にかかわる新日本流通に依頼したと明かす。

「弊社は以前より直売店でテイスティングを行っており、コロナ禍前はボトルをお客様ご自身で持って注いで頂く方式でした。 新日本流通様にはボタン式のディスペンサーの作成を進めていただいていたのですが、コロナ禍になったため、人との接触を極力減らすために手指の消毒ディスペンサーのような方式で、非接触で酒を注ぐものを作っていただけないかとご相談させていただきました」

「まさに理想のディスペンサーでした!」

   今代司酒造はコロナ禍を受け、(1)非接触で吐出できること、(2)にごり酒や甘酒に対応できるもの、(3)手入れが簡易であるもの――を開発できないか、新日本流通に相談した。

   新日本流通の担当者は取材に対し、次のように開発経緯を話す。

「ご要望を受けて、手指のアルコール消毒用のディスペンサーを作っている会社にご相談したところ、液体せっけんのディスペンサーに近い形であれば様々なお酒をまっすぐ吐出できるのではないかとご提案いただきました。 本来は食品に対応している商品ではないので、水の処理機などを作られている会社に依頼し、飲酒に適した仕様に改良してもらいました」

   できあがった飲料ディスペンサーについて、今代司酒造は「『これこれ!』というまさに理想のディスペンサーでした!」と振り返る。

「安心、安全にテイスティングをお楽しみいただける、とお客様からもご好評いただいております」

非接触の安心感、無人で対応できる利便性が好評

   新日本流通によれば、21年ごろから様々な酒造の売り場やイベントで用いられるようになった。売れ行きは想定よりも好評だという。

「感染症対策として非接触で使えるという安心感や、無人でも対応できる利便性が好評だったようです。お客様が自由に好きな量に調整して飲むことができるので、酒造見学のテイスティングなどで用いられています」

   コロナ禍当初は、飲食店の営業制限などで厳しい状況にあった清酒業界。新日本流通によれば、22年末ごろからは回復傾向にあるという。コロナ禍で開発した商品が、4年ぶりに開かれた「にいがた酒の陣」で注目されるなど、努力の結実をかみしめる。

    今代司酒造も「これを機に日本酒が話題に上がり、関心を持っていただけたら嬉しいです。今後もこちらのディスペンサーを使用して、沢山の方に日本酒を飲んでいただけたら幸いです」と述べた。