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「実際に触れてお試しください」トイレットペーパー陳列で話題 ビバホームが「体感できる店づくり」にこだわる理由

   ホームセンター「ビバホーム」での、独特な販売促進がSNSで話題となっている。

   トイレットペーパーの包装をあえて解き、客が手触りや香りを確かめられるようにしている。ほかにも「体感」「体験」にこだわった商品訴求が目立ち、売り上げが1.5倍に増えた例もある。背景には、「ムサシ流」の店づくりがあった。

  • 実際の売り場(写真はスーパービバホーム八王子多摩美大前店、アークランズ提供)
    実際の売り場(写真はスーパービバホーム八王子多摩美大前店、アークランズ提供)
  • 実際の売り場(写真はスーパービバホーム八王子多摩美大前店、アークランズ提供)
  • スーパービバホーム八王子多摩美大前店
  • 実際の売り場(写真はスーパービバホーム八王子多摩美大前店、アークランズ提供)
  • 実際の売り場
  • 実際の売り場
  • 実際の売り場(写真はスーパービバホーム八王子多摩美大前店、アークランズ提供)
  • 実際の売り場(写真はスーパービバホーム八王子多摩美大前店、アークランズ提供)
  • 実際の売り場(写真はスーパービバホーム八王子多摩美大前店、アークランズ提供)

売り場にペーパーホルダーがずらり

   ビバホームは、関東を中心に約110店舗展開する。日用品、家電製品、カー用品など一般消費者向けの商品から、建築資材や農業用具などプロユースにも応える。

   話題を呼んだのは、トイレットペーパー売り場の変わった光景だった。棚にずらっと並んだ各商品の前にトイレットペーパーホルダーが置かれ、客は手触りなどを確認できるようになっている。

   目撃者が26日、ツイッターで販促の妙を指摘すると反響を集め、「すごい良い」「これよこれ、買い手が求めてるのは」と共感が相次いだ。「触り心地は超重要」「合わないペーパーに当たると悲惨なんよね」と強いこだわりを感じさせる書き込みも少なくなかった。

   記者が実際に東京都板橋区の店舗を訪れると、入り口すぐの「一等地」で見つかった。10種類近くのトイレットペーパーが高く積まれ、「実際に触れてお試しください」と書かれた板にトイレットペーパーホルダーが設置されていた。触った部分は切り取り、受け口に入れる仕組みになっている。

   そのほか、入浴剤の香り見本やマスクのサンプルなど、五感に訴える商品訴求が多くあった。

現場のアイデアも積極的に採用

   ビバホームを運営するアークランズ広報は29日、J-CASTニュースの取材に、独特の陳列は「ムサシ流」を取り入れた結果だと明かす。

   ビバホームはもともとLIXILグループの傘下で、新潟県を地盤とするホームセンター「ムサシ」などを運営する「アークランドサカモト」が2020年10月に子会社化、22年9月に吸収合併した。そのタイミングで社名を「アークランズ」に変更した。

   ムサシでは、話題になった売り場のように「体験」「体感」を重視した店づくりをしている。ビバホームにもDNAの浸透を図っており、「例えば今回のトイレットペーパーの陳列方法をしている東京都八王子の店では、ムサシ出身の社員が店長をやっています。他の店でもどんどん取り入れていっています」と話す。

   トイレットペーパー以外にも、歯ブラシ売り場ではブラシの先端を露出させ、ブラシの手触りがわかるようにしているという。

   体験にこだわるのは、店舗面積の広さを背景とした品ぞろえの豊富さにある。

「弊社では商品を多く持っています。例えばドラッグストアやスーパーであればトイレットペーパーは2、3種類しかないかと思います。弊社の場合、4つ、5つと色々な種類があります。トイレットペーパーですと衛生用品なので当然パッケージングされていますが、違いがお客様にはわかりづらいので基本的には安い方に流れてしまいます。良いものには値段と釣り合う価値があるとわかってもらうために、例えば肌触りが良いとかいい香りがするとか、そうした部分を感じ取ってもらうために包装を解いています」(広報)

   トイレットペーパーのユニークな陳列は「古くからやっている」といい、客からは「わかりやすくて良い」と評判は上々だ。耕運機の体験のために売り場に畑を作った際は、1.5倍の売り上げ増となった。

   具体的なアイデアはどう生み出しているのか。「違いがわかるように、体感できるように。来店いただいた方に楽しく買い物をしていただく」という方針の元、売り場担当者のボトムアップと、本社主導のトップダウンによるという。前者の意見を採用することも少なくなく、「現場の裁量はかなりある会社だと思います」とする。