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大谷翔平「予想外バント」は二刀流の賜物か 「投手の心理が分かる」強みに...元WBCコーチ分析

   ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝が2023年3月16日、東京ドームで行われ、日本がイタリアを9-3で下した。

   日本は3回に岡本和真内野手(巨人、26)の3ランなどで4点を先制。5回に3点、7回に2点を追加してイタリアを突き放した。投げては先発・大谷翔平(エンゼルス、28)が4回3分の2を投げ4安打2失点5奪三振と試合を作り、後続も好投して快勝した。

  • 大谷翔平投手(写真:CTK Photo/アフロ)
    大谷翔平投手(写真:CTK Photo/アフロ)
  • 大谷翔平投手(写真:CTK Photo/アフロ)

「あそこでセーフティバントをするとは思わなかったでしょう」

   3大会ぶりの優勝へ向けて準決勝進出を果たした侍ジャパン。J-CASTニュース編集部は、13年WBCで戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(57)にイタリア戦を分析してもらい、21日に控える準決勝の展望を聞いた。

   橋上氏が注目したのは日本の3回の攻撃だ。1死走者なしから近藤健介外野手(ソフトバンク、29)が四球を選び打席に大谷が立った。大谷は三塁方向へセーフティバントを試み、これを処理したラソーラ投手(24)が1塁へ悪送球。1死1、3塁とチャンスが広がり、4番・吉田正尚外野手(レッドソックス、29)のショートゴロの間にランナーが生還し1点を先制した。

   橋上氏は「結果的には大谷選手のバントが大きなポイントになった。大谷選手は大谷シフトを逆手に取った。彼のクレバーさ、柔軟性、視野の広さが出たと思います」と解説し、次のように続けた。

「大谷選手は二刀流として活躍しているのでピッチャーの心理が分かる。ピッチャーの心理としては、あそこでバントをやられたら嫌だなということがバッター大谷には分かる。だからあそこでバントができたと思います。間違いなくサインではないでしょう。グラウンドにいる誰もがあそこでセーフティバントをするとは思わなかったでしょう」

   大谷のバントを契機に先制した日本は、3回2死1、2塁の場面で岡本が3ランを放ち突き放しにかかった。5回には村上宗隆内野手(ヤクルト、23)と岡本の連続タイムリーが飛び出し3点を追加。7回には吉田のソロ本塁打などで2点を入れ試合を決めた。

「なんとか雪辱してもらいたい」

   イタリア戦では投打にわたって存在感を示した大谷。投手としては5回に2死満塁のピンチでタイムリーヒットを許し2点を失ったものの、最速164キロをマークしてイタリア打線をほんろうした。

   橋上氏は投手・大谷に関して「前回の登板に比べるとだいぶ良かった」とし、「ストレートに関しては立ち上がり手探りのような感じに見受けられたが、2回からは自分の思うところにコントロールできるようになっていた。首を振ってストレートを投げる場面が多かったように感じました。1次ラウンドで実戦を踏んだことで調整を含めて色々と良い方向に向かったと思います」と解説した。

   3大会ぶりの優勝へ一歩前進した侍ジャパン。準決勝の相手は優勝候補のプエルトリコかメキシコとなる。両国による準々決勝が米マイアミで18日に行われる。

   橋上氏は「プエルトリコは今回、厳しいグループを勝ち上がってきている。打撃に関しては圧倒的なパワーがある。日本が対戦した場合、ホームラン1発が命取りになりかねない。出会い頭のホームランをいかに防ぐことができるかが、勝負のポイントになると思う。メキシコは勢いづかせるとやっかいな相手。プエルトリコに勝って準決勝に進んだ場合、勢いが脅威になる」と分析し、最後に侍ジャパンにエールを送った。

「私がコーチとして出場した13年大会の準決勝でプエルトリコと対戦して負けていますので、プエルトリコと準決勝で対戦した際にはなんとか雪辱してもらいたいと思っています」

   注目の準決勝は米マイアミのローンデポ・パークで21日に行われる。