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熱中症で高齢者相次ぎ死亡...「エアコン忌避」なぜ起こる? 本人・家族が気を付けるべきポイント

   2023年7月下旬、東京・東村山市で高齢の男女4人がエアコンをつけていない住宅で死亡しているのが見つかった。熱中症の可能性があるとされている。各メディアが報じた。

   高齢者が熱中症の疑いで亡くなり、発見時にエアコンが作動していなかったケースはよく見られる。

   高齢者はなぜエアコンを使わないのか。熱中症にならないために、本人や家族が気を付けるべきことは何か。J-CASTニュースは、医師が監修する日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクトに詳しい話を聞いた。

  • 高齢者の熱中症、本人や家族が気をつけることは?(画像はイメージです)
    高齢者の熱中症、本人や家族が気をつけることは?(画像はイメージです)
  • 高齢者の熱中症、本人や家族が気をつけることは?(画像はイメージです)
  • 日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクトより
  • 日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクトより
  • 日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクトより
  • 日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクトより
  • 日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクトより

高齢者はなぜエアコンをつけず、熱中症になりやすいのか

   総務省消防庁の発表(速報値)によると、7月24日~30日における全国の熱中症による救急搬送は、年代別で65歳以上の高齢者が56.5%を占めた。7月31日~8月6日も57.3%と半数以上に上った。

   東京都監察医務院の発表(同)によると、2022年の東京都23区における夏期の熱中症死亡者のうち、87%以上が65歳以上の高齢者だった。屋内での全体の死亡者のうち、85%以上がエアコンを使用していない、または設置していなかった。

   高齢者はなぜエアコンをつけたがらないのか「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは2023年、60歳以上を対象に「熱中症に関する意識調査」を行った。熱中症対策は水分補給がいずれの年代も8割以上で、60代・70代はエアコン利用、80代・90代は窓を開けた風通しを行う人が多かった。

   一方、熱中症予防で気がかりなこととして、「エアコンを使用すると体が冷えること」をどの世代も5割前後の人があげている。「エアコンや扇風機を使うことで電気代がかかること」や「水分をとりすぎるとトイレが近くなること」も上位となっている。

   では、なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか。8月8日の取材に応じた「熱中症ゼロへ」担当者によると、高齢者は温度に対する感覚が弱く「暑い」と感じにくくなるため、室内でも熱中症にかかりやすいといわれている。

「若者に比べて体の熱を周囲に逃がす能力が低く、深部体温が上昇しやすいことや、体内の水分量が減少していること、さらにのどの渇きも感じにくくなっているため注意が必要です」

室内で過ごす際も注意が必要

   「熱中症ゼロへ」によると、熱中症の症状には下記のように様々なものがあり「少しでも異変を感じたら、すぐに応急処置を行い、病院などの医療機関へ連れて行きましょう」とする。

①ふらふらする、顔が熱くなる(めまいや顔のほてり)
②筋肉痛になる、筋肉がけいれんする(筋肉痛や筋肉のけいれん)
③体がだるくなったり、吐きそうになったりする(体のだるさや吐き気)
④汗がたくさん出たり、まったく出なかったりする(汗のかきかたがおかしい/発汗異常)
⑤皮ふを触るととても熱い、皮ふが赤くカサカサする(体温が高い、皮ふの異常)
⑥声をかけても反応しなくなる、まっすぐ歩けなくなる(意識障害)
⑦自分で水を飲めなくなる(水分補給ができない)

   若年~中年にみられることが多い「労作性熱中症」に比べ、高齢者にみられることが多い「非労作性(古典的)熱中症」は、数日かけて徐々に悪化する傾向があるという。

   気象庁の3か月予報によると、8月~10月の気温は、暖かい空気に覆われやすい。8月は北日本では平均気温が平年並か高く、東・西日本と沖縄・奄美では高くなる見込みだ。9月は北日本ではほぼ平年並、東日本ではほぼ平年並か高く、西日本と沖縄・奄美では高い見込みだ。10月は全国的に平年より高くなる。

   例年より暑くなることが見込まれる中で、高齢者が熱中症にならないためにはどうすればよいか。家族や本人が気をつけるべきことを尋ねると、「自分や周囲の人が熱中症にかかりやすくなっていることを意識することが大切」だとし、次のように回答した。

「野外で活動する際はこまめな水分補給と休憩を心がけましょう。室内で過ごす際も、自分が今いる環境を客観的に確認できる温湿度計や熱中症計を用いて、涼しく風通しの良い環境を保つようにしてください。エアコンによって冷えが気になる場合には、部屋の中で過ごす場所を変えたり、エアコンの風向きを調節したり、風が直接当たらないように工夫すると良いでしょう。扇風機やサーキュレーター、ネッククーラーなどを使用して、涼しさを保つこともできます」