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「音楽のために生きた」坂本龍一さん死去、71歳 世界で哀悼の声広がる

   映画「ラストエンペラー」で米アカデミー賞作曲賞を受賞するなど、世界的に活躍した音楽家の坂本龍一さんが、2023年3月28日、死去していたことが分かった。4月2日、公式サイトなどで発表された。71歳だった。14年に中咽頭がんが判明し、長く闘病しながら音楽活動を続けていた。

  • 坂本龍一さん(写真:REX/アフロ)
    坂本龍一さん(写真:REX/アフロ)
  • 坂本龍一さん(写真:REX/アフロ)

「テクノポップ」で大成功

   東京都出身。東京芸大卒。大学院在学中にスタジオミュージシャンとして活動を始め、1978年、細野晴臣さん、高橋幸宏さんとYMOを結成。シンセサイザーとコンピューターを駆使した「テクノポップ」で世界的に大成功を収めた。

   その後、映画音楽にも手を広げ、自身が俳優として出演した83年の「戦場のメリークリスマス」で英国アカデミー賞作曲賞を受賞。87年の映画「ラストエンペラー」では日本人初の米国アカデミー賞作曲賞を受賞した。92年にバルセロナ五輪開会式の曲もつくった。

   「戦場のメリークリスマス」ではデヴィッド・ボウイさんと共演、「ラストエンペラー」では巨匠ベルナルド・ベルトリッチ監督の要請にこたえた。30代の若さで一気に「世界のサカモト」として、日本人アーティストとしては別格の高い評価を確立した。

   近年は、社会問題に関しても積極的にかかわりを持った。特に反原発の活動には力を入れ、デモに参加したこともあった。

「本当に偉大な音楽家でした」

   坂本さんの死去は海外でも速報された。毎日新聞によると、ロイター通信は、坂本さんの人生を「音楽のために生きた」と表現。英BBC放送は、坂本さんを「実験的な電子音楽で称賛された日本の作曲家でプロデューサー」と紹介した。

   韓国の聯合ニュースは「2017年に韓国映画「天命の城」の音楽を手がけたことや、18年の釜山国際映画祭で「今年のアジア映画人賞」を受賞したことなどに触れた。

   中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報も、日本の報道を引用する形で速報。台湾の大手紙「聯合報」も、坂本さんが、がんで闘病していたことなどを説明した。

   日本では一般紙はもちろん、日本経済新聞も一面で報じた。スポニチアネックスによると、放送プロデューサーのデーブ・スペクターさんは、「坂本龍一は本当に偉大な音楽家でした」、つんく♂さんも「坂本龍一様」と題して自身のブログを更新し、「坂本龍一さん、残念でなりません。寂しいです」などとコメントした。

   朝日新聞で評論家の浅田彰さんは、「音楽家でありつつ、自然を守る社会活動家でもあったことは、坂本さんにとっては何の矛盾もなかった。全ての自然の恵みを受け取り、自らの中で反響させ、美しい音として奏でる。それが彼の人生そのものだったから」と追悼している。